大至急、足を守れ! Vol.1
昨日、フットサポートの記事を書いていてあるお客さんを思い出しました。相談は病院から来ました。退院のために足の褥瘡を何とかして欲しいと。病院に着くと、医師と看護師2人に囲まれた。
このままでは足を切断しなければならない状態と医師がいう。入院してから食欲もないが、退院したら食欲は戻るだろう・・との看護師さんの見解。退院のためには車椅子に乗らねばならないけれど、車椅子に乗ると脚と足が傷だらけになってしまう。痛々しい傷の写真を見せてもらう。何とかならないだろうか。本人も切断を望んでいないのです。
最後の頼みみたいな目が私に向けられた。
病室のベッドに座っているお客さんは、とても細く、足と脚は包帯で巻かれている。車椅子に座ってもらうとくるぶしの上をフットサポートのパイプに当てて、小指がパイプと板の折り畳み部分に強く当たり親指側は少し浮いている。「いつも、こんな感じですか?」「車椅子をこぐと、足も力が入って動きます」それを実演してもらう。腕に力を入れる度に脚が動く。パイプに強く当たり、こすれる。脚に当るパイプが、かなり広範囲にわたることが判明した。金属から足を守る。これが今回の私のミッションになる。「まずは、足が当たる部分にウレタンを巻くことから試しましょう」「できますか?」医師と看護師の顔に、ぱっと光が差す。「それで褥瘡が治るかどうかは、わかりません。まず試して、そこから考えましょう」私はお客さん持参の車椅子、そのフットサポートを採寸しました。
採寸しながらも、頭の中でプランを練っていました。ウレタンは低反発だけでは足りないだろう。すぐにつぶれてしまう。分厚くなりすぎると、すぐに崩れてしまうし、クッション材で足のポジションが変わりすぎれば自走ができなくなる可能性も。そうなったら、退院ができなくなる。どのように組み合わせようか。形態はどうするか。フットサポートの板部分は移乗のために開閉できなければならない。板部分にもクッション材が必要だが、どうやって固定させようか。車椅子をお預かりできれば、工場のスタッフに丸投げできるが、今使っているのでそれもできない。頭の中で設計図を書き、それをカタチにしたものを現場で微調整しながら取り付けることになる。そして、できるだけ早く準備しなければ。その間にも足が傷ついてしまう。
このままでは足を切断しなければならない・・・医師の言葉が頭の中でぐるぐる回っていた。