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つながるスイッチ!! -vol.16-支え合い推進会議 ― その⑫ ―「鳥飼校区」の取り組み

「ごみ出しをお手伝いします」

こんなのぼり旗を見かけたら、

とても素敵な取り組みを地域でされているんだな…と
個人的にはしっかり目に付いてしまいます。

とても優しいイメージがします。

「ゴミ出し支援」、
この一つの活動に集中して取り組む鳥飼地区。

課題を見つけながらも歩みを止めず
地道に活動されている様子が伝わります。

さぁ!今回も元気に
「つながるスイッチ!! vol.16 」
スタートです。

支え合い推進会議の取り組みを紹介していくシリーズ第12弾。
今回は「鳥飼校区」を紹介します。


鳥飼校区支え合い推進会議
事務局 原 学(はら まなぶ)さん

鳥飼校区まちづくり協議会
副会長 内村 達也(うちむら たつや)さん
地域連絡部 部長 亀山 善万(かめやま よしかず)さん


以上の3名にお話しをお聞きしました。


1、ゴミ出し支援スタート


鳥飼校区支え合い推進会議では、
高齢者を対象にした困りごとアンケートの結果をもとに、
ゴミ出しに困っている人への支援ができないか話し合いを重ねてきました。

「アンケートを行い、様々な困りごとがあがりましたが、すべて取り組むのは難しい。
比較的取り組みやすいゴミ出し支援に絞って活動を始めようと決めました」と原さんは話されます。


しかし、校区内のいくつかの団体に提案をした際、
反対の声もあったそうです。


「わざわざルールを決めてまですることではない、という意見が出ました。すでにゴミ出しを手伝っている人もいらっしゃったからです。
でも“ゴミ出し支援”という1つの取り組みを掲げて、皆でそこに向かうことで、昔からの地域の助け合いの精神を復活させたかったのです」と内村さん。


そこには、ゴミ出し支援を成功させることが“地域づくり”につながるという強い想いがありました。


平成31年から話し合いを続け、何度も検討を重ねるうちに、「ゴミ出し」という困りごとへの意識が「他人事」から「自分事」へと変わっていきました。
そしてついに令和4年10月、ゴミ出し支援の取り組みがスタートしました。


ゴミ出し支援をきっかけに『地域づくり』をしていこう」という考えのもと、支援する人は支援を受ける人の近所から募るようにしました。そして、支援を受ける人と支援する人が話し合って、具体的な支援の方法を決めるようにしています。支援を受ける側も助けられるだけでなく、周りと協力しながら地域で暮らしていく一員だからです。

また、“ゴミ出し支援”はあくまで地域づくりのための活動なので、支援を受ける人から料金は頂いていません。



2、ゴミ出し支援の工夫


実際にゴミ出し支援をしているのは、近所に住む人をはじめ、支援を受ける人が住む家の大家さんや仲がいい老人クラブの会員さんなど様々です。
また、支援の方法も、ヘルパーさんと連携して行ったり、複数の人が週替わりで支援したりと、支援を受ける人・支援する人の状況にあわせて工夫して行われています。

しかし、現在ゴミ出し支援をしているのは5軒ほど。


「支援のお願いが少ないのは、活動がまだまだ知られていないことと、困っている人が「手伝って」と言いづらい雰囲気があることが背景にあると思います」と原さん。

鳥飼校区では、ゴミ出し支援活動についてより広く知ってもらうための
周知活動を積極的に行うことになりました。


1、「ごみ出しをお手伝いします」と書かれたのぼり旗やチラシを作り、コミセンや地域の公民館、神社など、人目につくところに掲示して、ゴミ出しの支援をしていることをアピールしています。


2、校区の広報紙「とりかい」に、支え合い推進会議の協議内容に加え、「手助けを求めることをはばからないで」と題した記事を掲載し、「遠慮しなくていいですよ」というメッセージを発信しました。


このように、ゴミ出し支援が地域に定着するための工夫を
メンバー全員で試行錯誤しながら行っています。

助け合いの精神を根付かせるため、鳥飼校区の活動は続きます。


3、活動して思うこと、これからのこと


●原さん

まずは、今取り組んでいるゴミ出し支援の活動をもっとPRして、多くの人に利用してもらえるよう、コツコツ地道に取り組んでいきたいと思っています。
そして今後は、困りごとアンケート結果に出ていた、他のたくさんの困りごとにも取り組んでいけるようにしたいです。ただ、校区全体に後継者不足という問題があるので、これからは、若い人にも地域の活動に参加してもらえるような取り組みを少しずつ考えていけたらと思います。


●内村さん

今、自治会同士が統合しようかという話が出ているくらい、校区全体が後継者不足で悩まされています。役を務めているメンバーもほぼ70歳以上で、高齢者で校区を動かしているような感じです。そして少子化で子ども会活動も減っており、今、校区の土台が揺らいでいるのではないかと懸念しています。
今こそ、校区で子ども達を大事に育てていかなくてはいけません。鳥飼校区では、子どもたちが企画したイベントを地域の大人が一緒に実現していく「とりっ子サポーター」という取り組みを新しく始めました。子どもたちや若い世代を含めたもっと多くの人に地域活動に参加してもらいたいですね。そして、「向こう3軒両隣」の精神、みんなで助けあって暮らしていくという地域を改めてつくっていきたいです。


●亀山さん

ゴミ出し支援では高齢者を対象にしていますが、「共働きの若い世代のゴミ出しを手伝うのはダメなのか」、「困っている人は高齢者だけではないのではないか」という意見もあります。
ルールを決めないと支援する側との連携が取れず取り組み自体がうまくいかない、
でもルールを決めすぎると利用者が少なくなってしまう…と悩んでいるのが現実です。

また、支援活動に取り組むだけでなく、その担い手がどれだけいらっしゃるのかも同時に考えないといけません。きっと地域と関わりたくないと思っている人もいると思います。そういう人たちに、どのように地域活動に関わってもらうかが今後の課題となってくると思います。まずは、自分が住んでいる地域に問題意識を持つことが大事ではないでしょうか。一方で、地域と関わりたい、何かできることをしたいという人達もたくさんいるはずです。みんなで鳥飼校区を盛り上げていきたいです。


4、取材を終えて


ゴミ出しという身近な支援ひとつに絞り、その活動を通して地域づくりを進めている鳥飼校区。取材中、「支援に取り組むことは、サービスづくりではなく“地域づくり”です」と皆さんが口にしていた言葉。自然に支え合い、助け合う校区にしていこうという熱い想いが伝わってきました。そして、子どもたちや若い世代に目を向けて、新たな取り組みを行っていることも印象的でした。「校区で子ども達を育てていく」という内村さんの言葉。高齢化、少子化へ不安を感じながらも次に進もうとされていました。

  原 学さん        内村 達也さん      亀山 善万さん

内村さんの趣味はゴルフ、原さんは畑仕事が日課だそう。亀山さんは市民マラソンに参加したり、「津福 山の会」に所属して山登りに行ったりもされているそうです。そして、アクティブな3人の共通点はお酒を飲むこと。「最近は身体を気づかって麦焼酎を飲んでいますが、日本酒、ウイスキーなどなんでも大好きです(笑)」と内村さん。コロナ前は、会議後にメンバー皆で飲み会をするのが楽しみだったそうです。


【まとめ】

・ゴミ出し支援はサービスづくりではなく「地域づくり」

・支援を受ける人と支援する人が話し合って、
それぞれの状況にあわせた支援を行っている

困っている人が声をあげやすいような
工夫を凝らした周知活動
を行っている


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