ひとりになりたい夜がある【ショートショート】
鏡を見ると、僕が泣いていた。
僕が泣いているんだから、僕も泣いているんだろう。
リアリティに囚われた決めつけとは裏腹に僕は笑っていた。
泣いている僕に怒りすら感じながら、その姿を笑うのだ。
例えば、自分から別れを告げたあの子の新しい恋に嫉妬するだとか。
例えば、あれだけ楽しみだったデートの弾まない会話だとか。
例えば、交際中にこそ憧れた浮ついた関係をただ後悔する日々だとか。
僕が泣いている。不当な理由で泣いている。
到底、理解が為されない悲しみに。
健全な大衆論理によ