保険外サービスで人生豊かに
1人の人間が触れる情報には限界があり、偏りがある。広域で車椅子の仕事をしていると、広く浅くリハビリ病院に詳しくなります。自転車移動のケアマネの仕事をしていると、近くのクリニックや事業所に詳しくなります。
人間、知らないものは語れないし、紹介もできない。
これが何を意味しているかと言うと、介護保険を利用している人が保険外サービスを受けにくい理由なのです。
私も資格を持っていますがケアマネジャーは、介護保険の制度や利用者支援についてのプロです。ケアプランを作り、それが間違いなく行われているかをチェックします。保険外サービスも部屋の掃除や成年後見人などは縁がありますが、それ以外の会社やNPOなどとの付き合いなほとんどありません。というか、必要最小限しか外への窓は開いていません。自分から積極的に情報を取りに行くケアマネジャーは本の一部でしょう。利用者に相談されて調べることはあっても、ホームページの情報を伝える程度で終わることがほとんどです。
ですから、保険外サービスの情報がケアマネから利用者に紹介されることは、極めてまれなのです。あまりよく知らない会社やNPOを積極的には紹介したくないのが人情です。トラブルやクレームになるかもしれない。そのように考えるからです。
しかし、介護保険の外の世界では、たくさんのサービスが始まっています。
旅行に行きたければ、介護士でも看護師でも医師でも同行してくれるサービスがあります。バリアフリーツアーもあります。自分史で人生振り返ったり、ドレスや着物を着てポートレートを撮ってもらうサービスもあります。もっとリハビリをしたければ、自費のリハビリ施設もありますし、個人トレーナーをやっている理学療法士もいます。
車椅子で言うなら、必ずしも介護保険でレンタルしなければならないわけではありません。施設入所している方なら、必ずしも施設の備品車椅子を利用しなければならないわけではないのです。
気持ちが上がる色の車椅子を購入してもいいでしょうし、施設で体が痛くなる車椅子に座っているなら、もっと心地よく座っていられる車椅子を自費でレンタルすることだってできます。
介護保険の制度でできない ≠ 方法がない
誰のせいにしても、時間は後戻りしません。人生をどのように過ごすか。家族にどのように過ごしてもらうかは、後から後悔しても意味はないのです。介護が始まったからこそ、今の時間の大切さがわかる方も多いのではないでしょうか。
介護保険は生きるための最低限の支援でしかない。介護保険外のサービスを使うことで、豊かで楽しい時間が過ごせるなら、積極的に使うことをお勧めします。