検診に行ったら「脳に腫瘍があるかも」と言われてしまった話
2024年4月23日
昨日は、ショックな日でした。2年に1回の目の検診に、近所のショッピングセンターにある大手眼鏡屋のSpecsaverに出かけました。この眼鏡屋には眼科医が常駐していて、眼科検診を気軽に受けることができるので、コンタクトレンズの処方で10年以上お世話になっています(眼鏡はフレームが私の低い鼻に合わないのと、日本の方が圧倒的に安いので、日本で作っている)。
眼科医による検査の前に目の撮影をしてもらう時に、ここは補聴器も扱っているので、ついでに、という感じで簡単な聴覚検査も受けます。今回も気楽に受けたら、「hearing loss(聴覚の低下)が見られます」というメッセージが出てきました。「えー、何これ、機械の故障?」と、深く受け止めなかったのですが、係の人が「もっと詳しい検査を受けれますよ」とかるーい感じで言ったので、この15分の検査は無料ということで、その日の午後の予約を入れることにしました。このときはすぐに予約を入れることができた幸運を知らずに、「耳の先生は暇なのかなー」などとのんきに思っていたのでした。
目の検診の方は、2年前からちょっと視力は下がっているけれど、「目はとても健康です。緑内障もありません」と言ってもらえて、ほっとしました。そして、視力を変更したコンタクトレンズのサンプルをもらって、検査代60ドルを払って、フードコートで食事をして、ショッピングセンターをぷらぷらして、また眼鏡屋さんに戻って、audiologist(耳専門医)による15分の検査を受けました。
「さっき耳の検査を受けたらメッセージが出て、びっくりしたんですよ」と言ったら、「自覚症状はないんですね」と先生の確認を受けました。今から思えば、ちょっと会話が聞き取りにくくなったことが増えたような気がしていましたが、聴覚が落ちたことにはまったく気づいていませんでした。しかし先生が見せてくれた2年前のデータに比べると、明らかに数値が悪くなっていました。「右耳がこの2年間でがくんと下がっていて、これはいい兆候ではない」とのこと。「全然気づきませんでした」と驚きを伝えたら、「正常な左耳を使って、脳が右耳をカバーするから、気づかないものなのですよ」と説明してくれました。
スコープの耳の中を見てもらって、異常がないことを確認。この時点でもまだ私はお気楽だったのですが、静音ブースに入って耳にコードを差し込んで、ビープ音を聞いてボタンを押す検査の最後に、先生が左右一緒に音を出してくれて、「どうですか、左右同じ音ですよ」と言われましたが、明らかに右は小さく聞こえました。そしてブースから出てきた私に先生が一言「Not Good(良くない)」。最初、てっきり「Not Bad(悪くない)」と言われたと思ったので、「え!?」となりました。「老化とかではないのですか?」と聞いたら、「それなら左右同じように悪くなる。この2年間で片耳だけ急激に悪くなったのが問題」とのこと。そして、さらに45分間の精密検査を受けるように言われました。
「ただ、今日はあいにくいっぱいで…しかも私は1週間に1回しか来ていない」と言いかけた先生は、「あ、このすぐあとにキャンセルが出ているので、一人、待ってもらったら、ちょうど入れることができるよ」とのことだったので、「おふこーす、おねがいします」と入れてもらいました。本当に、タイミングが良かったです。
そして高齢の男性の検査が終わって、私の番がすぐに回ってきました。耳の中に圧力を加える検査(後で調べたら、ティンパノメトリーというらしい)、さっきと同じブースで、今度はもっと長く、ビープ音を聞いてボタンを押す検査、さらに聞こえた単語を復唱する検査、ノイズの中でビープ音を聞く検査などを受けました。
そして、先生が何を心配しているのかを教えてもらいました。片耳だけ、急に聴覚が落ちる原因の一つに、脳の腫瘍があるのだそうです。確率は5%以下で、ガンではないし、すぐに命に係わるものではないけれど、腫瘍の有無を確認するために、専門の病院でMRI検査を受ける必要があるのだそうです。「もし腫瘍がなかったら、聴覚低下の原因は?」と尋ねたところ、「分からない」とのこと。細胞が理由不明で、働くのをやめてしまったということなのだそうです。
ニュージーランドの医療制度で日本と大きく異なる点の一つに、GP(General Practitioner)というかかりつけ医制度があります。湿疹だろうが、風邪だろうが、捻挫だろうが、まずはGPがすべてを診察してから、必要に応じて専門医へ紹介します。このため、私のGPの名前を伝えて、私立の専門病院への紹介を依頼するレターをGP宛てにメールしてもらうことになりました(家に帰ったころにはもうそのメールがCCで届いていました)。この検査は59ドルで、目の関係とは会計が別らしく、診察室で先生の差し出すカード端末機で支払いました。
さらに日本と違う点として、ニュージーランドのPublic(公立)医療は無料です。しかし、待ち時間が長いのが問題です。MRIは日本だったら、健康保険のお陰で1万円もあればすぐに受けられるでしょうが、こちらではPrivate(私立)で受けると数千ドルになるはず。今回、Publicだったらどれぐらい待つか聞いたら、「緊急性が低いので、5、6カ月掛かるだろう」とのこと。Privateの医療を受けるための医療保険に我が家は入っていますが、保険を使うために払うExcessというお金が必要だし、もし脳に腫瘍が見つかったとしたら、治療はNZで大丈夫か、などと不安がよぎりました。
とりあえず家に帰って、夫に説明しているうちに、すっかり落ち込んでしまって、この日の夕食の準備は夫に、片付けは娘にしてもらいました。心が落ち込むと、体が動かなくなるものであることを改めて実感しました。
昨日は落ち込みましたが、今日は気を取り直すことができました。耳が聞こえる、って、本当にありがたいことだなあとしみじみ思います。もしMRIで腫瘍が見つかってしまったら、手術かなあ。ものすごく大変そうです。そして、もし腫瘍が見つからなかったら、それはそれで、なぜ聴覚が落ちてしまったのでしょうか。やっぱりストレスなのかなあ。この2年間の日本の家族のことは、本当にいろいろ大変だったからなあ。医療が日本より遅れているのは間違いないので、日本だったらもっと簡単に原因が分かったりするのかなあ。
いろいろ私なりに検索しましたが、私のように聴覚の低下に気づかなかったという体験談が見つからなかったので、もしかしたらほかの人の役に立つことがあったらいいなあ、と思い、自分の記録を兼ねて書いてみることにしました。
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