冬はなんといっても「くるみ割り人形」
ニュージーランドは、ただいま真冬。冬至を過ぎて、7月に入ったので、すぐそこに春は来ている気分ですが、それでも、分厚いニットを着こみ、暖房を入れて過ごしています。
そんな冬にぴったりのバレエをnoteで見つけました。
私は幼稚園から小学校を卒業するまでバレエを習っていて、今でもバレエを見るのが大好きです。「くるみ割り人形」は、習っていたころに何回か発表会で踊りました。また、娘もこちらで中学校まで習っていて、同じく「くるみ割り人形」好きなので、この舞台を二人で一緒に楽しみました。
「くるみ割り人形」にはいろいろなバージョンがありますが、基本のストーリーは、クリスマスのパーティーでくるみ割り人形をもらったクララという女の子がくるみ割り人形から呪いがとけた王子と一緒に、夢の国を旅する、というもの。このキエフ・バレエ版は、クララがシュガー・プラム・フェアリー(日本では「金平糖の精」と言うと思います)として、グラン・パ・ド・ドゥを踊ります。この場面は、愛に満ちあふれ、夢のように美しいものです。主役の二人は容姿も美しく、難しい(というか、どうやっているのか分からない)技をなんなくこなす高いテクニックで、さすがという感じでした。ロシアの踊りの男性のジャンプの高さ、アラビアの踊りの身長の高い二人の端正な踊りも、印象に残りました。
でも、最後に一転して、現実に戻り、クララが夢から覚めて、くるみ割り人形を抱きしめて終わるところが、どうにも納得がいかない。クララのはかなげな薄い肩を揺さぶって、「それでいいの、クララ!? 夢で納得して終わっていいの!?」と問い詰めたくなります。
実は「くるみ割り人形」には、いろいろなバージョンやアダプテーションがあります。ニュージーランド・ロイヤル・バレエの現代の病院に舞台を変えたバージョンも見ましたが、きらきら感が足りなくて、残念な感じでした。やっぱり「くるみ割り人形」は、華やかな夢の世界を描いた、今回のキエフ・バレエのような王道型が好きです。ストーリーの理不尽さは横に置いて(そもそも、くるみ割り人形をもらって女の子がうれしいか、という話)、美しい舞台、豪華絢爛な衣装、そして高いレベルのダンサーたちが繰り出すテクニックにうっとりするのが、「くるみ割り人形」の楽しみ方なのでしょう。
ちなみに、娘が幼かったころのバービー版は、コンピューターグラフィックスこそ古さが目につきますが、踊りが正統派で、さらにストーリーの最後に幸せをもたらすひねりがあって、最高の「くるみ割り人形」ではないかというのが、娘と私の一致した意見です。
キエフ・バレエは、2008年にニュージーランドに来た時に、娘と一緒にワクワクして見に行きました。どうか、美しいものを心置きなく楽しむことができる日々がずっと続いてくれますように。