鑑賞記録#04『竜とそばかすの姫』
今回、鑑賞したのは『竜とそばかすの姫』(スタジオ地図)です。
制作は細田守という監督で、彼の作品には2009年公開の『サマーウォーズ』があります。こちらは男の子がバーチャル世界で大活躍という話なんですが、今作品は、女の子がバーチャル世界の歌姫となり大活躍するというお話です。非常に分かりやすいです。
ざっとあらすじを説明しますと、日本の片田舎に住むスズという母親を亡くした女の子が、ひょんなことからバーチャル世界の歌姫となり全世界的に有名になります。スズのハンドルネームは「ベル」というのですが、この名前には理由があります(分かる人には分かる仕様)。あるとき、バーチャル世界でライブ配信を行っている最中に「竜」と呼ばれる化物が乱入してきます。二人はなんやかんやで惹かれ合い、竜の城で密会し、ダンスを踊ったりして親しくなります。このシーン、分かる人には分かる、とても有名なあるアニメ映画のオマージュとなっているのですが、個人的に著作権とかその辺大丈夫なんだろうかとはらはらしながら見ていました。監督はどういう意図でこのオマージュを今作品に取り入れたのだろうと想像しながら見ていました。「まあ女の子はみんな好きでしょ」的なノリだったのでしょうか。それとも海外のお客さん向けのサービスだったのでしょうか。単に楽をしたかっただけという線もある…などなど、勝手な想像はふくらみます。それはさておき。
てっきり二人は恋仲になるかと思いきや、現実世界での恋愛も関わってきて事態はわりと深刻な方へと進んでいきます。後半、バーチャルでの感動シーンは必見ですが、ラスト30分、ちょっと都合がよすぎるんじゃないかという不満が残りました。どうして君がそれを知っている。まさかの物理移動。そしてなぜお前がそこにいる、ラストのスズの眼力に唖然…いやいや都合よすぎでしょ!のオンパレードでした。まあ最終的に丸くおさまり大団円を向かえるのでいいっちゃいいのですが。いうてもフィクションなので。そういう意味ではラストのスズの左頬に、監督の「このお話は単なるシンデレラストーリーではないぞ」という意気ごみが見れたような気がしておおと唸りました。
なにはともあれ、挿入歌がすべて綺麗で素晴らしかったので耳が大満足です。
今回は少女漫画テイストな細田守監督の作品でしたが、『サマーウォーズ』と『竜とそばかすの姫』ときて、次はどんなバーチャル世界を描いてくれるのでしょうか。もうこのまま「バーチャル世界を描かせたら世界一」というくらいにまで描写をきわめて欲しいという思いもありますが、果たして監督の胸の内やいかに。おとなしく監督の次作を待ちたいと思います。