車椅子は見た目、命!
車椅子は、体に合ったものでないといろいろな弊害が出てくる。というお話を、フットサポートを例にさせていただきました。では、体に合っていればそれでいいのか? というとそれだけでは全く不足で、実は見た目がとても大切なのです。
ある人は一般的な国産メーカー車椅子を見て、家族にこう叫びました。
「こんなみっともない車椅子で、会社の奴らに会えるか!」
結局、「黒いホイールが格好いい」とクイッキーという車椅子をレンタルされました。人に会いたくないと思わせる車椅子では、車椅子自体が外出にブレーキをかけてしまう。それでは車椅子として不十分だと実感しました。
この方は、家族にご自身の想いを伝えました。それを受け止めるご家族の心労は、大変なものだったでしょう。一方で同じように感じていても、何も言わず、外出をしなくなる人もたくさんいるだろうと考えました。当時勤めていた会社でカタログ製作と同時に商品見直しをする機会がありました。その際に、私は高級感のある格好いい車椅子を扱おうと提案しました。そして、ドイツのオットーボック社のアバンギャルドCVという車椅子をレンタル品として2台採用することになりました。1台は赤、1台は緑。
赤をレンタルしたお客さんは、訪問するたびにとても嬉しそうにお話しされました。「デイサービスの他の利用者さんが、いいわね、いいわね。私もこんな車椅子に乗りたいわって、言うのよ。おでかけや買い物に行った先でも、会う人会う人、皆に素敵な車椅子ね。とおっしゃっていただくのよ。私も自慢で」と。そして体調と相談しながら、ご家族で外出したり、旅行に出かけたりしていました。
私たちは、TPOに合わせて服や靴を選びます。自己表現であり、それによりどのような人に見られたいかを表現しています。しかし、車椅子をTPOで乗り換える方はほとんどいません。ほとんどの方が1台しか持っていないからです。ですから、その1台はビジネスシーンにもデートにも、ありとあらゆる場面で使わなければなりません。その1台が、人からどのように見られるか・・を決めるのです。だから、車椅子は人に自慢したくなるデザインであることがとても大切なのです。私はいつも話している言葉があります。
デザインは機能である。
見た目は、外出したり人に会うための大切な機能なのです。