"修行"という選択肢-鳥人間チームの作り方③
どうも!2017年鳥人間コンテスト出場『Project Liberte』代表ククルクルルです。
また鳥人間について書こうかなと思います。今回は修行について。
修行ってなんやねん!っていうと、一定期間他チーム様のメンバーに入れていただき、機体製作全般を実際に作業しながら教えていただくことです。
学生時代にTeam"飛行時間"として出場した時の失敗や、2014年の鳥人間コンテストを現地見学した時の経験から、Project Liberteとして出場するまでに、本番も経験しないと絶対に準備不足になると思ったこと。まともな機体を作ったことが無いの為製作工程の勉強や技術力の向上。このような理由で修行という手段をとりました。
2015年の年明けごろに思い立ち、Twitterでメンバーの方を通じてダメ元で依頼。了承を得て2月頭あたりからお世話になることになりました。
相手方のチームは滑空機部門のレジェンドチームであり最多優勝を誇る強豪なので断られると思っていただけに懐の深さに驚きました。
これが縁でProject Liberteの活動を終えた今でもたまにお手伝いさせていただいております(戦力にはなってない)
当時は長野県に住んでいたので朝早くに起きて車で通っていました。高速道を使うとお金がかかるので基本的には一般道で片道3時間くらい。長野県と言っても群馬県との県境の近くであったし、当時は「片道6時間以内なら移動圏内」とか謎に豪語していたので、そんなに遠くは感じませんでした()
作業が終わったら、同県内にあるパイロットの自宅まで1時間くらいかけて移動しそこで泊めてもらい翌、日曜日にProject Liberteの作業。この時はパイロット宅が作業場だったので、朝起きたらラジコングライダーを作り夜になったら解散。
休憩含めて5時間くらいかけて長野県の自宅へ帰るという生活でした。
4月から仕事の人事異動で東京に転勤になったので、こんな無茶な生活は2ヶ月程度でした。もっと続けてたらおそらく居眠り運転で死んでたと思います。
実際に作業を体験してみると、求める精度のレベルの違いに戸惑いました。
Project Liberteはある意味『定常飛行さえできれば良い』という目標でしたが、このチームは『新記録』を目指しているチーム。一切の妥協を許しません。僕から見ると真っ直ぐに見えていても、実は歪んでおり、それを修正する。
とても真似できないなとおもいました。
いちばんすごいと思ったことは『機体に対する妥協を一切しない』こと。
目指すものは新記録ただ一つですから、それを達成するために意見が分かれたらお互いが納得するまで遠慮なく言い合いますし、機体精度に関わるミスは絶対に許しません。
このやり取りの一部がテレビで放映され、口が悪いものですから、ネット上で炎上に繋がりましたが、このチームではそれが普通であり、メンバーはそのやり方に納得しています。新記録を出したいという想いをもったメンバーだけが残っているのです。
こういった思想や技術は到底真似できるものでは無いので、Project Liberteとしてどうするかを考えた時に、自分たちのできるレベルにどう落とし込むかが悩みどころでした。
どのチームの見学に行ってもそうなのですが、参考になる技術はあってもそれを自分たちが実現できなければ意味がなく、いかに実現可能なレベルに変えていくか。学んだ技術は本当に必要なのか。そういったことも考えなければなりません。
全てをお話しできるわけではありませんが、Project Liberteの機体を作る上で参考になったものを雑にご紹介すると、
①翼断面(リブ)の再現度よりも、翼全体で見た時の整合性。
②いかに初速を稼ぐか
③滑空機では重さ(軽さ)は重要ではない
④削りすぎたら埋めれば良い
⑤揚抗比を最大に取る
といったことです。詳細は別記事で書くとして、とても参考になりました。
余談ですが、このチームのホームページがリニューアルされ、公開されております。
現在は木桁の修復工程を記録していますので、是非ご覧ください。機体の三面図もあります。
さらに余談ですがホームページ内にある『バードマンラリーの研究』ですが、Project Liberteの機体設計はこれを元にさせていただきました。
滑空機部門で大変参考になるので是非読んでください。
作業もそうですが、2015,16年大会にメンバーとして本番のプラットホームに上がらせていただいたことも貴重な体験となりました。
前日準備から本番のフライトまでの流れや準備すべきものなども学ぶことができましたし、なにより、パイロットが2回プラットホームにあがり、フライトを間近で見ることができたことにより本番のイメージが湧いたと同時に、場の雰囲気に予め慣れることで2017年での本当の本番で落ち着くことができたのは大きかったと思います。
全員が未経験から始める本当のスタートアップである新規チームの場合、この修行という手法は有効であると考えています。勿論相手先に受け入れていただけるかによりますが、学べることは多いと思います。
是非手段の一つとして検討してみてください。
-空想具現-
Project Liberte
代表 ククルクルル
Twitter @kurukukukururu
Project Liberte Twitter @liberte20140111