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2024年9月18日GEAR若手クラファン化研究会に参加しました



参加者

学生は全部で20人です.大分県,福岡県,長崎県,三重県から参加しています.

背景と目的

昨年まで、GEARエネルギー環境ユニットでは、ELSIを考慮した研究開発やアイデアソン、ビジネスプランコンテストなどを通じて、水素の活用とビジネス展開に向けた人材育成を行ってきました。

本年度の若手研究会では、特に資金調達に焦点を当てて研究会を行い、参加した学生が講演やグループワークを通じて、起業や資金調達に必要な基礎的な知識やスキルを身につけることを目的としています。

また、会終了後も資金調達に対して継続的な支援体制を整え、希望する学生が実践的なスキルを身につけることも考慮しています。

9月18日 1日目

西口先生からあいさつ13:00から13:08まで

お金をあつめる(旅費、人、知財化、起業に向けたノウハウの勉強)ということについてお話しいただきました。この研究会では社会はどのように動いているか?これまでどのように成功してきたか?どのような技術が成功してきたか?を紹介して、学生さんにクラウドファインディングに向けて準備して頂きたい。

機構本部 理事長補佐の加藤先生から挨拶

日頃、国立高専の設置者として、予算、人事の切り盛りをしていて教育の切り盛りは高専現場。機構本部は学生の教育に関心を寄せています。

学生さんと教員の方々の努力が表に出ており、外部機関から良い評価を頂いている。

9月15日に高専人会の交流会(沖縄にて)がありました。全国に50万人の卒業生がいます。今日講演いただくプロッセルの横山さんはイベント運営をされています。高専人会では学校を超えてつながるというのを大事な趣旨とされていて、このイベントもそういう場であってほしいと挨拶頂きました。

福岡県での社会実装事例についてのご講演と企業様からの具体的な事例についてのお話13:10から13:25まで

県庁の藤原様から事例について紹介いただきました。

福岡水素エネルギー戦略会議について
2004年8月3日に設立。背景は国のエネルギー政策(石炭→石油)を強く影響受けた地域。日本最大級の水素推進組織(会員数865はR4.6時点。その後、後継組織の水素グリーン成長戦略会議に引き継がれ、R6.9時点で会員数921)

5本の柱。産業集積,人材育成に力をいれている。

福岡県水素グリーン成長戦略会議
エネルギー戦略会議の後継の組織。2022年8月2日設立。水素は発電、輸送、産業の熱源など、多様な用途がある。921団体。太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーから作られる水素(グリーン水素)にも力をいれている。

2つの視点
1 産業政策の展開
2 グリーン水素の重点化

3つの柱
1 水素利用の拡大:工場、トラック、フォークリフト
2 水素製造・供給のイノベーション(価格が高止まり。低コスト化)
3 水素関連産業の集積

戦略会議の取り組み

トヨタ自動車九州における再エネ水素利活用モデル事業
太陽光で発電した電気で、水の電気分解により水素を製造。そちらをフォークリフトに活用する。

北九州市響灘地区における再エネ水素製造・供給実証事業
太陽光、風力、バイオマスの余剰電力によって水素を製造。製造した水素を域外(北九州水素タウン、水素ステーションなど)に供給。

西部ガス。水電解で作成した水素と近隣の工場から出たCO2を利用しメタンを合成。メタネーション。

九州電力。水素ステーションの水素を利用して九州大学路線バスにて活用。

FCトラックの商用運転開始。西日本発となる商用導入。福岡県にて7台導入の支援。県内物流事業者。導入補助金。

日田彦山線BRTにおけるGCバス実証実験。

燃料電池船運行事業者への補助。船の商用運航。


水素関連産業の集積

水素ビジネス参入セミナーどういった部品が必要か?どういった技術が必要か?情報提供;技術アドバイザー派遣;製品開発助成 年間上限1000万円、最長3年間 市場調査で500万円、1年間;展示会出展支援 を行っておられる

水素可視化シートを利用した小型検知装置など

世界最高水準の試験施設:HyTReC

日本初の公的試験期間。年間300件ほど。

水素拠点構築に向けた検討(民間事業者と県・北九州市が連携)

福岡県が目指す将来の姿

https://f-suiso.jp/site2/wp-content/uploads/2022/09/pamphlet2022.pdf

Tokiエンジニアリングの小柳様が継手やシールについてお話 13:27から13:42まで

小柳社長からものづくりについてお話を頂きました。はじめてのものづくりだったこと。元々設計の専門家ではなかったこと。ガス圧力を利用した金属シールだったこと。シールする部分が塑性変形しないように。70MPaにも対応して何度でもつかえる。特許庁にとる。パッキンがどこまで使用できるか?を試すと356MPa。JAXAとも2018年から一緒に仕事。HyTReCで1号試験。1週間で10万回。液体水素の試験もJAXAと共同で。

宇宙産業における液体水素の利活用と可能性。食品用金属シールから、水素利用へ展開したお話を頂きました。

水素分離膜について大分高専の松本先生が説明  13:44から13:59まで

TOKiエンジニアリング株式会社の金属シールに関して、真空から10気圧を対象としているが、真空にも耐えることのできる構造。

高専教員として見据える産学連携

https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2024/07/19/JDC2024071001981

いろんな新規材料の開発や製造において、水素利活用があるというお話を頂きました。

資金調達の各ステージ(どこを目指すか?何を目指すか?)


https://www.shinkin-vc.co.jp/wp-content/themes/shinkin2020/images/page/parts/ma_11.jpg

研究→開発→事業化→産業化についてお話を頂きました。

https://stockmark.co.jp/wp-content/uploads/2022/10/devilriver-valleyofdeath-darwiniansea-02.png

アメリカと日本の国としての資金援助の文化の違いをお話し頂きました。

ベンチャー企業が行き残るためには、アクセル踏み続ける必要があるというお話しを頂きました。

株式会社プロッセルの横山様によるクラファン・投資・起業に関する講演 14:03から14:48まで

ゲットするために必要なこと

株式会社プロッセルの横山様から自己紹介。長岡高専の卒業生とのこと。2020年、サイクロイド減速機。鈴鹿高専、和歌山高専にもオフィスがあるそうです。

Taimeeにて働いておられたときのお話し。

長岡高専出身の渋谷修太さんとは実家が徒歩30秒くらいの近さで、スタートアップに親近感。Closerの樋口翔太さんとは同級生で研究室の班割りも同じ。長岡高専の同じクラスでは40人のうち4人が起業家。
Elevation Spaceさん、Ai Picassoさん、Field Worksさん、Sakeaiさんなど同級生が高専卒というお話。会社の共通点はスタートアップ。

スタートアップってなに?

起業を2つにわけると、スモールビジネス(既存の市場)とスタートアップ(未確認の市場がターゲット)に分けられる。

スタートアップが見つけるべき課題
99%の人が悪いとおもう良いアイデアをみつける
・他の企業は検討していない
・市場がまだ定義されていない
・顧客インサイトをあつめてのプロダクト作成が重要
・カスタマーの声を取り入れてプロダクトをつくる
→スタートアップだからこそ勝てる

ソリューションではなく、課題にフォーカスする
課題の質を高めて、ソリューションの質をたかめる

https://scrapbox.io/ryoheikishi/スタートアップのアイディエーション

失敗事例の紹介
・Googleグラス
ウェアラブル端末が来ると思って作成
・使用用途が不明瞭
・価格が高い

課題の検証が不十分だと、誰も望んでいないものが作られてしまう。

誰の課題を解決するか?
→自分ごとの課題を解決できるか?
→身近な人が抱えている課題を解決できるか?
課題の深掘りをおこないやすい。

スタートアップの資金調達

VC:会社の株式と引き換えに出資。金額がエンジェル投資家よりも大きい
エンジェル投資家:株式を売却でマネタイズ。
融資:銀行から借入すること。銀行はスモールビジネスにお金をかしたい。
クラウドファンディング:ファンを募って何かリターンを提供。それと引き換えにお金を得る。

上がり幅がスタートアップの方が、スモールビジネスよりも大きい可能性があるので(市場が開拓できれば)、投資家は投資したくなる(ときもある)。

エクイティの仕組み

企業価値1億円。1000万円出資すると、90%創業者保有。投資家Aさんが10%。
企業価値5億円。Bさんが5000万円出資すると、投資家Aさんが10%。創業者が80%。投資家Bさんが10%。
企業価値20億円。Cさんが5億円出資。創業者が60%。投資家A10%。Bさん10%。Cさん20%。

ここまで企業価値はお互いの同意で決まる。

EXIT(上場orM&A)に際しては、どれだけ大きい企業を作れるか?というところ。

スタートアップの資金調達
→どれだけ大きな仮説(夢)検証ができるのか?

インターンシップのシステム提供をされているそうです。

アイデアの出し方

Planシートの共有がありました。

こちらはhttps://bizlabatwayout01-wayout20181126.peatix.comより引用。

スライドの要素

MVPタイプを検証する。

MVPとは、必要最低限の機能を備えたプロダクトのこと。

https://monstar-lab.com/dx/about/about-mvp/

「高専生は自身でMVPを作れる技術を持っている人が多いので、ベンチャーを作りやすいのではないか?」とお話し頂きました。

プレゼン資料はストーリー性を持たせる!

課題テーマ背景→実社会での動向→本質課題→コンセプト→サービス内容→発展性→プロジェクトゴールを考えるというお話を頂きました。


グループワーク 15:00から17:00まで

西口先生からGEARの活動を元にしてテーマ紹介を約20分頂きました。個別のテーマに関して、必要な資金にはロボット作成、システム制作費用、実験費用がかかることを説明いただきました。

西口先生から「ガソリンスタンドが全国で何ヶ所あるか知っていますか?」と質問出たら学生から「2万7000箇所」とコメントありました(プロジェクトで水素ステーションとの比較で出てくるので、知ってくれているのかと)。

自分が学生だったら100%眠たくなるなと思いつつ、トイレで学生にあった学生にきいてみたら、「たのしいですよ」って学生が聞いていたので、このあたりリテラシーが随分高くなっていると感じました。

こういうところでプロジェクトに携わった学生さんへの教育効果が出ているんだと感じました。

グループワークの時間は約90分です。

9月19日 

グループワーク(9:00から10:00まで)のあとはチームごとの発表です

学生発表1 ノープランでも旅行

システムの概要:QRコードを読み込む.1時間の間に行けるお店を提案.順番がきたら通知がくる
差別化:車いす,大人数に対応,Wifi,コーヒー
ビジネスモデル:広告収入,お店の紹介料

佐々木コメ:アプリじゃないといけないか?QRコードよんでそのままサイトで入力できるなら,それが一番助かる.

学生発表2 ボール回収システム

技術課題:底のボールを拾うと水が濁る.未回収のボールは環境に良くない
解決策:水面航行ボート,5G遠隔操作,ゲーム感覚
市場規模:ゴルフ場2100,ダイバー月30から80万円
コスト:ボート無線中継機器,5G通信システム,光電センサ
顧客の流れ:ボールを管理者が回収しないゴルフ場が増加
洞察:ロストボールをうる(1球10円から100円),アメリカではゴルフ場が非常に多いなど

遠藤先生コメ:ニーズの調査がすばらしい.ロストボールの収益化も検討しているのが素晴らしい.遠隔だとプレー中も操作ができていいのではないか?

学生発表3 安価な水素用継手

https://www.table-source.jp/interview/interview-hydrogen/より引用

実製品の紹介:水素を熱源とした水素コンロ
課題:整備・運営コストの低減
→パイプを繋ぐ継手にコストがかかる
→パイプが繋ぐ過程で塑性変形するため,再利用ができない.
→再利用できる継手を開発
保障サービス:定期的なリークテストにより安全かつ安定した製品とする.
コスト:実験費用1.4億円(暴露試験が1日100万円.).

松本先生コメ:売り込み先はどういう企業さんを想定しているか?いい製品として売り込むためには,学術的な裏付けが必要.どんな組成の鋼を使用する予定か?

学生発表4 船体のコケ取りロボット

課題:人が行う場合コストがかかる.ダイバーの安全性の確保が難しい(水中では視界が悪く,生物的な危険の要因が多い).
提案:コケ取りロボット(5時間程度の連続運転)
ターゲット:全国に993港ありそこに小型・中型の漁船.水上構造物.
広告:漁業共同組合(直接売り込み)
運営計画:5カ年計画
費用:水中ドローン,ドローン運搬費,ドローン場所代金,5Gルータ,燃料電池一式
収入:レンタル価格,メンテナンス費用.

市川先生コメ:経費の計算も丁寧にできている.いますぐ製品化できそう.
佐々木コメ:使用頻度は月1?漁業組合.普段のコケ取りは誰がしてるのか?

特に個人経営体の自家漁業に従事する就業者において、平均年齢が62.4歳、高齢化率は51.9%となっており、就業者数の 減少幅も大きい。

https://www.jfa.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/attach/pdf/210721-2.pdf

横山様からコメ:だれに何のためにプレゼンするのか?(エンジェル投資家にプレゼンして,投資してもらうということが大事.)
発表1に対して,AIを噛ませる必要はないのではないか?開発費・研究費用の記述がほしい.積算根拠が欲しい.
発表2に対して,潜水士の活動率に関してコメントしたらよかった.ロストボールの積算がほしかった.実は雇用がめちゃめちゃ強いと感じている.
発表3に対して,使う人とステーションの関係.Paypayはお金を配る.ソフトバンクがモデムを無料で配布するとか,使い手を増やすプロセスも描いてほしかった.課題を深く描いたほうがいい.リークテストをはじめとする専門用語を少なくするとよかった
発表4に対して,燃費がどれくらい悪くなるのか?を明示した方がいい.清掃の必要頻度を明示した方がいい.レンタル代を決定する際には,清掃の費用を参考にして,決めると訴えかけやすい.

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