見出し画像

ボクシングオタクの思い通りにならないのが商売としてのボクシング

10月13日と10月14日の日曜日と月曜日の連休に有明アリーナで行われたプロボクシング興行が幕を閉じた。

ボクシングは一国一コミッションなので他の格闘技と違って新聞に載るという特権を持つ。

と、試合結果は常に新聞に載るが現実的にはこうして抱き合わせをしないと客も来ないのである。

那須川天心が出場するだけで客が来るが、逆を言えば天心がいないと客は来ない。

1日目は空席も目立っていたという。

帝拳プロモーションが主催しているが井上尚弥の親類でないと客が集まらない、帝拳所属であっても山本KID徳郁の下で嘗て修行していた経歴を持つ選手として紹介しないと注目もされない。

世界王者になっても元日本王者の細川バレンタインの炎上ポストの方が目立つ現実がある。

テレビ中継やテレビ録画放送がなくなったのはテレビ局が高騰するファイトマネーなどのギャラ交渉についていけなくなったからで、殆どが有料制のサブスクに移行するようになってしまった。

それ故に濃度のあるボクシングオタクしか残らなくなったが、現実的には有明アリーナすら埋まらなくなってしまった。

プロボクサーはSNSを使うのがK-1選手よりも下手でエックスのフォロワーが頑張っても精々4桁程度しかいない。

宣伝やろうとしてもK-1選手のように炎上紛いのことが出来ないし、消極的なので世間には届いていない現実がある。

先に戻るが新聞があるから大丈夫だと言っても結局新聞を読むのが中高年なのでネットのサブスクすら観ようともしない老人に新聞の結果だけ伝えても観ようとする意思すらないのである。

結局プロボクシングの現状はアマエリートや他団体からのリクルートからでしか選手を登庸することが出来ないのである。

4回戦C級の新人王戦があるではないかというがこれも現実的には前年も出ていた選手ばかりだったり、元々賞は取れずともアマ経験のある選手だったり、他競技からの転向組だったりするのである。

注目される選手しか結局新人王を生き残れないので昔のような泥臭さはもはや存在しない。

不良は結局ブレイキングダウンの方へ行く。

しかしボクシングも不良を受け容れる所でもあるので、詐欺や強盗などで服役した前科者がボクシングに復帰することがある。

言うなれば真面目くんばかりしか受け容れませんとなったらボクシングそのものが成り立たないだろう。

試合時にはコンシーラーやファンデーションで隠すことを義務付けているが彫り物をしているボクサーがいる。

ヤンキー出身だったり元本職だったり様々だが、ある程度の奔放な人間を押し込める場所を与えないと国家の治安を維持することさえ叶わなくなる。

ヤンキー上がりのボクサーも有名だったが今はそういうのがいない。

皮肉にも社会全体がそれを排除する傾向にあるし、ただそれでもブレイキングダウンのように一部のコミュニティを形成するように許された場所も存在する。

余りこれに言及すると前にエントリーしたことの繰り返しになるので避けるが、人気と言えばボクシングの現状は井上尚弥と那須川天心と武居由樹くらいしかいないのである。

ボクシングが皇治に頭を下げてライセンスを発行すれば忽ち皇治軍団がチケットを買ってくれて後楽園くらいは満たしてくれるだろう。

幾ら何でもボクシングとて矜持はあるのでそんなことはしないと思うが、先に戻るが現実的にはキックの人気選手に頭下げるしかないのである。

彼らがボクシングから去ったらどうなるのだろう?

世界タイトルマッチでも後楽園ホールしか会場を埋められない。

天心の試合が終わったらメインを観ずに帰ってしまう観客を揶揄する言葉が見受けられたが、そもそも誰の御蔭で会場を埋められるのだろう。

帝拳も分かっているので天心を特別扱いするのである。

メインの試合を行った中谷潤人に井上尚弥と対戦しろと言う声が上がったが、こんなこと言ってるのはボクシングオタクだけで誰もそんなことを考えてもいない。

中谷潤人は勝利後のインタビューでパウンド・フォー・パウンド1位を目指すと言っていたのでこれは別に井上尚弥と闘うと明言している訳ではない。

他の団体の同階級王者を軒並み気持ち良くぶっ倒せばPFP1位を目指せるのである。

注目選手が勝利するだけでこの順位が入れ替わる。

カネロも1位になったりウシクが1位となったり評価なんてぐるぐる変わるものである。

井上尚弥もフェザー級行けと言う声があるが、嘗て自分もさっさと階級上げろと思ったが別にそれをやる必要なんてないのである。

ひと試合10億円入る目玉興行を態々捨てるようなことをするのだろうか。

スーパーバンタム級に留まってほぼ無尽蔵に集金マシーンになればアフターモンスターを計画・育成することだって有り得るだろう。

井上尚弥のお釣りで開催されたモンスタートーナメントで優勝した堤聖也が世界タイトルマッチで井上拓真からタイトルを捥ぎ取ったのだから投資は成功したと言える。

現在やっぱりお釣りでアジアライト級トーナメントが開催されているが、これも所属選手のためにやるのだが将来の投資のためにしていることである。

来年はアジアヘビー級トーナメントを開催するようだが、K-1にいた星龍之介を1年間レンタルするということでジム主催の面子を保とうとするのが本当によく分かる。

個人的な考えだが井上尚弥がフェザー級に行かないのは同じジムの松本圭佑に遠慮しているのではないかと。

松本は体格的にはフェザー級なんてきついのは分かり切ったことなのだが、父親が同階級で世界王者になれなかったこともあってこの階級に拘っているようである。

しかし松本は以前対戦した選手のパンチでダウンを貰ってしまったこともあってその後の試合は勝てても消極的になってしまったことで客が途中で帰ってしまったのでジムから注文をつけられてしまった。

興行が第一なので積極性がないと如何に強くても世界タイトルが後楽園ホールのままだと掠りもしなくなってしまうのが分かっているからなのだろう。

井上の松本待ちと考えるが、その松本も一つ階級上げようにもついこの間移籍したばかりの力石政法がスーパーフェザー級なのでこちらもまた痞えてしまった感がある。

それでは松本にライト級やスーパーライト級でやらせても良い筈だが、結局階級が軽ければ軽い程選手層が薄くなるので減量のリカバリーを利用した体重差を活かした無双をするしかないのである。

如何に技術を有してもスーパーライト級の世界で相手のパンチに耐えられるかという話になってしまう。

大橋ジムにはライト級のホープ(今永虎雅いまながたいが)がいるので結局あちらも階級エースとして振り分けているのだろうと感じる。

武居由樹や井上拓真も減量はきつい筈だがバンタム級にいるのも一つ上に井上尚弥がいるからで結局はジムの都合でしかない。

背景に商売があると考えると寧ろ楽しく感じてしまう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?