いよいよエモンズへ
沖縄最大級の沈船エモンズ。
正式名称はUSS Emmons,
DD-457/DMS-22
(米軍掃海艇駆逐艦エモンズ)
総t数 2050トン
全長 106.2 m
全幅 11.0 m
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1945年4月6日、
エモンズは伊江島沖「菊水1号作戦」で
日本軍5基の特攻機突入により大破。
翌7日、情報漏れを恐れたアメリカによって
海底45mに秘密裏に撃沈処理。
60名以上のアメリカ人と、
5名の零戦パイロットが犠牲になったエモンズは、
海底深く眠りにつきました。
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それから55年後の2000年9月。
地元の漁師さんらが
時々浮いてくる油を海上保安庁に連絡。
調査の結果、永き眠りから叩き起こされた
エモンズは、現在では世界有数の
「沈船ダイビングポイント」
として名を馳せるようになりました。
しかし外洋であり、水深も深く流れも速いため、
ほとんどのショップさんが
「100本以上経験者のみ」と
謳っている中上級ポイントでもあります。
また、海底の爆雷(魚雷)は
当然信管が抜かれていない「不発弾」です。
経験浅いダイバーが中性浮力を取れず、
タンクを接触させたりしたら…。
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過去、エモンズは
アメリカ人ダイバーによる死亡事故や、
砲台にまたがってピース写真を撮った
ダイビングショップの謝罪など、
何度もニュースに取り上げられています。
また、特攻で開けられた横穴から
船内に出入りするマナーのないダイバーや、
窃盗などにより、その形を失いつつあります。
(そもそもダイバーの呼吸が、船体破損の原因)
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エモンズの存在を知ったのは今年1月。
念願だったジンベイザメとのダイブを果たし、
アドバンスのライセンスを取得した
ボートの中でした。
他店のイントラさんが
「沈船(レック)ダイビングも楽しいですよ。
エモンズとか」
と、教えてくださったのがきっかけでした。
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それから上記のような歴史を学び、
破壊の原因を知り、それでも潜りたいか?
と自問自答しました。
祖父母はもちろん、父母も自身も戦争経験者。
多くの身内が、船の爆撃と原爆で亡くなっている。
慰霊
手を合わせに行きたい
潜りたい。
それからエモンズに潜る
「訓練」が始まりました。
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まずは経験本数。
複数のショップさんでも潜り、
風や雨、うねりや波などを勉強しました。
宮古島の「沈船イラブ」も経験し、
海況悪化による延期を受けながらも、
いよいよ当日!。
ダイバーさんの撮影した写真は
たくさん見せていただいていましたが、
絵として全容を見たのは初めて。
横倒しになった106mの巨体は
想像を絶するに余りあり。
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当日は漁師さんの船で、
イントラさんと私、
あと3名が参加予定でしたが、
1名が濃厚接触者になり不参加。
古宇利島の港から、船頭さんの操縦する船で
約20分の外洋への出航!
ただでさえ天候不良で1日延期になった海況。
遊園地のアトラクションの比ではない!
「まだ揺れない方」と
船頭さんは笑っていらっしゃるけれど、
控えめに見て1mは「縦」に跳ねている。
過去のボートダイビングの船酔いなんて
かわいいレベル。
安全ベルトも何もない船べりにしがみつき、
打ち付けられる尾骶骨に
「痛っ! 痛っ!!」と
喚く以外、何もできない…。
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「100%デコるからね」
DECOとは「decompression(減圧)」の意で、
簡単にいうと「その水深で潜っていられる
限度を超えてしまうこと」。
デコった場合は、
ダイブコンプュータ(ダイコン)の
指示に従って減圧停止→安全停止します。
(それをしなければ、ダイコンが24時間
ロックされて使用不可に)
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減圧症にならないため、
陸上と船の上で何度も
デコった時のハンドサインと、
潜水計画の最終確認。
レックダイビングは、本来なら避けるべき
「箱形潜水(同水深に長く止まる=窒素が溜まる)」
で泳ぐため、浮上が肝心。
水深45mともなると、潜水時間はせいぜい30分。
潜水計画は、船首のローブで一気に潜行。
耳抜きが苦手な男性は特にそこも注意し、
船体中央の慰霊碑まで泳ぐ。
そして中央のロープを使って
減圧停止→安全停止→浮上。
万が一のため、船の下には緊急用タンク
(減圧ステーション)も設けてある。
講習で習った使い方も再確認し、
いよいよ深海45mの世界へダイブ!
#エモンズ
#レックダイビング
#古宇利島