つながるスイッチ!!-vol.15-支え合い推進会議 ― その⑪ ―「安武校区」の取り組み
今回の取材は、
安武校区にある地元の電器屋さん
「クママル電器」さんで行いました。
いつもはコミュニティセンターでの取材が多いので
地域のお店での取材は初めてです。
お店の方から出していただいた珈琲で
しっかり心も温まりました!
さぁ!今回も元気に
「つながるスイッチ!! vol.15」スタートです!!
支え合い推進会議の取り組みを紹介していくシリーズ第11弾。
今回は、「安武校区」を紹介します。
安武校区社会福祉協議会
会長 緒方 眞一(おがた しんいち)さん
安武校区まちづくり振興会
事務局長 中島 浩一(なかしま こういち)さん
(有)クママル電器
会長 井上 雄之(いのうえ たけし)さん
以上の3名にお話をお聞きしました。
1、「やすたけ愛ネット」と地元のお店との連携
安武校区支え合い推進会議では、地域の困りごとを把握するため、
令和元年7月、高齢者世帯を対象にした「困りごとアンケート」を実施しました。
アンケートの結果、
「重いものを運んで欲しい」といった生活する上での手助けや、
「草取りや庭木の剪定をお願いしたい」などの季節の仕事が困りごとの上位にあがりました。
アンケートの結果をもとに支え合い推進会議で活動内容を決定し、
令和3年10月、校区住民の困りごとに対応するグループ「やすたけ愛ネット」が
立ち上がりました。
その後、住民からの依頼を受け、活動を行っています。
活動を始めてみて実際に依頼が多かったのは、「買い物や通院の付き添い(タクシーに同乗)」です。なかには、「食事をつくってほしい」といった依頼もありました。
愛ネットが立ち上がって以降、愛ネットにどんな依頼があったか支え合い推進会議で報告し、「どう対応したか」「今後、対応できるかどうか」などについても話し合っています。さらに、移動販売車の利用状況など、校区内の様々な情報もあわせて報告することで、支え合い推進会議が地域のニーズを共有する場になっています。
そのなかで、「高齢者宅へのお弁当配達をしていたときに『電球交換に困っている』人がいた」という情報をキャッチ。「電球交換」は愛ネットの支援メニューの一つとしてチラシにも掲載していましたが、「高所の作業は一般のボランティアにとっては危ないのではないか」という意見が出ました。
「電球交換に困っているというニーズがあった時、
脚立作業は危険を伴うため、やすたけ愛ネットでは対応が難しい。
プロに頼んではどうだろうと、会議で話し合いました」と緒方さん。
その後、
昔から地域活動にも関わっていた、安武校区内の電器店「クママル電器」の井上さんにその旨を相談。
井上さんは快く了承されました。
井上さんは、「やすたけ愛ネット」の活動に賛同され、「何か手伝えることがあれば相談してもらって大丈夫」と電球交換以外の活動への協力も申し出られたそうです。
「量販店やネット販売に押され、私たちの業界も正直厳しいのが現状です。
我々は地域がなければ成り立たない。
だからこそ、地域と関わること、人間関係を築くことが大事だと考えます」と
井上さんは話されます。
愛ネットでは、活動してくれる協力会員1人の活動30分につき200円の利用料金がかかります。
しかし、電球交換の依頼については、
依頼者がクママル電器で電球を購入することによって利用料金はいただかないと取り決めました。
「依頼者は困っていた電球交換をしてもらい、電器店は交換する電球を買ってもらう。依頼者と電器店、ともにウィンウィンの関係になれます」と緒方さんは
校区と地場の企業・店舗との新しい関わり方を話されます。
ただ、その後の電球交換の依頼は今のところゼロ。
「もともと地域をまわっているから、その都度解決しているというのはあるだろうね」と井上さん。
しかし、愛ネットと電器店が連携したことで、“危険だから”という理由で依頼を断らずに解決先を案内でき、クママル電器も地域とつながる新たなルートを得ることができました。
こうして校区内に良い循環が生まれつつあります。
2、活動して思うこと、これからのこと
●緒方さん
安武校区は、昔からのつながりが根付いている地域です。先日、支え合い推進会議内で「庭に大きな木があって枝が隣の家にはみ出ているので切って欲しい」という住民の声があることが話題になりました。すると「自分が切っていいよ」という人がいてその人がすぐに対応。次にその切った木の処分に困っていたところ、薪ストーブを持っている人がいるという情報が入り、その人が伐採した木をもらってくれました。このように、何か困ったことがあれば住民同士で情報を共有し、助け合うことができる校区ですが、助け合いのかたちの一つとして愛ネットも続いていけばと思います。
また、今は高齢者の困りごとに対する活動を中心に行っていますが、子どもや若い世代への取り組みも必要ではないかと考えています。「やすたけ愛ネット」で対応できる活動内容を増やしていくこと、それに伴って協力会員も増やしていくことが今後の目標です。
●中島さん
今後は、世代に関係なく皆が住みやすいまちになっていけばいいと思います。そして、愛ネットがその一助になればいいですね。「やすたけ愛ネット」の買い物支援の際、支援した側から「楽しかった」という声を聞いたことがありました。定期的な支援だったので負担になっていないかと心配していた分、とても嬉しかったです。人の助けになりたい、人と関わりたいと思っている人はたくさんいるはずです。その声を丁寧に拾いながら、「住みやすいまち」を目指します。
活動の周知については、口コミが大事だと思っています。最初は力が必要でも、まわり出せばスイスイ進む自転車のように、口コミが広がれば愛ネットもだんだん地域に定着していくと思います。
●井上さん
これから、地域の過疎化が大きな問題となってくるのではないでしょうか。一人暮らしの高齢者も増えていくと思います。若い人たちをこの校区にどう引き留めるか、行政とも連携を取りながら策を練らなくてはいけません。地域と企業のつながりは大事です。
私はこの土地でお店を始めて50年以上になります。オープン当時からの常連のお客さまもいらっしゃいます。お客さまの困りごとはスピーディーに対応し、これからも地域を大事に仕事をしていきたいと思っています。今回、「やすたけ愛ネット」の話をいただいたことを大変喜んでいます。企業やお店側も、地域ともっと関わりたいと望んでいると思いますし、もしかしたら、そういった声を地域にかけてもらうのを待っていらっしゃるかもしれません。もっと地場の企業やお店も住民と一緒になって、地域を盛り上げていきたいものです。
3、取材を終えて
つながるスイッチ!!シリーズ初の、お店の店主さんが参加しての取材。場所もクママル電器の店内で行われました。取材中、お客さんが訪れ、従業員さんが行き交い、電話も鳴り…活気溢れる空間での取材となりました。緒方さんが話されていた木の伐採のエピソードや、校区内のお店の話、「〇〇さんがこう言っていた」など、取材中も身近な話題がたくさん出てきて、地域の皆さんがお互い近い存在なのが伝わってきました。
そして、今回取り上げさせていただいた電球交換の依頼ですが、この記事が良い告知となり、依頼がバンバンくるかもしれない!と3人は笑顔でこれからのことを楽しみにされていました。
皆さんに休日の過ごし方をお尋ねすると、緒方さんはウォーキングと読書がお好きだそう。あと、時間がある時は必ずインターネット検索をして、今、何が問題になっているのか最新の情報にアンテナを張っているそうです。中島さんは散歩が趣味。コースを決めずに、その時の気分で色々なところを歩いているそう。「見慣れたところでもゆっくり歩いてみると新たな発見があって面白いですよ♪」と中島さん。井上さんはご夫婦で旅行に行かれているそうで、ずっと仕事ばかりで迷惑をかけてきた奥様への恩返しも兼ねているそうです。「妻へ、ゴマスリしてるんですよ」と照れながら話されていました。
また、お仕事のため取材への同席は叶いませんでしたが、クママル電器の戸部田社長も一緒に写真に写ってくださいました。
【まとめ】
・「やすたけ愛ネット」では、
地元企業・店舗と連携を取り、困りごとに対応
・お店側も地域とのつながりを大事に思っていて、
お互いさまの関係性が出来ている
・今後も「地域とつながりたい」「誰かの助けになりたい」と思っている
企業や住民の声を拾っていく
・依頼数に関わらず、ニーズを拾って体制を整え、口コミで定着させていく。
それが、困っている人を支える地域の仕組みづくりにつながる
久留米市社会福祉協議会
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