「君たちはどう生きるか」における鳥のメタファー
宮崎駿の新作、「君たちはどう生きるか」を見てきた。
以下、モリモリにネタバレになる気がするので、お気をつけください。
観た素朴な感想とか、内容の私的まとめとか、理解が追いつかなかった諸々などを書き留めたいなと。
気になったのは、人以外は鳥ばかりだったこと。
宮崎駿といえば、飛空艇というか飛ぶもの好き。
今回も、主人公の父親は戦闘機を作ってる会社の社長ぽかったし、その辺はジブリ感。
今作の鳥たちは、青鷺、ペリカン、インコ。
それぞれ、役割が分けられていて、中でもインコは理解しやすい。
青鷺は、ジブリにお馴染みの主人公の友達枠。
ペリカンは、翻弄されていることに意識的ながらもどうにもできず苦しんでいる。世界の歪みを気づかせてくれる。
インコは、盲目な大衆。宮崎駿作品は、よくこのタイプが出てくるなぁと思う。驚くことに、記憶の限りではインコたちは全然飛んでない。彼らは殊更に悪ではなくて滑稽なまでに既存の枠組みの中でキビキビやっている。疑念は持たないタイプのバカ。体制側、マジョリティ側の「一般人」、権力側の人間。こういうのが嫌いなんだろうなぁと思う。だから、彼らだけは飛んでない。ご先祖さまは飛んでいた、と彼らはいう。でも、救いだなと思うのは、彼らがあの空間(つまり一つの支配的な体制)から解き放たれた時、パンドラの箱が開いたようなものだろうけど、インコも(そして他の鳥たちも)飛んでゆく。
正直、終盤にわかりやすいメッセージを大叔父が述べ始めたときは、胸熱ながらも伝えたいメッセージを直接キャラクターに言わせちゃうのかーー。あーーー。と思ったりしたんだけど、鳥たちに込められてるのこそ、振り返るとアツい。
大叔父とインコ王と主人公のやりとりも良かったけどね。
一生懸命支えてきた脆弱な世界(そして既存の体制)を大切に思うからこそ代替わりして、新体制を築いて欲しいという大叔父。対して、自分では不相応だと返す主人公。そこに、目の前のことしか見えていないインコ王が力づくで新体制を築こうとするが瓦解。既存の体制が瓦解していく中で、それを踏襲する形ばかりの新体制は脆い。ではどうするのか。元の世界に戻っても、もうすぐ火の海になるのだぞと止められるが、主人公は、そういった脆さを抱えた世界で新たな権力者になるのではなく、友達と進んでいくと答える。
分からなかったのは、「学べば死ぬ」と掲げられた墓。
何か、強い力を持った大きなものが眠っている場所。
ペリカンたちは、開けたがっていた。
なんのメタファーだったんだろう。
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