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ピアサポートをもっと

自分が障害者になると、初めて聞かされるのいつでしょう。ほとんどの方が病院だと思います。しかし、そう告げられても、人はそんなに簡単に受け入れられるものではありません。

障害受容過程というのがあり、多くの人が似たような過程をたどると言われています。

最初ショックを受け、受け入れることができません。気落ちしたり、何もする気が起きなくなったり、人に当たったりします。
その後にやっと、他の患者やまわりの人に目を向けるようになり、自分で努力しなければならないと悟ります。そして、障害を自分の一部として受容するようになる。

というのが教科書的な障害受容過程です。しかし、ここで出会う人や見聞きする言葉によって、人は変わります。

障害を負ってからの経験が短く入院生活をしていると、自分の未来が想像できなくて「何もできなくなってしまった」気になって人生に絶望的なイメージを持ってしまうことがあります。

そんな中で健常者に何かアドバイスをされても、全く心に届きません。障害者でもないのに、自分の気持ちはわからない。とさらに心の距離が遠くなってしまいます。
障害者は、障害を負っただけでも苦しいのに、さらに深い孤独の中に放り出されることになります。

その時に、一番効果的なのがピアサポートです。ピアサポートとは、同じ障害を持った人のお話を聞いたり、悩みを相談したりするものです。

同じ障害を持つ人が、どんな生活をしているのか。どのように人生を楽しんでいるのか、どんな困難が待っているのか。お話を聞くことで自分の生活が具体的にイメージできるようになります。何もできない気がしていたけれど、案外、できることがあるということもわかります。
そして、自分の苦しみをわかってくれる存在として、孤独から解放してくれるのも、ピアサポートの重要な役割です。


私が常々残念に思うのが、ほとんどの病院が健常者しか働いていないことです。病院の建物はバリアフリーにできています。オストメイトの方でも、車椅子の方でも、困らない設計になっています。
そんな恵まれた環境は、病院と役所くらいしかありません。

普段は通常業務をして、週に1度、ピアサポートとして働く。そんな職員さんがいると、障害受容の過程にいる人は、自分と同じ障害を持っている人から話を聞いたりできますし、その人が通常業務で働いている姿を見ることで、自分の未来を想像することができるようになるのです。

その存在の大きさは、同じ障害を持っている人に限りません。働きながら闘病している人も増えています。大きな怪我などで職場復帰に不安を抱えている人にも勇気となります。

まだ一部の病院でしか始まっていないピアサポート。しかも、外部からその時だけ来てもらう形でピアサポートを行うところが多いようです。もっと多くの病院に取り入れられ、そして、障害や病気を持ちながら働いている姿が、患者さんやご家族の目に触れるようになれば。きっと、絶望の淵に立たされている人の何割かは、重石が少し軽くなるのではないでしょうか。


今、障害を受け入れがたく苦しんでいる私の大切な○さんと、同じ苦しみの内にいる全ての人が、1日も早く孤独から解放されることを願っています。


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車椅子安全利用コンシェルジュ 久内純子
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