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よみびとしらず #02 音若 第二章 頼明

 その夜、音若は久しぶりに女子(おなご)の元へ通った。
 相手は洋子であった。
 音若はいつものように洋子を脇に置き、龍笛を奏でていた。
 洋子は龍笛の音に耳を傾けうっとりとしていた。
 そうしていると突如、例の煙が現れたのである。
 音若は龍笛を吹くのをやめ、洋子の名を呼んだ。
「洋子、洋子。生霊じゃ。生霊が出よった」
 洋子は呼ばれるがままに、音若と共に室内に逃げ込んだ。
 煙は見る間に人の形を成していった。
「一体何者じゃ」
 音若は几帳の端で顔を隠し目だけを出しながら煙の形を見守った。
 その時である。
「ごめん」
 と庭から声がした。
 声の主は夕方ぶつかった頼明であった。
「お主、なぜここにおる」
「詳しい事は後から。今はあの生霊を鎮めねばなりませぬ」
「お、おう、任せたぞ」
「音若様、私はこの生霊の出どころを突き止めに参ります。その間決して外に出ぬようお願いいたします。それと龍笛をお借りできますか」
「龍笛か、よし分かった」
 龍笛を受け取ると頼明は一度うなずいてそのまま屋敷の外へ出て行ってしまった。

 頼明は女の生霊の跡を追って月明りの下を進んでいた。
 そうしてたどり着いたのは、とある屋敷であった。
 柴垣から垣間見えたのは、ある女子が縁側でうとうとしている姿であった。
 生霊は彼女から出ていた。
 頼明は庭に忍び込み、女子に近づき除霊を試みた。
 この女子は他でもない、舞子の史子であった。
 頼明は除霊を終えると再び音若の元へ戻り、子細を伝えた。
「その屋敷は史子の屋敷。まさか史子が……」
「悋気でございましょう。音若様も少々つつしまれた方がよろしいかと」
「これは耳が痛い。なあ洋子」
「冗談ではございませぬ。次は私の番かもしれませぬのに」
 生霊とは本人の気づかぬうちに現れてしまうものであった。
「まあまあ、今夜はゆっくりとお休みくださいませ。笛はここへ」
 言うと頼明は龍笛を音若の手へと戻した。
「頼明殿、今夜はよくやってくれた。しかし何故我らが危険だと分かったのじゃ」
「夕方ぶつかった際に霊の匂いがいたしました。そこで念のためお屋敷に立ち寄らせて頂くとこちらだというので牛車にて寄ってみると中から悲鳴が……」
「なるほどそうであったか。本当に今夜はよくやってくれた。礼を言う」
「もったいないお言葉でございます。ではこれにて」
「ああ、よく休んでくれ」
 こうして女の生霊は退治され、音若と洋子は事なきを得たのであった。

 翌日、音若は昨晩あったことを同期の生徒に話して聞かせた。
「おぬしら、ようく聞け。陰陽師の頼明がな――」
 頼明の活躍は、たった一日のうちに宮中じゅうの噂になった。
 史子は恥ずかしがってか今日の訓練には来ていなかった。
 そして面白くないのは陰陽寮の面々であった。
「頼明のことじゃ。また何を考えておるのか分かったものではない」
 康親が腹立たし気に言う。
「そうじゃの。しばらくは要注意じゃ」
 晴明が重ねる。
「一度、音若をつかまえて警告をしておいた方がよくはないでしょうか」
 夏宮が言う。
「そうじゃの、康親、そうしてくれるか」
「かしこまりまして」
 康親と義則と夏宮は、午後から連れだって音若のいる雅楽寮へ出向いた。
 そうして音若を呼び出してもらい、あまり頼明に近寄らない方がよいと警告をしたのであった。
 音若の反応はというと、頼明を信頼しているようで、お前たちが何を言うといった態度であった。
 康親一行は困り果て、しばらく時を置くことにしようという話に落ち着いた。
 陰陽寮に戻った康親たちは、皆がまいったという顔をしていた。
「これは困りましたの。肝心の音若があれでは」
「頼明め、どう取り入ったのやら」
「しかしどういうことでしょうか。我々が共に過ごした晩には出ることのなかった生霊が、頼明との晩には出るなどと」
 義則が問う。
「何が違ったんじゃ」
 康親も不思議に思った。
「違ったのは、場所と、女子と」
「場所は違っても音若の部屋に生霊の跡はあったぞ」
「では女子か」
「それじゃ」
 義則がしたり顔で言う。
「この度の噂では、生霊は舞子の史子の悋気がそうさせたという。悋気が源なら音若が女子と共にある時に出て来て不思議はないのじゃ」
「そうじゃな。違ったのは女子といたかいなかったかじゃ」
 夏宮が深く頷いた。
「どちらも龍笛を吹いていたときに生霊が出たというのを付け加えると、龍笛と女子が鍵ということらしいな」
「そうじゃな」
「それが分かったからには音若殿にもう一度協力してもらわねばなりませぬな」
「そじゃな、まだ被害にあう者が出るやもしれぬ」
「果たして応じてくれるかどうか」
 康親一行は再び音若を訪ねた。
 音若は最初はつっけんどんな態度であったが、まだ被害にあうやもしれぬと聞きしぶしぶ応じてくれたのであった。

 してその夜のことである。
 康親、夏宮、義則が一行は連れだって音若邸へと入った。
 そうして相変わらず衣類の脱ぎ散らかされた部屋に通された。
 今夜は女子を一人、よこしてもらった。
 女子の名は洋子といった。
「『邪見』ならびに『全点透視』」
「では、いつものようにくつろいでくだされ」
 康親が号令をかける。
「あい分かった。では洋子、これへ」
 音若は洋子を傍に置くと、縁側の欄干に腰かけ龍笛を鳴らし始めたのであった。
 白い煙が現れたのは、それから半時もしないうちにであった。
「ややっ、出たか」
「音若殿と洋子殿は中へお早く」
「我々は生霊を追いまする。それまで外に出ないでくだされ」
「あい分かった」
 音若邸から出ると三名はすぐに牛車に乗り込み白い煙の源を探った。
 するとたどり着いた先は、なんと康親邸であった。
 康親に嫌な汗が走った。
 そうであってくれるな、という康親の願いはむなしく、更に煙を辿った先には妻の宮子が眠っていたのである。
「なぜ……」
 康親がつぶやく。
「頼明か」
 義則が重ねた。
 宮子は義則の妹でもあった。
「二人とも、詮索は後にして早く宮子を」
 宮子は夏宮の筆の弟子でもあった。
 夏宮は生霊の除霊をはじめた。
 除霊とはいえ生きている本人の魂である。
 繊細な作業が要求される術であった。
 生霊から魂を取り出し、それを口から入れるのである。
 除霊者は口を閉じていなければならない。
「これでよし、と」
 除霊が完了し、夏宮が口を開いた。
 康親が妻の元へ駆け寄る。
 義則もそれに続く。
「それにしても頼明よね。本当に噂通り除霊を行ったのか怪しいわ」
「舞子の史子殿は今日は休みであったと聞いておるが」
「帰りに寄ってみましょうか」
 そういう訳で、家の者に宮子を任せ康親一行は史子の屋敷へと寄ったのであった。
 しかし屋敷に到着し一行は啞然とした。
 屋敷の前で喪服の者達が慌ただしく交通整理を行っているのであった。
「ややっ、これは一体」
 屋敷の前には牛車がひしめき合っていた。
 康親たちはこれ以上近づけないと知るや牛車を降り、家の者を捕まえて訳を聞かせてもらった。
 すると昨夜のうちに史子が亡くなっていたというのである。
「なんと」
「やはり頼明、油断がならん」
 康親たちは音若邸へと戻り、すべてを音若に話して聞かせた。
「なんと。史子が……」
 音若の目に涙が溢れた。
 洋子は複雑な面持ちで聞いていた。
「しかし生霊の源が康親殿の奥様だというのは本当にございますか」
「ああ。頼明がなんぞ細工でも施したに違いない」
「まさか」
「そのまさかでございますよ。その龍笛、お借りしてもよろしいでしょうか」
「ああ、昨夜も頼明が借りていったな」
「そうでしょうとも。ほら呪の跡がくっきりと」
 『全点透視』で見ると、龍笛の口をあてがう部分にくっきりと呪がめぐらしてあるのであった。
「頼明、許さんぞ」
 音若が怒りを露わにした。
「しかし音若殿、どうすることも出来ないのでございます」
「なぜじゃ」
「我等は一度負けておりますれば」
「さようか。でも小言くらいは言わせてもらおうかの。今夜はもう眠る。色々と疲れた。帰ってもらえるじゃろうか」
「かしこまりまして」
 音若邸を後にした康親一行は、各々の胸にしこりを抱えたまま解散したのであった。

 翌日、音若は雅楽寮で改めて史子の死を知らされた。
 訓練が終わり、音若は陰陽寮へと足を向けた。
 するとそこでばったりと頼明と出会ったのであった。
「ややっ、頼明。よくものこのことこの場を歩けたな」
「音若様、何をおっしゃっておいでです」
「しらばっくれても無駄だぞ、お主が龍笛に呪をほどこし、史子を死に至らしめたのであろう」
「ほ、ほ、ほ。何かと思えば音若様。冗談がすぎまするぞ」
 それまで朗らかであった頼明の顔が、一転真顔に変じた。
「それが誠であればいかに致しまする。音若殿。いかに、いたしまするか」
 頼明の変容ぶりに音若の背中を冷たいものが走った。
「そこまでじゃ頼明」
 助け船を出したのは陰陽寮から急ぎ足で出てきた康親であった。
「幼子(おさなご)に対しなんじゃ大人げない」
「ほ、ほ。なるほど康親殿か、音若様を取り込んだのは」
「お主のしたことを知れば皆が陰陽寮の戸を叩くじゃろうが」
「これは痛い」
「では頼明殿、今後いっさい音若殿に近づかれませぬよう。失礼つかまつる」
 そう言うと康親は腰の抜けた音若を背負って陰陽寮へと戻って行った。
 その場に残された頼明は、ふいと背を向け来た道を戻って行ったのであった。

「音若殿、さ、白湯(さゆ)にございます」
 康親がついとすすめた。
「か、かたじけない」
 音若は頼明の怒りに少し触れただけで、陰陽師という連中が何やら別の世界に住んでおり、自分などがいてよい場所ではない、そんな感じを受けたのであった。
「めんどうくさいね」
 白湯で口の中を温めた音若は、ふうと一息、大きくため息をついた。
 そうして、次の言葉を発したのである。
「康親殿、陰陽寮の方々、私からの依頼でございます。頼明を討ってはくださいませぬか」
 一瞬、康親ほか、その場にいた面々の動きが止まった。
「音若様、別室へ」
 康親が音若を先導し奥の部屋へ連れて行った。
「なんじゃ仰々しい」
「まま、お座りくださいませ」
 康親が席をすすめる。
 一呼吸おいて康親が話し始めた。
「音若様。陰陽寮に至っては、残念ながら殺しはご法度でございます」
「なんじゃ、そうじゃったのか。それで先ほどぴりりとした空気になったのじゃな。それはすまなんだ」
「しかし頼明を討ちたいという願いは、実は同じにございます。我々の他にも同じ思いの者が大勢おりますれば」
「では何故誰も動かぬのじゃ」
「それはひとえに頼明が強いからでございます」
「強かったら討ってはいかんのか」
「いいえ。強いからこそ頼明を囲い込んで居る者たちも多いのでございます」
「なるほど。頼明のやりたい放題を見るに、そやつらは殿上人か」
「さあ。そこまでは申し上げられませぬ」
「意地悪じゃの」
「これも音若様をお守りするためでございます」
「誰も討てぬほどの後ろ盾がついておる、という事はそういうことじゃろう」
「ご想像にお任せいたします」
「むう。頼明を討つ妙案は無いのか」
「そうですね……そこまでおっしゃるなら、妖界にて腕試しをする、ということでしたら通るやもしれませぬな」
「腕試しじゃと。遊びではないか」
 康親が声を落としてささやく。
「遊びの中で不幸にも命を落とすということもありやなしやと」
 それを聞いて音若の目が大きく開いた。
「頼明を討てるかもしれぬのか」
「しいっ。お声が大きくていらっしゃる」
「さらに差配役をお願いするのは、かつて頼明に痛い目にあわされた物の怪たち」
「万が一の時には助けになってくれるやもしれぬな」
「さよう」
「それでは音若様、改めてご依頼を受けとう存じます」
「うむ。陰陽寮の康親よ、頼明と腕試しをしてほしい。差配は物の怪に頼む」
「かしこまりましてございます」
 仰々しいやりとりに二人してにやりと笑った。
「では善は急げじゃ」
 音若は立ち上がり頼明を追いかけようとした。
「お待ちくだされ。まだなんの準備もしておりませぬ」
「これは失礼した」
 二人は声をあげて笑い合った。
「ああ、ついでに」
 言うと音若は、龍笛にかけられた呪を解いてもらったのであった。

 さて康親は音若の依頼を正式なものとして陰陽寮の者に話を通した。
 更に妖界へ出向き、物の怪の大将である狸殿に差配役を頼んだ。
 狸殿は最初、なぜ儂らにやらせんのじゃと憤っておったが、万が一の時には手を出せると聞いてしぶしぶ引き受けてくれたのだった。
 ここまで手配が出来たところで、どうしても自分で頼明に伝えたいという音若の出番であった。康親は、自分が同伴することで音若の願いを聞き入れた。
 いつも夕方になると決まったところを歩いている頼明なので、見つけるのは早かった。
「頼明よ、話がある」
 康親と音若は揃って頼明をつかまえた。
「明日、妖界にて腕試しを行いたい。頼明対陰陽寮で、差配は物の怪の大将狸殿を考えておる。受けてはくれぬか」
「これはこれは。腕試しというよりは果し合いの体でございますなあ」
「受けるのか受けぬのか」
 音若が苛立たし気に詰め寄る。
「何やら企んでおられるようですが、よろしい。面白そうじゃ。お受けいたしましょう」
「よし、では明日の朝、辰の刻に願良寺の滝の前じゃ」
「よろしかろう」
「では」
「ではの」
 こうして頼明を招くことになんとか成功した康親と音若であった。

 翌日、辰の刻、願良寺の滝の前には、陰陽寮の面々と頼明、狸殿と音若が揃っていた。
「それではこれより陰陽寮対頼明殿の腕試しを始める。妖界に入ったら始まりじゃ。一対一以外にこれといって決まりはない。では励んでくれ。はじめっ」
 言うが早いか狸殿は一番に滝の裏へと向かい妖界へ消えてしまった。
「では我等も」
 陰陽師の面々と、音若が続く。
 音若は康親に『人結界』なる結界をかけてもらい、安全のため陰陽師の面々と一緒に行動することになっていた。
「それでは私も」
 頼明が続いた。
 先ほどまで賑やかだった滝の前は、今はしんと静まり返り、ただ滝の音だけが響いていた。
 
 さて妖界である。
 妖界へ出た狸殿は両陣営を待ち構えていた。
 まず出てきたのは陰陽寮の面々と音若、次いで出てきたのは頼明であった。
 どちらもまだ何を仕掛けるわけでもなく準備運動などをしている。
 陰陽寮では昨日のうちに頼明の相手をする順を決めていた。
 それは、晴明、保憲、康親、義則、夏宮であった。
 陰陽寮の面々にとってこの場は思い入れのある場であった。
 十年ほど前、同じようにこの場、妖界にて頼明と対戦し、その時に師匠である忠行を亡くしているのであった。忠行の遺体からは何も出なかったが、皆が頼明の仕業だと決めていた。そして実際、その通りでもあった。
 師匠忠行の面影が頭をかすめる中、晴明は一歩前に出て後ろを振り返って言った。
「では行ってまいる」
「いってらっしゃいませ」
 晴明はそれを聞くと『浮遊術』で自分の体を浮かせ、寺の境内の方へ飛んで行った。
 頼明も同じように飛び晴明について行った。
 狸殿もそれに続く。
 それ以外の面々は地面を行った。
 先に仕掛けたのは晴明であった。
「いでよ『水龍』」
 『水龍』は十年ほど前にもこちらで用いられた術であった。
 忠行の面影がちらちらと頭をかすめる。
「いでよ『火ノ鳥』」
 『火ノ鳥』も、当時頼明が繰り出した術であった。
 かつての戦いが蘇る。
 水龍と火ノ鳥の勢いは、がぜん火ノ鳥の方が上であった。
「一対一でなければ勝てたかもしれぬのにの」
 頼明はそう言うと火ノ鳥に水龍を呑み込ませた。
「しかしおぬしの妖力がもつかのう。我等はもはや子供ではない」
 言うと晴明は『黄金槌(こがねづち)』を召喚した。
 『黄金槌』とはその名の通り、黄金色の大きな槌であった。
 重さを感じさせないそれをぶんと振り回すと、晴明は頼明に向かって一気に振り下ろした。
「『人結界』拡張」
 振り下ろされる瞬間、頼明は呪を唱えた。
 『人結界』は個人を守る結界である。呪にも物理攻撃にも耐える術であった。
 頼明の輪郭に沿って施された人結界が、一気に拡張され円となって頼明を守った。
 それにかまわず晴明は人結界ごと頼明を潰そうと何度も槌を振りおろした。
「ほ、ほ。早い早い」
 顎髭をねじりながら、頼明は身軽にかわしてゆく。
「ではこちらからもまいりますぞ。いでよ『糊(のり)壁』」
 頼明が召喚した『糊壁』は、その名の通り糊の壁である。
 晴明の繰り出した黄金槌が振り下ろされる度に糊がくっつき槌の重さを増した。
 更にこの糊は生きているかのように動き、晴明の動きを封じた。
「晴明殿」
 保憲が声をかける。
「いいやまだ大丈夫でございます」
 晴明はそう応えるや、人結界を解いた。
 人結界にくっついていた糊が一緒に解かれてゆく。
 糊がすべて崩れ落ちたのを確認し、再度晴明は人結界を唱えたのであった。
「ほ、ほ。やりよる」
 頼明の顔から笑みが消えた。

 一方、見物にまわっている陰陽師の面々に紛れて、音若に近づく者があった。
「ねえねえ、何をしているの」
 それはいつぞやの蛙の奏であった。
「わ、びっくりした。久しぶりじゃの。元気じゃったか」
「うん、元気じゃった。何をしているの」
「腕試しをしておるところよ」
「へぇ」
「お主はどうしてここへ」
「何やら騒がしいから近寄って見に来たんじゃ。他にも物の怪が沢山見に来ておるよ」
「これはこれは」
「ふふ。音若は腕試ししないの」
「私はしない。これは陰陽師同士の腕試しなんじゃ」
「へぇ。一緒に見ていていい」
「いいとも。終わったら一緒に笛を吹かないか」
「いいねえ。兎や猿も呼ぼう」
「そうじゃな」
 激しい戦闘の最中に結ばれた小さな約束であった。


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