胎動はボディーブローのように
いつの間にやら妊娠9か月になる。
あとひと月ほどで、少年が生まれてくるらしい。
毎日お腹が内側からポコポコと蹴られて、あるいは手で押されて、あるいはごそごそと身うごきされて、表面から見ても明らかに動いている。
たまに何やってんのか分からないけど中で暴れたりしている。
なぜ荒ぶるのか、君は。
中で動かれるだけで、結構疲れる。なぜかは分からないけど、肉体的に疲れる。
肉体的には不快な部類の刺激。たまに痛い。膀胱とか肋骨とか、筋肉で守られていないヘソとか、子宮越しとはいえ勢いよくヒットすると、驚く。
時にヒットをかましつつ、継続的に数十分と動かれると、じわじわと体力が減っていくのを感じるし、中の人の調子が良いと座ってるだけの午前中でもぐったりする。
私が体力ないだけで、他の妊婦さんはそうでもないのかな?
胎動で疲弊するって聞いたことなかったんだけども。
ゴリゴリ動かれている時はなんとかおさまって欲しくて夫の手をお腹に乗せてみたり、お腹を見つめてみたりするものの、期待むなしく大して効果はない。マイペースな人よ。
胎動って、しんどくなくて、たまに「いたっ」とか言うものの、基本的に肉体的な負担はさほどなく快な刺激だというイメージは違ったんだなということがわかって、イメージが覆されたことについては快い。
私一人の体に戻るのは楽しみだと思う。
お腹に保育器をつけて生活しているような状態は、いろいろ楽じゃない。
でも、別に嫌なわけじゃない。
今も書きながらヘソの上あたりをゆっくりと蹴り上げられていたり、左足の付け根あたりをゆっくりと手で押し広げられておる感覚がするけれど、それって、そういうものって言えばそうだけど、なかなか面白い。
子宮ってその辺まで広がってるもんなんですね、って思いながら甘んじて押されている。
お手柔らかに頼みたい。
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