施設では椅子に移るべき? VOL.1
時々、施設にお勤めの介護職の方からは、「車椅子は移動の道具なので、テーブルでは椅子に座らせるべきだ」というお話をいただきます。
ここで、2つの視点から、施設での車椅子利用について考えてみたいともいます。
ひとつは、車椅子のはたらきからです。
車椅子には、3つの役割があります。1つは、移動。これは、皆さんご存知だと思います。歩くことが困難な方の移動を助ける役割です。
2つめは、座位保持(座り姿勢をサポート)です。モジュール車椅子と言う調整機能のある車椅子やオーダーの車椅子が使われます。自力では姿勢が崩れていく方や痛み等がある方に有効で、転落などの事故を予防したり、車椅子での二次障害を予防する効果があります。(二次障害とは、褥瘡や嚥下障害、体の変形、姿勢崩れ、コミュニケーション不全など。そして、それに伴い孤独などの精神的障害や社会参加の機会喪失等の社会的障害など複合的に生じます)
3つ目はリハビリテーション。入院などで寝たきりの生活を送っていると、座る体力がなくなってしまう方がいます。その場合、ティルトリクライニング車椅子を利用して、少しずつ筋力をつけていきます。多くの場合、特別な疾患がなければ、日中車椅子で座れるようになります。
もし、施設にお勤めで車椅子を移動の道具としてのみ使っている方がいるとすれば、恐らく2と3の役割として車椅子を使っていないのでしょう。
特に2については、うまく機能しない原因として、備品車椅子の性能の問題があります。備品は安い機種を大量にそろえる施設がほとんどです。また、モジュール車椅子を購入しても、フットサポートやアームサポートの高さを機械的に合わせるのみで、調整機能を十分に使えている施設は多くありません。実際、車椅子を座位保持として機能することで、褥瘡や嚥下障害などの問題を解決してきました。
施設にとっても、介護職員にとっても、利用者本人にとっても、車椅子を移動にしか使わないのは、実にもったいない。費用対効果の観点からも、割高になると考えています。
そしてもう1つ。それは、次回、私の老後の夢としてお話しさせてください。