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大至急!足を守れ Vol.3

私はどうするか、悩みました。足を守るためにはクッション性が一番大切。しかし、車椅子を使えなければ意味がない。黙ったまま何度か、パタパタ足板を動かしていました。お客さんはベッドからこちらを見ています。

ん~、ギリギリを狙って削るか。

もう少し足板が上がるように、不要部分をそぎ落とせないだろうか。できることなら、もう一度こいでもらって確かめたい。しかし、今の足板が上がりきらない状態では移乗が難しいだろう。私は考え込んでいました。その時、「大丈夫よ」。お客さんの声に、私は顔を上げました。「そこまで上がれば、何とかなるから」

お客さんは私を安心させるように車椅子を引き寄せると移乗し、こいで見せました。私はその動きをチェックします。「ご自宅でのトイレ移乗は大丈夫ですか? 今まで通り近づかない可能性がありますが」お客さんは、笑顔で私を見ていました。「このくらいなら大丈夫でしょう」

心配を捨てきれない私とは対照的に、お客さんは嬉しそうです。車椅子のフットサポートに取り付けられたクッション材を見て、家に帰れると思ったのでしょう。「訪問看護の事業所は、もう決まっていますか? 不具合があれば、すぐにご連絡くださいね。退院後はご自宅にも伺えますから」訪問看護の事業所を確認して、ナースステーションに報告に行きました。そして、必要な時にすぐに連絡が取れるように、その足で訪問看護ステーションに行き、私の連絡先をお渡しして帰りました。

お客さんは2日後に退院しました。退院の数日後、ご自宅に集金を兼ねてモニタリングに伺いました。

お客さんはベッドで横になっていました。褥瘡を治すことを最優先に考えた訪問看護からの提案を守り、車いすに座る時間を制限していたのです。ベッドにいながらも、お客さんは別人のように生き生きとした表情をしています。お顔の色もいい。何より表情が明るくなっています。看護師の見立て通り、よく食べられているようです。わずか一週間足らずですが、褥瘡の状態も良くなっていました。その後、1か月程度でフットサポートのクッション材はいらなくなり、車椅子で日常生活を過ごせるまでになりました。もちろん、もう足を切断する必要はありません。

私はこの件で自分の矛盾と思い上がりに気づかされました。チームワークが大切だと知りながらも、足板が上がりきらないとわかった時、肝心のお客さんに相談することを忘れていました。私の中に、ニーズに応えた完璧なものを提供するべき、提供できるとの、思い上がりがあったのかもしれせん。

お客さんに救われた。そうして、とても大切なことに気づかせていただいた一件でした。

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車椅子安全利用コンシェルジュ 久内純子
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