【コラム】鉄血のオルフェンズを見たオッサンが涙した
最近、アマプラをみてました。
アマプラで「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」というアニメを見ていました。
この作品が私の琴線に触れまくって、イングウェイ・マルムスティーンが弾いてるのかってくらい心の中で琴が鳴りまくってました。
あ、言い忘れましたが、このお話しには、鉄血のオルフェンズと、いくつかのアニメ作品についてネタバレがありますので、ご了承のほどを。
この鉄血のオルフェンズ、何がいいかって、ストーリーがいい。
ストーリーはガンダム史上、ナンバーワンかもしれない。
何をかくそう、私はファースト厨なんですが、それでもストーリーだけなら、オルフェンズに軍配をあげる。
それくらい気に入ったので、さぞかし多くの人々が賞賛してるだろうと思い、ネットでの評判を見て驚いた。
「最悪のガンダム作品」「特にストーリーがだめ」「作り手のエゴ」などと散々な言われようである。
なぜ?
色々見ていると、多くは以下の二点で評価を下げているようだ。
・主要キャラが死にすぎ
・一部はいいが、二部の展開が暗すぎる]
なるほど。
この鉄血のオルフェンズのストーリは火星で虐げれられていた少年達が結束して「鉄華団」という組織を結成し、成り上がっていこうというのが大きな流れで、第一部は順風満帆。
組織は次々に成功を収め、仲間を増やし、組織は成長していく。
ところが、第二部に入って流れは変わる。
鉄華団の成功を妬み足を引っ張るライバル。
成長するために親組織との関係を解消したことで後ろ盾を失い、やがては社会のうねりに飲み込まれていく。
そして・・・
最後には組織は壊滅する。
その中で主人公である、三日月とオルガ、その周りの主要人物が次々と死んでいく。
この鉄華団のモデルとなったのは「新撰組」らしいです。
なるほど。
幕府が力が強かった時は京都の街でぶいぶい言わせて隊士をどんどん増やしていた新撰組も、大政奉還により幕府倒れ、世の中の動きが開国へと流れると、新撰組は追われる立場となり、敗走を重ね北へ北へと追われ最後には五稜郭の戦いで消滅した新撰組。
まさに鉄華団そのもの。
そしてこの展開の中で一番視聴者が納得いかなかったのはおそらく「鉄華団が悪者になったこと」であろう。
この世界では世の中を支配するギャラルホルンという巨大組織があるのだが、その組織が腐敗していて、その組織が二分する。
新撰組の世界で日本が明治政府と幕府に分かれたように。
鉄華団が手を組んだ側が最終的に負ける、いわゆる幕府側になるわけだが、どうにも悪者感が出てしまう。
そして敵、つまり明治政府側が良いものに思えるように描かれていく。
この辺りの展開が評価を下げている理由なのだろう。
私はとにかく登場人物が死んでしまうストーリーに弱い。
そして、泣く。
これだけ泣いたアニメは、さらば宇宙戦艦ヤマト以来かもしれない。
この動画を通勤中の電車でも見ていたのだが、最終回までの3話はもう大号泣して、朝の通勤電車で大粒の涙をボロボロ流してしまった。
いい大人のおっさんが朝から涙をぼろぼろ流しているのである。
どれだけキモい光景であっただろうか?
このオルフェンズでも泣いたが、他に泣いたのは、先に述べた、さらば宇宙戦艦ヤマト、そしてエリア88。
映画でもスターウォーズのスピンオフのローグ・ワンも。
これらを見た後には、私は涙を流したあと、ある種の爽快感を感じるのだ。それというのは「主人公達の死によって救われたものがある」ということなのだと思う。
この鉄血のオルフェンズは仲間達の一部は生き延び、新たな道を踏み出している。
そして新しい命も。
社会も腐敗した巨大組織は崩壊し、新たな秩序のもと浄化された世界が誕生し、それも鉄華団の犠牲によって成されたものといって過言ではない。
銀河鉄道999の中で、キャプテンハーロックと鉄郎がいっていた「人が死んでもその意思をついで別の人が生きる。そうして意思は紡がれていく。それが永遠の命なんだ」と。
まさにそういうことなんだろう。
自分の命によって、救われたものがある。
それでいいんだと納得しているのが、私の感動の根底にあるものだと思う。
が、ここで今一度考えてみた。
これってすごくあやういのではないか?
この思想を突き詰めていくと第二次大戦末期の大日本帝国の考え方の根底にあった「お国のために」「特攻の精神」のようなところに行き着くのではないか?
自分の命と引き換えにして守れるものがあるのであれば、命すら惜しくない、的な。
この鉄血のオルフェンズを見て感動して納得できる人はそういう思考に向かいやすいのかもしれない。
だからなんだと言われても困るけど、とにかく鉄血のオルフェンズは面白いのでぜひ見てくれってことで。