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嘘日記14日目(投げ銭用)

夜明け位に目が覚めた。ちょっと散歩がてらマックでも行こうと思って駅の方へ歩いた。

滅多に来ないので新鮮な感じがした。

朝早いので客が少なかった。

窓から道行く人を眺めた。朝早くからせかせかと歩く人がいて大変だなと思った。

眺めていても同じような人ばかりなので退屈になって早めに出た。

川にでも行こうと思って、コンビニで日経新聞とコーヒーを買って川まで行った。

土手でしばらく新聞を読んだ。朝の空気が美味かった。

ちょっと川沿いを歩いて帰ろうと思って歩いていたら、橋の下にブルーシートで囲った小屋があった。

おでんの暖簾が出ていたので店か?と思って近づいたら髭ぼーぼーのおっちゃんが出てきた。

おはようございますって言ったら、おうおはようって返事された。

店ですか?って聞いたら、昼過ぎからならいいよと言われた。

コーヒーでも飲むか?と言われたので、マックから合わせて3杯目だけど、ありがたくいただく事にした。

それで、おっちゃんと川沿いに座って話をした。

ここに2年前くらいからテントを貼って暮らしてるんだとか、音楽の話とか芸術についてとか話をしていた。冗談も気が利いていた。

何より話し方が優しいのが心地よかった。

帰りに用水路のトンネルの横で猫がこっち向いてニャアと鳴いた。何かあるらしいけど、今日はやめとこうと思って、その思いを込めてニャアと返して立ち去った。

家に帰って小説の細かい所を書いた。

昼になったので近所のお好み焼屋へ行ってモダン焼きとビールを飲んだ。そしてスーパに寄って、剣先するめを買った。ホームレスのおっちゃんに持って行こうと思った。

ホームセンターにも寄ったら、野菜や花を植えたいという気分になった。まだ寒いので野菜は後にするとして、花を植える為にプランターをいくつか買った。手に持てないので土と花は今度にしよう。

それで家に帰って、とりあえず空のプランターを玄関前に位置決めしておいて置いた。

そういえばと思って、ひょんひょんに電話して土をくれないか聞いたら、快く了承してくれた。

庭の適当な場所に降ろしておいてくれる事になった。

そして屋上に行って、ノートに空想の出来事を箇条書きにしたり、詩を書いた。あとは、死んだ友達や知り合いの達の事を考えてぼーっとしていた。

まだ夕方にもなっていないけど、おっちゃんのとこに行ってみようと思って出かけた。

橋の下に着いたら暖簾と、薄く電球が着いていた。

こんにちは~と中に入ってみると中はカウンターだけだけど、奥行きがあった。橋脚の中か?どうなってんだろ。

3枚の額に収められた絵と、ラジオが流れていた。

おっちゃんはいなかった。

一升瓶にご自由にって貼ってあるので、カウンターにあったコップに酒を注いで飲んだ。

結構静かだなーと思っていたらおっちゃんが現れた。

くると思ってよと言って買い物袋を見せた。

そうして、七輪を出して外で食うぞと言った。

店(家?)のすぐ前にゴザを敷いて七輪を置いて、豚を焼いて食べた。

おっちゃんは焼きながら酒ばかり飲んでいた。

一通り豚を食べた後、貝を焼き始めた。

僕はするめをおっちゃんに出したら喜んでいた。

そうして、貝をぼちぼち食べながらこの辺りの地域や気候の事、生活の事を話していたら、土手の上で低い排気音の車の止まる音。バタンと音がして車の走り去る音。

しばらくすると、高そうな服に身を包んだおばさんが現れた。

僕を見て開口一番、私は魔女だよと言った。

そのまま店の中に入って行った。酒を飲んでいるようだった。

おっちゃんは、笑顔で見ていた。

そうして貝を食べていたら、猫がやってきた。

おっちゃんはまさしく猫なで声でミコや~って言っていた。ミケだと味気ないからミコだそうだ。そもそもミケがベースなんだね。

お前もおにゃかすいたのかい、と言って、ちゅ~るを2本あげいていた。

その後にカリカリをあげた。

おばさんが出てきて、エビも食べな。しっかり食べな!と言って、木の箱に入ったエビを二箱くれた。木の箱って。

また店の中に戻りながらおばさんは、魔女なんだよ、と小さい声で何回か言っていた。

エビも焼いていたらまたおばさんが出てきて、ゴザに座った。

私たちは幼馴染なんだよって言って、酒を飲んでいた。

おっちゃんはそうだよなって言っていた。どうやら本当らしい。

3人で何でもないようなお喋りしながら酒を飲んで過ごした。

随分経ったように感じたが、始まりが早かったのでそんなに遅くはないようだった。

おっちゃんがギターを持ってきて弾きだした。歌は無かった。

おっちゃんがギターを弾きだすと、おばさんは自然の神秘について話し出した。なるほどと思わせる内容だった。

ギターを弾き終わると、おばさんは、私には明日があるからと言って紙幣をおっちゃんに渡して土手を上がって行った、そのタイミングでまた車が来て乗り込んで行った。走り去りながら、魔女なんだ、って言っていた。

その後、おっちゃんとお互いの生い立ちについて大雑把に話した。

お互い眠くなってきたので、帰る事にした。

おっちゃんにお金を払って出た。とても安かった。

気を付けて帰りなと言われた。

別れる時、何だか切なくて目がうるっとした。

また来ようと思った。

それで帰りにまだスーパーが開いていたので、酒を買って公園で飲んだ。

また死んでしまった友達や知り合い達の事を考えていた。それがあって、今があるんだなと思った。

公園を出る時には結構酔っぱらっていた。家に着いたら庭に土がこんもり盛ってあるのを見て一瞬ぎょっとした。

シャワーをさっと浴びて寝た。猫が先に布団にいた。


今日の一言:今日も元気だお酒がうまい

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