テキトー日記『眠い目を擦る話』2021年5月10日(月)
眠い目を擦る私の背中を誰かが押した。
「誰?」
「いや、俺だけど」
その男は見知らぬ男だった。
コンビニの明かりが深夜を照らしている。
「いや、誰?」
「だから俺だって」
知らない男は当たり前のように話しかけてくる。しかし、私はその男を知らない。知らないはずなのに、なぜだか懐かしく感じた。
「ええっと、名前は?」
「おいおい、本当に忘れたのかよ」
「ごめん」
「俺だよ、俺」
「もしかして、俺さん?」
「そう、俺孝之」
俺孝之、私は頭の中でその名前を探した。そして、結論付けた。
「……やっぱり知らない」
「あっ」
「あっ」
気まずい。