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【読書感想文】             『アメリカは内戦に向かうのか』                バーバラ・F・ウォルター

民主国家で内戦が起こることはまずないし、対極にある専制国家は独裁者に楯突くことは大変なリスクなので、こちらもない。むしろ危ないのはその中間の状態で、それを「アノクラシー」と言うそうです。

今、アメリカはアノクラシーの状態に陥り、白人の地位が低下したことに異議を唱える人種差別主義者グループや民兵組織らが跋扈し、危険な状態になりつつある。

ではどうすれば良いか?筆者は内戦研究の専門家なのですが 、これまでの各国の事例を紐解き、南アフリカが理想的と紹介しています。ネルソン・マンデラは27年投獄され釈放された後、怒りに燃えて、数では圧倒的に多い黒人を煽って、政府を転覆させることができたかもしれないけれど、祖国の融和を選んだ。一方、当時のデクラーク大統領も先進国からの経済制裁を回避するためではあったものの、アパルトヘイトなどの政策をやめた。

アメリカも保守、リベラル派がいかに歩み寄るなのですが、結局は度量のある指導者が登場し、選挙で選ばれる必要がある。でも、SNSの存在が結構やっかいで、インターネットってやっぱり世の中を変えまくってると思います。そろそろルールを作らないといけないと思いました。

今は、2024年8月。先月トランプが銃撃され、カラマ・ハリスが新たな民主党の大統領候補になりそうなタイミングなのですが、後年これを読み直したときには、「あ~あんなこともあったけど、結局アメリカは民主主義陣営の盟主だよな~」なんて思えたら良いのだけれど。


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