桐生織の文化を紡ぐ のこぎり屋根建築
群馬県桐生市 OLN
群馬県桐生市は昔から「西の西陣、東の桐生」と言われているように、奈良時代から織物産業がとても有名な地域です。
そんな地域で現在、桐生織の文化を遺すために井清織物さんが創設した「OLN」というブランドがあります。
今回は井清さんに工場を案内して頂いたのでその時のことについて書きたいと思います。
のこぎり屋根
そんな織物産業を支えてきた建築物が桐生には現在でも残っています。
桐生織では下の写真のように、織機の上に織物の模様の設計図を読み取るためのジャカード機が置かれます。
そのため、高さの高い空間が必要になります。また、織物という繊細な作業のためには明るい空間が必要となります。
そんな空間を実現したのが「のこぎり屋根」の建築です。
上の写真のように2〜3個の山の列並び、その列ごとに織機がズラっと並んでいます。
山を作ることで1列ごとの高さを確保し、谷に差し掛かる部分を窓とすることで北側からの採光を確保します。(北側採光は1年を通して安定した光を確保出来る。)
また織物産業が有名な地域は他にもありますが、屋根に谷を持つ建築にできる地域は限られており、雪の降る地域では見ることができません。
桐生織の文化を紡ぐ想い
現在の技術があれば、桐生織にはのこぎり屋根の建築は必ずしも必要な訳ではありません。
OLNの井清さんは、「伝統は織物や技術があればいい訳ではなくて、その伝統を支えてきた仕組みや空間も必要だと考えている。ブランドを立ち上げたのも同じ理由で、技術だけあっても何も遺らない。この技術を知ってもらうための場所が必要だと思い試行錯誤している。」と熱い想いを話してくれました。
同じ群馬県民として、また建築家として地域の活力となるこのプロジェクトを知ることができ、心から嬉しく思います。
井清さん、当日工場内部まで案内してくださりありがとうございました。
OLNホームページ
https://oln2014.jp
OLNウェブショップ
https://inokiyo.saleshop.jp