初恋のような爽やかさと甘さと、ほんの少しのリアリティを求めて今日は、ほろ酔いたい。

LINEからの通知。

「今日は友達の誕生日!お祝いのギフトを贈ってみませんか?」

最近、毎日通知来るなぁ。
そろそろ切ろうかなと思って確認してみたら、
そこには初恋の人がいた。

1/8---そういえば、彼の誕生日だった。
私の記憶はメル友で終わってるくらいしばらくやり取りはしていない。

でも、どうやらLINEは繋がってるらしい。
生きてるんだな、って、元気ならいいな、って。

忘れた頃にいつも思い出す。
小さい頃の記憶をゆっくり感じる朝だった。



今日は会社を休んで、病院にいった。
止まらない頭痛に、必要以上に不安を抱えながら。
久しぶりに、赤ん坊の頃から見ていただいてる先生のもとへ。

行き方は体に染みついている、
物思いにふけていても、
気づけば病院
の手前の、踏み切りについている。

20年前と変わらない風景。
この踏み切りは何度も、
初恋の彼のお母さんに偶然出会った場所だ。



私の初恋は五才、幼稚園に通っていた頃。
好きになった理由はころんだ時に手を貸してくれたとか、
身長が近くてとなりにいたとか、
多分そんなようなことしか思い出せないのに、
好きだった気持ちは覚えている。

結局、小学校から別々で。
サヨウナラをしてからは彼と会ったことはあまりない。
でも、彼のお母さんには何度も、偶然出会った。
病院に通う時だけだけど。
病院のそばに通っていた幼稚園があって、初恋の彼が住む家があったのだった。

高校生になってもすれ違うと気づいてくれて、
「くるみちゃん」と呼んでくれていた。
わたしは、「○○君のお母さん!」と名前も知らない関係だったなあ、そういえば。不思議な関係。

大学に入ってほとんど病院にいかなくなり、
もうここ8年とかは会っていない。
お母さん、元気かな。



病院の帰り道、ちょっと歩いてみた。
たった3分のところに幼稚園があった。
周りの建物もぼんやりとしか覚えてないけどあんまり変わってない。
こんな小さな幸せな世界の中だけに
生きていた時代があった。

そこからまた3分ちょっと、彼の住んでたマンションはまだある。
今住んでいるかは知らない。
むかし、よくあそんでいた広場では
マスクをした子供たちがあそんでいる。

安心する。
子供がはしゃげる、笑顔でたくさん騒げる場所があるのは幸せなことだなと。



これがドラマだとすれば、
きっと、この帰り道に彼に会えるだろう。
けどそんなことはなく。

そうやって、なんてことのない淡い期待を抱きつつ。
会えなくて安心する自分もいるのが本音だったりもする。

思い出に勝手に浸って誰も傷つけず誰にも邪魔されずに、ただ過ごす。

踏み切りを渡ったらいつもどおりの、せいかつに戻るだけ。

と言ってみたものの、
ちょっぴり、
くすぐったいし、
さみしいから、
何か言い訳にもしたくて、
今日は、帰り道に買ったほろ酔いを飲んでいる。


初恋のような爽やかさと甘さがあって、
それでも、いまを生きるわたしのリアリティー、
が詰まった味。

とまあ、自分で言ってはみたものの、
だいぶ、おおげさかも。

深夜テンションで書いて、翌朝読むと、
どうした昨日の自分!!!???このポエムは!!!って。なっちゃうかもしれないくらい。
いま、まだ夕方なのに。


でもいいんだ、ちょっとながめのひとりごとだから。


忘れたいのに、忘れたくなくて。


あしたもきっと、
この気持ちを、このまま覚えていたいから。

今はほんの少しだけ、酔ってみることにする。


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くるみ
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