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4.2MW風車の1km以内に500軒もの民家!?鶴岡にEREが計画する三瀬矢引の風車は、健康被害必須の非常識な計画だ!


Eneos Renewable Energy は、2024年7月に準備書を示し、8月8日には市民向け説明会などをおこないました。

今般、縦覧されていた準備書で、明らかになったのは、今回の風車は出力が4.2MW 高さ172mを6基建設する。というものです。
その計画区域から500m以内に6軒。1キロ以内に582軒1.5キロ以内には、1027軒。2キロまでだと計1195軒の民家が現存するということが明らかになっています。
4.2MWという巨大風車は、秋田県内では、民家がない港湾の洋上に建設されたり、周囲にほとんど家屋のないにかほ高原に現存していますが、この巨大な4.2MW風車の1km圏内に500軒以上、1.5km圏内に1千件以上もの民家がある事例は、極めて希有であり、国外でも国内でもほとんどない事を生成AI などで確認しています。
以下は、にかほ高原に建設稼働している。4.3MW風車です。

この映像は、秋田、にかほ高原に令和6年3月から稼働している4.3MW
風発です。映像ではなかなか伝わらないのですが、これまで庄内町に建設された2.3MWや三瀬の3.4MWとは比較できないような、とても威圧感を感じる巨大さであり、騒音についても、反復するスイッシュ音が結構大きく感じました。秋田の市民団体の方からもこの巨大風車の騒音が結構大きく、この近くにあるキャンプ場等を利用する方々に不評という事を伺いました。

また、計画の矢引風車の1km圏内には保育所1箇所、1.5km圏内には学校1箇所。2km圏内だと保育所2、学校が3つ現存しています。 また、2キロ圏内には出羽三山神社と関係がある、観光地で海水浴場の由良海岸があり、観光ホテルと民宿があります。
 
  今年6月4日の参議院環境委員会でも話題となりましたが、お隣の秋田県内では2MWの風車でも、2kmにお住まいの方をはじめとして、風車騒音による睡眠障害、めまい、頭痛など、21件の住民の訴えがあります。
 そして、北海道大学 田鎖助教が開発したシミュレーションソフト H-Riskに、この風車の規模、数、位置で入力すると、約6000人が睡眠の入眠妨害、約70名が深刻な睡眠障害による、不眠症のリスクが試算されます。


67人の不眠症リスク
 6887人が入眠妨害

 8月8日の説明会で、事業者は、風車騒音と睡眠障害の指摘について「環境省は風車騒音と睡眠影響について蓋然性がないとしている」などと見解しており、驚きました。環境省は2017年の指針において、「風車騒音は、わずらわしさに伴う睡眠影響を生じる可能性はあると、風車騒音による睡眠影響については、認め、評価検討する必要性がある。としているのです。事業者は市民の面前で全くでたらめの説明をしたのです。

また、矢引風車の70名の不眠症リスク、約6000人の入眠妨害のシミュレーション結果を如何に評価するかを尋ねたところ、事業者は、このソフトウエアは残留騒音や障害物の遮音効果について加味されていないので、過大な評価となるとして結果を完全に否定をしました。

これについて、田鎖助教は「残留槽音と風車音による健康リスクの関連性」を示す科学的知見は存在しないため、この開発ソフトウエアでは、そもそも残留騒音は考慮していない。また、障害物の遮音効果についてだが、ISO9613-2:2024版では,建物等の影響は入れない方が適切である,とされている。入れるとすれば,地形の影響だが、安全係数として,何dBか上乗せして評価すべきであり、それを踏まえればこの結果はリスク評価として十分有用である。と見解しています。
 
先ず、このシミュレーションソフトは、騒音制御学会誌で査読論文として発表されたもので、41dBで不眠症リスクが増大するという根拠についても、夜間で37DBの規制値を定めている デンマークや、夜間40Dbのドイツなど、国際的に定められた規制値と同レベルです。この科学的なシミュレーションの結果について、全く科学的な根拠も示さず、完全否定する事業者の姿勢は、全く論外であり、リスクコミュニケーションや説明責任をおこなうべきアセスの説明を逸脱した、市民に対して極めて問題のある言動と感じました。
 
田鎖先生らは、4MW風車であれば、予防原則の安全率をとれば、最低でも2km以上離すべき。と言及されておられます。
世界各国、離隔距離のガイドラインがありますが、例えばドイツのバイエルン州では10H(テンハー)ルールというガイドラインがあり、風車の高さの10倍の離隔距離を民家から離しています。
 このドイツの10Hルールからすれば高さ172mの矢引の風車、1.72km以内に1000件以上もの民家が存在する今回の事案は完全に、バイエルン州のガイドラインに違反し、他、最低限1k。実績として1.5km、1.3km離している他のドイツの州と比べても1km以内に500軒もあるなんて、許されない実態です。

また、準備書でしめされた事業者の騒音評価については、用いられている計算や予測モデルは1996年のISOモデルであって、これだと、風車騒音のレベルが過小評価になる。昨今改定された2024年のモデルを用いるべきである。と有識者から指摘を受けています。
 4.2MWという巨大風車の1km以内に582件も民家がある当該計画は、特にこの風車騒音と健康被害の問題において、大変大きな問題があり、環境を保全し、市民の健康を守るべき市行政として強く介入すべきと考え、9月6日、鶴岡市議会 一般質問で質問しました。この映像の22分以降です。


私は、この準備書への意見書を以下のように提出しました。

仮称)三瀬矢引風力発電事業環境影響評価準備書などに対する意見書
(質問含む)

以下、質問と意見を記す。

先日まで縦覧されていた準備書で明らかになったのは、今回の風車は4.2MW 高さ172mを6基というものである。そして、その計画区域から500m以内に6軒。1キロ以内に582軒。1から1.5キロ以内に439軒。2キロまでだと計1195軒の民家が現存するということが準備書で明らかになっている。

4.2MWという巨大風車であるが、秋田県内では、周辺に民家がない港湾の洋上に建設されたもの。又、周囲にほとんど家屋のない、にかほ高原に2024年より4.3MWが稼働している。
■2km圏内に千軒を超える民家がある事例について
1km圏内に500軒以上、2km圏内に1千軒もの民家がある事例は国外でも国内でも希有ではないか。
●1今回の計画は4.2MW風車の1キロ圏内に500軒以上、2キロ圏内に1千軒を超える民家がある。これまで、このような事例は存在するか。海外、国内で、事例があれば紹介いただきたい。
ないのなら、鶴岡市民が実験台ということになるが、どういう認識か?伺う。

■風車騒音と健康被害について

 北海道大学 田鎖助教が開発したシミュレーション H-Riskにこの風車の規模と位置をいれると、約6000人が入眠妨害と70名の不眠症リスクが試算される。

H−Riskの70名の不眠症リスク、約6000人の入眠妨害のシミュレーション結果について、対応を尋ねたところ、3点を理由に否定した。
1)H-Riskで扱う風車からの騒音データが過大と主張した。 これについては、H-RISKでは,デフォルトでは,「過去の測定結果に基づき,発電出力から音響出力を推定」している。正確性を問うならば、先ず、今般の風車 SG4.2MW について風車メーカーからの音響出力の報告値を提出いただきたい。その際は、第三者機関による当該風車騒音についての音響出力の調査値についても同時に提出を求めるがどうか。


●2事業者は8月8日の説明会で障害物の影響が加味されていないという点を指摘して過大評価になる。と指摘していた。ただし,ISO9613-2:2024では,建物等の影響は入れない方が適切である,とされている。入れるとすれば,地形の影響だが、複数のパターンで計算すべきかと思うが、安全係数として,何dBか上乗せして評価すべきであり、障害物の影響が入らぬから、過大とは必ずしもならない。この有識者の指摘について見解を伺う。

●3残留騒音について加味されていないから結果に問題がある、という指摘について。田鎖助教は「残留槽音と風車音による健康リスクの関連性」を示す科学的知見は存在しないため、私の開発ソフトウエアでは、残留騒音は考慮していない」としている。従って指摘は論外である。この指摘について見解を伺う。


●4 3)については論外。1)2)については、予防原則としての安全係数を踏まえた上でのシミュレーション結果としては過大とは言えず、事業者の指摘は、査読論文で発表された、科学的なシミュレーション結果を否定するには、根拠に乏しい非科学的といえる指摘・姿勢である。
このシミュレーションソフトは、騒音制御学会誌で査読論文として発表されたもので、40.5dBで不眠症リスクが増大するという論拠についても、デンマークや英国など国際的に定められた規制値と同レベルである。科学的な論拠も示さず完全否定する事業者見解は論外である。この指摘について見解を伺う。
改めて、6000人の入眠妨害、70名の不眠症リスクが生じるというシミュレーション結果について事業者の見解を問う。くれぐれも科学的な論証、根拠なしに査読論文
を否定する事はやめていただきたい。

●5 この間、準備書や説明会資料でしめされた事業者の騒音評価については、用いられている予測モデルは,1996年のISOモデルである。このモデル(ISO 9613-2)は2024年に改訂されており,風車騒音に関しても記述がある。2024年のモデルを用いるべき。受音点の高さは,実際の聴取高さに関わらず,4mとすべき地表面効果を0.5として計算した場合,風車騒音は過小評価となる。つまり,この準備書の予測では,風車騒音のレベルは過小評価になる。ということと有識者から指摘されている。
2024年モデルでやり直し、科学的に「過小評価」とならない正式な予測をおこない、住民に説明し直すべきであると考えるがどうか。


●6また、事業者は、騒音問題について、アセス法に沿って評価、等と言及した。しかし、アセス法にはどの計算モデルを使うだとかの細かいことは規定されていない。が、アセス法は「ベスト追求型」であることが明記されており,環境への影響を最大限低減もしくは回避するためにあらゆる評価を行う,というのがその精神である。
H−Riskの評価を科学的な根拠も示さず、否定して回避するだけという姿勢は論外である。この事業者の姿勢には、説明責任を果たそうという姿勢もリスクコミュニケーションを果たそうという姿勢も、微塵も感じることができない。
H−risk かそれに相当するシミュレーションをおこない、現在指摘される70名の不眠症リスク、6000人の入眠妨害というリスクが回避できるのか。回避できるのならば科学的なシミュレーションや論証とともに示されたい。見解を伺う。
 
■鳥類への懸念について
8月8日の事業者説明会では、渡り鳥、ラムサール湿地への影響などの質問については、単に飛来地としては関係ない旨の説明をし、渡り鳥のルートについては説明書面も、説明も皆無だった事は、論外である。
ラムサール湿地、また、そこに飛来する国際的な保護鳥、天然記念物などのマガン、オオヒシクイ、シジュウカラガン、コハクチョウなどの生態系を破壊する危機について全く説明責任を果たさなかった。

この問題について、先ず、同事業者が昨年10月に撤退した加茂の風車のケースでは、加茂風車の建設予定地を、1000羽/月 以上、国の天然記念物であるマガン、オオヒシクイ、コハクチョウが渡りルートとして、飛来している事が判明したために撤回となっていた。
●7 この加茂の計画とほぼ、同様の渡りのルート上に位置する矢引の計画でも加茂と同様、月数千のマガン、オオヒシクイ、コハクチョウに影響することは、十分に考えうる事でないか?加茂と同様の影響が考え得ることから、矢引の計画も撤退すべきなのではないか。見解を伺う。 それを否定するなら双方の渡りルートを飛翔する渡り鳥にどのような差井があるのか。なぜ、加茂では影響が甚大で撤退したのにもかかわらず、矢引では影響が甚大とはいえないといえるのか。科学的な根拠を示していただきたい。


ラムサール条約湿地や、東アジアオーストラリア・フライウェイ・ネットワーク EEAFP に登録されている、秋田県大潟村から、我が大山上池下池を通過し 新潟県 佐潟・福島潟と の間を行き来する、ガンカモ、コハクチョウなどの国際的保護鳥、ラムサール湿地や保全湿地の価値を損なう可能性が有る重大な案件に対して、事業者は8月8日、全く説明をおこなわなかった。
●8今般の三瀬矢引風車はラムサール湿地から5kmと近接している。加茂の計画で指摘された、ラムサール湿地から7kmに存在する三瀬八森山風車との累積的影響も十分に考えうる。これら湿地に飛来する渡り鳥に影響し、ラムサール湿地、EEAFP保護湿地の価値を損なう可能性について事業者は如何に考えているか。改めて伺う。


●9 又、稀少猛禽類で三瀬八森山風車で実際にバードストライクを引き起こしたクマタカについては、今般の予定地で2つがいが確認されている。この時点でこの計画全体を撤退させるべきではないか? 準備書で示された確立値を試算すれば20年以内に確実にヒットすることが試算できる。またバードストライクを引き起こして当然という見解なのか。見解を伺う。

●10 八森山での経験からすれば、事業者の環境影響措置は全く信頼できない。
八森山ではバードストライクが引き起こされたとともに、以前よりも生息域が大幅に狭められていることが事後評価書で明らかになっている。更にクマタカをはじめとする稀少猛禽類の生息域を狭めたり、更なるストライクをひきおこしてはならない。
この稀少猛禽類への懸念を踏まえても撤退すべきと考えるがどうか。

●11 地域住民からは、開発区域が一昨年の西目の土砂災害の地質と類似しているとして、風車建設の作業路や建設地として、山の尾根筋の大規模な開発、改変がおこな われる。これにより、土砂災害を誘発する増災の可能性を指摘する声がある。 この問題に対して、事業者は十分な土質調査などをおこなうべきであるが、調査はおこなったのか。実態を問う。 又、尾根筋の開発による土砂災害の懸念などについてのリスクマネジメントをどのようにおこなっているのか。対処策をどのように考えているのか。見解を伺う。

●この三瀬矢引風車事業については事業の中止、撤退を強く求める。

1)4.2MWという巨大風車を、1km圏内に500軒以上、2km圏内に1000軒以上もの民家があるという国際的にも希有な事業計画であること。
2)H-Risk により70名の不眠症リスク、6000名の入眠妨害が生じるとシミュレーションで算出され、住民に健康リスクを伴う計画と判断できること。
3)ラムサール条約湿地、EEAFPのネットワーク湿地を飛び交う水鳥の生態に影響を与え、湿地の価値を損なう恐れがあること。
4)稀少猛禽類の生態系への影響を与え、鶴岡特有の森林環境の価値を損なうおそれがあること。
5)風車建設の作業路や建設地として、山の尾根筋の大規模な開発、改変がおこな われる事により、土砂災害を誘発する増災の可能性が考えうること。

以上、この風発計画は、多くの問題を抱え、持続可能な地域に貢献する開発とはいえない。 事業者の計画の中止、撤退を強く求める。


●なお、8月8日に行われた市民の説明会は、事業者の勝手な判断で一人2問までなどと決めて質問を制限し、更には質問を途中で遮り、回答を怠った。又、査読論文に基づくシミュレーション結果を全く科学的根拠なく否定してそれでよしとする。又、特に重要な鳥類やラムサール登録湿地への影響などについてほとんど説明を行わなわないなど不当極まりないものであった。この説明会は環境アセス法の趣旨を逸脱し、説明会ガイドラインに反している。結局何の説明責任もリスクコミュニケーションもおこなわれなかった。改めて市民全体への説明会の開催を強く求める。

このことは、事業開発本部 宮尾氏宛と、 環境省 環境省大臣官房環境影響評価課 宛同送で2024.8月22日16時50分にメールで要請した。
これに対して未だ回答は全くないが、要請を受領した事を認め、再度開催を改めて、求める。


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