路面の衝撃を和らげるには・・Vol.2
前回はキャスターの話を書きました。今回は、クッションについて書きたいと思います。
路面からの衝撃は、車輪からフレームを伝い、座面から骨盤に伝わります。骨盤からの衝撃は、そのまま背骨を伝って頭まで到達します。この衝撃を吸収するのがクッションです。
車椅子のクッションは、実に多岐にわたっています。素材もウレタン、ラバー、ジェル、エアー、最近ではエアウィーブの会社が開発したブレスエアーも福祉用具に導入されています。全ての素材に長所と短所があり、基本的には褥瘡や身体の状態、使い心地、使用目的によって選定します。
簡易電動車椅子を利用している方から、こんなご相談を頂いたことがあります。「先日、商店街の石畳風の路面を走ると、乗り物酔いのように気分悪くなるし、次の日腰痛がひどくて動けなくなりました。何とかならないでしょうか」と。
その方は当時、ジェルとウレタンを組み合わせたクッションを使っていました。もともと腰痛持ちの方でした。褥瘡があったので治るまではエアクッションを使っていました。そして、完治したところで、腰痛を緩和するためにエアーよりも安定性の良いジェルタイプのクッションに変更したという経緯がありました。クッションは骨盤部分にだけジェルが使われていて、その他はウレタンを使っているので安定性がいい代わりに、衝撃吸収の機能はあまりなかったのです。
お話を伺ううちに、数か月前から体調がすぐれないことが多いということもわかりました。以前から、石畳みはやはり多少乗り物酔いのような症状は出ていたそうです。しかし、腰痛で動けなくなることはなかったと、本人も少々、ショックを受けているようでした。
エアタイプのクッションに変更したところ、商店街への買い物に行っても乗り物酔いの症状もなく、腰痛も緩和されたと喜びの電話をいただきました。
すべてのクッションに長所と短所があります。エアタイプのクッションは、褥瘡予防や衝撃の緩和については優れていますが、短所もあります。クッションの変更を考える方は、事業所と相談することをお勧めします。特にエアーの場合は、調整次第で効果も乗り心地も大きく変わります。あなたの体を守るためにも、シーティングができる福祉用具専門相談員にご相談ください。