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両国ジャックvol.5

EMAN ON  5月~12月連続企画
「両国ジャックvol.5」

9月8日
両国SUNRIZE

シアンカ・ウー

嵐が去った後の優しい霧雨が心地良くて
泣きたくなるくらいにこの唄声が好きだと思った


前回と同じSEが流れ
メンバーが順に出てきて
一息置いて彼が出てくる

今日も水色のパーカーにカーゴパンツのラフな格好
丈が少し短くて足首が見えてるのとか
さっぱりとした短い前髪とか
雰囲気がやっぱり新鮮でまだ見慣れない

今日は前回とは配置が変わっていて
センターにボーカル
上手にベース
後方下手からキーボード、ドラム、ギター

音が鳴る前から
初LIVEの時とはもう全然ステージ上の空気が違った

柔らかくて和やかで

カウントから始まる伊藤さんの第一声を聴いた瞬間
今日が良いLIVEになるのが分かった

声が良く出てて
高音も綺麗に伸びていた

良い感じに力が抜けていて
しっかりと感情が音に乗っている

そして何よりも
とても楽しそうに唄っていた

そんな姿が見れた事が何よりも嬉しかった

シアンカはやっぱりキーボードの音色があるのがすごく良いね
キーボードソロから始まる秋は黄昏がすごく良かった

9月に伊藤さんが唄う秋の歌が聴けて嬉しかった

伊藤さんの唄声には四季を感じる
季節が巡る度に感じるあの独特の感傷
憂いと切なさが混じる感情

それはいまだに忘れられない
新しい季節の匂いがする度に頭の中に流れる彼らの音楽

だから今回
俊輔さんが四季をテーマに楽曲を作ったのにはすごく納得したというか
伊藤さんの声が持つ魅力をちゃんと活かしてくれてるのが嬉しかった

秋は黄昏では俊輔さん主導で手拍子が起きたり

3曲目では伊藤さんのシャウトがあったりベースソロがあったり

ミディアムテンポのメロディアスな曲がやっぱり一番好きだけど
それだけじゃなくていろんな曲調があるのが楽しい

夏のメロディも聴きたかったなぁ
この曲聴けば聴くほど好きになっていく

好きな作曲家が好きなボーカリストのために曲を作る
だからってそれが単純に好きな歌になるとは思わないけれど

だけどそこにしっかりお互い愛とリスペクトがあって
相性が良くて
そしたらやっぱり良い歌が出来るんだなぁ

だってずっと頭から離れない
歌が鳴り続けてる

今日はMCもよく喋っていて
俊輔さんと二人で回す感じなのかな

相変わらず俊輔さんは明るくて場の空気を和ませてくれて
それを受けて伊藤さんもすごく自然体で
バンドの空気感が良いんだろうなぁってのが伝わってくる

俊輔さんが
「何か最近気になることとかある?」

「ジャニーズの...」

「その話題出してくる!?笑」

この話題は俊輔さんが笑いに持っていったけど
伊藤さんが話したかったことは何だったんだろう

あとは最近出したサブスクがすごく良いから聴いてって

飲み友達から始まったバンドだから
半分趣味の延長なのかなとか
どこまで本気で音楽やってくれるんだろうっていう心配があったけど

作品としてあれだけ良いものを出してくれるとこっちもだんだん欲が出てきてしまう
まあまずは聴いてくれる人が増えないことには何も続かないことだけど

「今日をすごく楽しみにしていて
でも台風が来るってなって
マジかぁってなったけど
今日になったら何だかどうでも良くなって
台風いいじゃんって気持ちになった」

「そんなふうにずっとモヤモヤしてた事が
突然ふっと消えてなくなることってないですか?」

「くよくよ悩んでたり惨めな気持ちになってたことが
何かあったわけじゃないけどどうでもよくなって
なんであんな悩んでたんだろうって」

そう言う伊藤さんの表情がすごくさっぱりと晴れ晴れしていて
今このタイミングでもう一度バンドを始めた理由が少し分かったような気がした

「みなさんも
もしモヤモヤしたものを抱えているならば
今日がそんな気持ちがなんでもなくなるきっかけになってくれればいいなと思います」

ふと

心の隙間を埋めていってくださいね

そう言ってくれたいつかのLIVEを思い出した

こういう言葉をくれるところはやっぱり変わってなくて
本質は変わらないままで
だからきっと変わらずに好きなんだろうなと思った

最後はポラリス
やっぱりこの曲が一番好きだ

1サビで思いっきり2サビと歌詞間違えたのにはおい!ってなったけど笑
コーラスの俊輔さんと合わなくて
そのまままるまる歌詞が飛んだのはもったいなかったなぁ

伸ばす音の揺れる響きに
いつも心が震える

彼の唄声を聴いて
こんなふうにもう一度心が満たされる瞬間がくるとは思ってなかった

幸せで
なんでこんなにも泣きたくなるんだろう

あの頃大好きだった音楽達が年を経るごとにどんどん鳴り止んでいって
一生聴いていたいと思っていた唄声が
一人一人と唄うことをやめていって

しかたのないことだと分かっているけど寂しくて
だからって代わりに新しい音楽を好きになっても
それはやっぱり誰の代わりにもならなくて

だから
今こうして伊藤さんが唄ってくれてることが
そのLIVEを見れることが
何よりも嬉しいし
救われる

年を重ねたって環境が変わったって
私はやっぱり一生音楽と共に生きていたいよ


01.春廃れ
02.(呆れるほど綺麗で)
03.(観測史上最大級の雨に打たれて)
04.秋は黄昏
05.ポラリス