俺だけ【UR確定ガチャ】で世界最強♪貧乏で無料ガチャしか引けなかったけど、貯めたお金で引いた初めての有料ガチャで無事《ウルトラレア》が出ました!その後も引くたびに最強種の神獣、レア武器、手に入り放題!2話
「う、うぅ…………」
声のしたほうを見ると、そこにはボロボロに負傷した女冒険者の姿があった。
ソロの女冒険者のようで、ひどいけがをしている。
クエストで負傷して、ギリギリのところで逃げ帰ってきたのだろうか。
「うぅ……」
――バタ。
ギルドの中に入ると、女性は安心したのか、その場で倒れこんでしまった。
「あ、あれは……! 有名Aランク冒険者のシエルじゃねえか!? あのシエルがこんな負傷をするなんて……! なにごとだ……!?」
誰かがそんな声をあげる。
冒険者のシエル……有名な人なのか?
とりあえず、俺は倒れているシエルに駆け寄った。
誰も助けようとしないが、このままじゃ危ない。
「おい、大丈夫か……!?」
「うぅ……」
俺はシエルを抱えて起き上がらせる。
どうやら意識がもうろうとしているようだ。
けがもひどくて、このままじゃ危ない。
「おい誰か! 回復魔法を使えるやつはいないのか!」
俺はギルド内全体に響く大声で、みんなにそう呼びかけた。
だが、名乗り出るものはいない。みんな面倒ごとに巻き込まれるのはごめんなのだ。くそ……。
そこに受付嬢さんが話しかけてきた。
「ウルトさん、これはもう回復魔法じゃどうにもならないです……。残念ですが……」
「そうなのか……。くそ……どうすれば」
なんとかこのシエルという冒険者を救ってやりたいところだが……俺にはどうすることも……。
はっ……! そうだ……!
「もしかしたら、俺にどうにかできるかもしれません!」
「え……!?」
俺は受付嬢さんにシエルを預けて、いったんギルドの外へ出る。
ガチャを引くところを他人に見られるのは、面倒なことになりそうだからな。
人目のつかないところに行って、UR確定ガチャを回す。
すると――。
《紅蓮剣ドラグリオ》
レア度 UR★★★★★★★★★★
攻撃力 +450
説明 ドラゴンの素材から作られた真っ赤な剣。
「くそ……今は武器なんてどうでもいいんだ!」
なにか、回復アイテムのようなものがあればいいんだが……。
回復魔法よりも効果のある、伝説級の回復薬があるってきいたことがある。
それはおそらくURのアイテムだろう。
エリクサーか、それに準ずるものがなにか出ればいいんだが……。
俺はさらにガチャを回した。
くそ、一回100万Gと考えると、そう何度もは引けないぞ……。
「えい!」
《エリクサー》
レア度 UR★★★★★★★★★★
効果 HP全回復、けが全治療、その他。
説明 あらゆる状態を治す万能治療薬。
「おおおおお! ビンゴ!」
なんと2回目でお目当てのエリクサーを引き当てたぞ!
俺はなんて運がいいんだ!
エリクサーを持って、シエルのもとへさっそく駆けつける。
「受付嬢さん、これをシエルに……!」
「ウルトさん……! こ、これは……!?」
「エリクサーです。使ってください」
「え、ええええエリクサー……!? こんなものをどこから!? こんな高価なもの、本当に使っちゃっていいんですか!?」
「いいから! 今は人命が大事です!」
俺と受付嬢さんでシエルを支えて、協力してエリクサーを飲ませる。
すると……。
みるみるうちにシエルのけがは回復し、目をさました。
――シュウウウウウン!
――キラン☆
「こ、ここは……」
「よかった、目が覚めた……!」
「あ、あなたが助けてくれたの……?」
「そちらのウルトさんが、エリクサーをくださったのです」
受付嬢さんが俺のことを指さして、シエルに紹介した。
「え、エリクサーを……!? そんな高価なものを……いいの……?」
「お、俺は別に構わないよ。それより、無事でよかった」
「なんとお礼を言ったらいいか……」
「いや、礼なんて……」
目を覚ましたシエルは、それはそれは綺麗だった。
真っ白な短髪に、黄色の透き通った目。そこにブルーの鎧が映える。
シエルは誰がどうみても、絶世の美人だった。
そんなシエルにすごく熱意のある目で見つめられて、礼を言われると、照れてしまう。
「俺の名はウルト。よろしく」
「私はシエル。本当に、助けてくれてありがとう、ウルト」
俺たちは握手をした。
「それで、シエルはなぜこんな目に……?」
「うん、それが……凶悪なモンスターに襲われて……」
Aランク冒険者として有名なはずのシエルが、逃げることもできずにここまでやられてしまうなんて……。
いったいそのモンスターってのはどんな怪物なんだ……?
それからシエルは、思い出したように立ち上がった。
「そうだ……! 私、まだペンダントを取り返してない……!」
「ペンダント……?」
「大事なものなの……。そのモンスターに、飲み込まれてしまって……」
「なるほど、それを取り返すのに気をとられて、やられちまったってわけか」
大体の事情は察した。
「だけど、私一人で戻ってもまたやられるだけ……」
「仲間はいないのか?」
「誰も、私とは組みたがらないさ……」
なんだかわけありのようだな。
Aランク冒険者として有名なはずのシエルなら、きっと引く手あまただと思うが?
だけど、そうじゃないってことは、なにか特別な事情があるんだろう。
そこまで詮索する気はないけど。
「よし、じゃあ俺がいっしょに行くよ!」
「え……? いいの……?」
「ああ、俺も仲間がいない。それに、これもなにかの縁だ!」
「ウルト……ありがとう……!」
一度乗りかかった船だ。最期まで付き合うぜ。
それに、シエルとは初めて会った気がしなかった。
彼女の大事なものを、俺も取り返してやりたいと思った。
ま、シエルが美人で超好みってのも、理由のひとつだが。