
有痛性外脛骨障害の評価・リハビリ
小児のスポーツ障害として、日常診療で見かけることが比較的多い『有痛性外脛骨障害』についてまとめていきます。
①概要
足部の過剰骨の中で頻度は最多であり、舟状骨の内側後方で後脛骨筋付着部付近に存在する。
外脛骨は正常人の約15%前後に認められ、女性に多く、80~90%は両側性に存在。何らかの症状を呈する者は、外脛骨のうち10~30%程度である。
通常は存在だけで特に症状はないが、偏平足の合併や急激な運動負荷あるいは何らかの外傷などをきっかけとして疼痛が出現し、症候性に移行することが多いです。
好発年齢は10~15歳でスポーツが契機となることが多い。
一定期間の局所の安静や、成長とともに症状が改善することが多いため保存治療が第一選択となる。
しかし、様々な病態、要因が混在しているため、単一の治療法では症状が改善しにくいことも多く、治療期間が長期に及ぶ症例にしばしば遭遇する。
②診察
【症状】
主な症状は外脛骨および外脛骨周囲の疼痛である。
疼痛の種類(圧痛、運動時通、運動後の疼痛、安静時痛など)や部位が様々であるため、それらを明確にすることは病態を的確に把握し、適切な治療方針を立てるうえでは非常に重要で丁寧な問診と診察が求められます。

【圧痛部位】
➀外脛骨実質
②線維軟骨結合部
③後脛骨筋腱付着部
④後脛骨筋腱実質
⑤滑液包 など

【他覚的所見】
➀外脛骨部の膨隆や腫脹
②後脛骨筋腱に沿った腫脹、熱感
③両脚でのつま先立ちやSingle Heel Raise testが筋力低下や疼痛のために困難な症例が多い。
※慢性的な障害の多くは安静時や日常生活では症状がほとんどなく、運動時または運動後のみ疼痛を生じる。
【リスク因子】
・扁平足
・きつめの靴を履いて行うスポーツ(陸上、サッカー、バスケットボール、ラグビー、バレーボール、剣道、新体操、クラシックバレエなど)
・走る、跳ぶ、急に止まるなどの動きの多い競技
・体幹の筋力が弱い
・女性
【画像検査】
診断のための単純X線像では、舟状骨と外脛骨の結合部を詳細に描出するために10°または20°背底斜入撮影やCTが有用である。
【分類】
Veitch分類
TypeⅠ:外脛骨が舟状骨から完全に遊離し後脛骨筋腱内に存在
TypeⅡ:外脛骨が線維性あるいは軟骨性に舟状骨と結合
TypeⅢ:外脛骨が舟状骨と骨性に癒合し内側に隆起
※臨床的に問題となる症例の大半はVeitch分類のTypeⅡである。

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