【10分で読めます】お金2.0 新しい経済のルールと生き方 要約/まとめ/感想
自分の価値、高めてますか?
こんにちは。くろです。
今回は"お金2.0 新しい経済のルールと生き方"の要約、まとめ、感想です。
著者は佐藤航陽さんで、株式会社メタップスの創業者です。
ビッグデータ化解析を用いたマーケティングや、ネット決済事業、またそれらで得た知見をもとに一般消費者に向けたサービス展開をしているそうです。
「タイムバンク」という時間を売り買いするサービスも提供されていて、おもしろかったです。
本書は、こういった事業から得た知見をもとに人がなぜお金を払うのか、うまくいくサービスとはなにかを研究し、 その結果見えてきた経済の考え方を紹介しています。
こんな人におススメ
・全ての社会人
・これから社会に出ようとする方々
本書の結論
テクノロジーの進化によって経済は分散化し民主化する。さらに資本主義の欠陥が浮き彫りになった結果、価値を重視した経済システムが誕生する。
現在の社会の力学
本書の著者である佐藤さんは事業を進めるうちに世の中の「力学」が見えてきたんだそうです。
それは、現在の社会は「お金」「感情」「テクノロジー」の3つが相互に影響して形作られるということです。
「お金」の影響力が強いのは言うまでもありません。
人はお金無しに生活することができませんし、全世界の人がお金とうまく付き合いながら生きています。
「感情」も重要なファクターです。
お金を稼ぐために人を過労死させるようなブラック企業には人は集まりません。逆に良いことをすれば人々から応援されます。
「感情」は、物事を長く継続させるために必要なのです。
「テクノロジー」はあまりピンと来ないかもしれません。
(私もしっくりきませんでした…)
ただ、これまでの歴史の転換点には必ずテクノロジーがありました。
テクノロジーの発展はこれから先の未来において大きな力になります。
重要なのは、この3つのうち1つでも欠けるとうまく機能しないという点です。
例えば、「感情」を無視して「お金」儲けに走ると人は集まりません。
また、「お金」は無いけど”ミュージシャンになりたい!”という「感情」だけで生きると上手くいかないケースが多いですよね。
この3点の相互影響がこれから先の未来を形作るのです。
お金の役割
お金には3つの役割があります。
価値の「保存」「尺度」「交換」です。
元々お金は物々交換の不便なところを解消するために生まれたという説があります。
一番最初のお金は紀元前1600年前の貝殻だと言われています。
古来の人間は肉と魚を交換するような物々交換を行ってきましたが、食品はいつか腐ります。
そこで腐らないようにお金が必要になりました。「価値の保存」です。
また、木の実1個と魚1匹では価値の大きさが異なるのは何となくわかると思います。
そこで、木の実は1貝殻、魚は10貝殻という風に値段を付けました。「価値の尺度」です。
さらに、魚や肉はいずれ腐るのだからとりあえずお金に交換しておこうという動きが生まれます。「価値の交換」です。
そんなお金を中心に据えた経済の考え方が「資本主義」です。
上手く回る経済の5要素
それ自体で長く発展し続ける経済システムには5つの共通点があります。
①インセンティブ
②リアルタイム
③不確実性
④ヒエラルキー
⑤コミュニケーション
①インセンティブは、言い換えれば報酬が明確であることです。
現在は社会的な欲求に対する報酬が好まれるそうで、3M(儲けたい、モテたい、認められたい)を満たすシステムは発展しやすいです。
②リアルタイムは、時間によって状況が変化することです。
どれだけたっても何も変わらないと、システムの活力が失われます。
③不確実性は、運と実力の両方の要素があるということです。
不確実性が全くない世界では、想像力を働かせることができなくなります。
④ヒエラルキーとは、秩序の可視化です。
偏差値、年収、売上といった数値や、身分や肩書等です。
これが無いと、他者との関係性が見えなくなり自分の立ち位置がわからなくなります。
ただ、優位なポジションを手に入れるとそれを守りたいのが人間なので、強制的に移り変わるような仕組みが必要です。
⑤コミュニケーションは、参加者の交流です。
交流を通して、全体が一つの共同体であると認識できるようになります。
経済に持続性をもたらす2要素
①経済システムの寿命
経済は何年も続くと階層が固定化されます。
ちょっと前まで携帯電話といえばS社、K社、D社の3択であったように、勝者が勝ち続けてしまうのが経済です。
売上アップ⇒さらなる投資⇒商品力アップ⇒売上アップのようなスパイラルです。
これを打破するには、一定期間でそのシステムを壊す必要があります。
②共同幻想
会社のビジョンのようなものです。
会社内では出世争いや業務の押し付け合いなど、色々ないざこざがありますが、共同幻想を皆が抱いていれば崩壊の可能性を低くできます。
テクノロジーがもたらす経済の「分散化」と「民主化」
これから先10年は「分散化」が進むとされています。
これまでは「分散化」の逆の「中央集権化」によって秩序を保ってきました。
これは情報が「非対称」であり、情報が中央に集まると同時に”力”も中央に集まってしまうためです。
ただ、現在は全員がネットワークを介して常時つながっています。
そうすると、中央が情報を持たずとも機能することになります。
結果、独自に価値を発揮する経済システムが生まれます。
具体的には、「シェアリングエコノミー」「トークンエコノミー」「評価経済」です。
シェアリングエコノミーの代表はUBERです。
日本ではUBER EATSが有名ですが、アメリカのUBERはタクシーの配車サービスです。
UBERは自己でタクシーやドライバーを保有せず、アプリによるマッチングを行います。
個人が余った時間なり、商品なりを共有することで成り立つ経済スタイルがシェアリングエコノミーです。
トークンエコノミーはシェアリングエコノミーをさらに進化させたものです。
トークンエコノミーは経済圏がネットワーク内で完結している状態です。
発行者がお金のようなもの(トークン)を発行し、それを経済圏の人はお金として扱うという状況を指します。
ビットコインや、キングコング西野さんが手がけられているレターポットがトークンエコノミーに当たります。
評価経済はインフルエンサー商法に代表されます。
「この人はいい服を着ている」と認知されれば、その人の影響力が欲しいアパレルブランドはその人に服を渡して広告を頼みます。
そうすることでその人は服、つまり価値を手に入れることができます。
これは、誰でもスマホを持ち全世界に向けて発信できるようになった現在だから発生した経済圏です。
上記の経済圏はすべて政府主導で構築されたものではありません。
つまり、上記の経済圏は民主化された経済圏なのです。
資本主義の問題点
新しい経済が国家ではなく個人の手で誕生しているのに反し、資本主義という経済体制は問題点が見え始めています。
資本主義には2つの経済が混ざり合ってできています。
「消費経済」と「資産経済」です。
私たちが普段コンビニで商品を買ったり、アプリに課金したりするのは「消費経済」で、株や金融などのお金からお金を生み出す経済を「資産経済」と呼びます。
世の中のお金の9割は「資産経済」で生まれています。
ただ、「資産経済」は「消費経済」がうまく回ることで成り立っているので、「消費経済」がダメになると一緒に「資産経済」もダメになります。
いま、全世界的に「消費経済」が縮小しています。
安くてよいものが増え、若者が車や家を買わなくなりました。
一方で「資産経済」は拡大を続けています。
ただ、「消費経済」が縮小しているため、お金の投資先が無くなっています。
お金はあるけど投資先が無い、言い換えればお金が余っている状態です。
したがって、相対的にお金の価値が下がっているのが現在の資本主義です。
また、資本主義が考える価値と人々が考える価値のあるものの間に溝があることがわかってきました。
資本主義はお金の重要性があまりにも強調された結果、お金にならない物は無価値であるような扱いを受けてしまうのです。
つまり、価値の「保存」「尺度」「交換」のために存在したお金が、お金になる価値を重視するあまり、お金にならない価値から離れて独り歩きしてしまっています。
こんな状況と昨今のテクノロジーの進化が合わさり、価値を媒介する手段がお金である必要性が薄まってきているのです。
これからは、お金が無くても価値を持ってさえいればお金に交換できるようになります。
所持金0円でもフォロワーが100万人いれば、クラウドファンディング等で資金に変えてしまえます。
これを著者の佐藤さんは「価値主義」と呼んでいます。
価値の3分類
価値には3つの分類があります。
①有用性としての価値
「役に立つか?」という視点からの価値、儲かるかどうかといったリターンを求める価値です。
②内面的な価値
愛情、共感、好意、信頼等の実生活で役に立たないけど個人の内面にポジティブな効果を及ぼす。
③社会的な価値
社会の持続性を高めるような価値、慈善活動やNPO等です。
資本主義は①を重視するあまり②③をないがしろにしてしまった点が問題です。
②や③が軽視されてしまったのは、精神的な部分に立脚するため目に見えないからです。
ただ、近年は②や③も可視化されています。
ツイッターやインスタグラムのいいね!やフォロワー数で、人の関心といった精神部分が数値化されたのです。
こういった内面的な価値もデータとして認識できれば比較でき、さらにこのデータをトークン化できれば独自の経済圏を作ることもできます。
1いいね!を1円として使えるといった感じです。
前に書いた「評価経済」や「信用経済」がこれに該当しそうです。
本書では「評価経済」を問題視しています。
それは、いいね!やフォロワー数は「評価」「信用」だけでなく、「注目」「関心」でもあるからです。
炎上商法で「注目」「関心」は集められても、そこに内面的な価値が無いのです。
テレビタレントがクラウドファンディングをしてもお金が集まらないのは、彼らが「関心」を集めても「評価」を集めているわけではないからでしょう。
経済についてのまとめ
経済はテクノロジーの発展によって民主化します。
さらに、資本ではなく価値で回る経済が実現しています。
上記の変化から、内面的な価値を重視した新しい経済圏として「価値主義」が台頭するのではないかと考えます。
人生の意義
1980年代以降に生まれた人を「ミレニアル世代」と呼びます。
「ミレニアル世代」は以前の世代とは仕事や人生に対するモチベーションが違うとされています。
高度経済成長期に生きた人々は、いわゆる「敗戦国からの脱却」を目的としていて、欠けているものを満たす、つまりマイナスをゼロにしたいという上昇志向がありました。
ただ、私を含めたミレニアル世代は日本が国際的な競争力を取り戻し、比較的裕福になってから生まれました。
周りにはすでに物がたくさんあったので、出世やお金といったものへの執着が生まれにくいのです。
そんな世代は人生の意義や目的を見失っている人が少なくありません。
フェイスブックのCEO ザッカーバーグがスピーチで「自分の人生の目的を見つけるのは当たり前、誰もが人生の目的や意義を持てる世界を作ることが重要である」と言っています。
つまり、誰かの人生の目的を提供すること自体が価値になる世代を私たちは生きているのです。
我々はどこで戦うべきか
資本主義上で意味のあるもの(役に立つ、儲かる)はすでに飽和状態です。
大企業の役員クラスは年齢の高い方々で凝り固まっており、ポストが空くのを待っているだけという状態に違和感を覚えている若手は少なくないと思います。
そんな上世代は内面的な価値を重要視しません。
そこにチャンスがあります。
内面的な価値は役に立つものである必要はありません。
逆に役に立つものを選んでしまうのはあまり賢い選択ではありません。
役に立つものは機能とコストで見て一番良いものだけが選ばれるからです。
そうではなく、自分が情熱を傾けられるものに注力すべきです。
人の情熱が情報として、インターネットを介して世界中へ電波する環境が整っているからです。
これから先、終身雇用が崩壊した日本では個人が1つの収入源に依存することはなくなるでしょう。
そこで重要になるのは個人の価値です。
今の活動が自分の価値の上昇につながらないのであれば、年収が良くても別の道を考えたほうが良いかもしれません。
感想
めちゃくちゃ面白かったし、読みやすかったです。
ページ数自体は少ないですがインパクトのある内容が多すぎて、最初から最後まで熱中して読めました。
トークンエコノミーの話や、「役に立つ」という価値が薄れてきているという話は実感があり、耳が痛くなりました。
「自分の今の仕事が自分の価値を高めているのか」が今の私にはわかりません。
それは、新卒で今の会社に入っているため、この会社では価値のあることをしているが世間から見たら価値のないことをしている、という可能性があるからです。
自分の価値を知るということで、自分を見つめる系の本を読みつつ、転職するという選択肢も一考の価値があるように思いました。
最後に
お読みいただきありがとうございました!
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