夢日記

冷たい夜だね。
寒くって寒くって、気色悪いと思ってた人肌恋しいなんて言葉が横切るような、ひとりぼっちが浮き彫りになる季節だ。

金木犀の香りを体いっぱいに吸い込めたことも、もう過去のことになってしまって、紅葉も、あんなに嫌いだった銀杏の匂いも、全部ここにはいなくて、春とも夏ともおんなじ繁華街を今日もとぼとぼと帰りました。そうしてコンビニで新発売のお酒を買って、それだけが今日の私に辛うじて秋を感じさせてくれました。

私は四季が好きだった。殺されそうな夏がいつ終わったのかにも気付かないまま、ファーのコートを買いました。もうだいぶ寒くなりましたね、なんて会話をする心構えは、まだできていないのだけれど。

いつかのどこかの季節に取り残されそうで、それを少し望んでいます。夢日記をつけると夢と現の境界が分からなくなるらしい。ぜひそうなってしまいたいものですが、毎日疲労困憊で夢も久しく見ていないので、現の日記で夢との境界をぼやかしたいと思っています。子どもの頃から、この人生は全て誰かの夢なんじゃないかと思うことが何度かありました。そうすると、今こうしてスマホを叩くこの手も、一人称視点のゲームみたいに見えてきて、おかしな気分になるんですよね。

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