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「A Day In The Life」というお話し

原稿を受け取った編集が挨拶もそこそこに駆け出していく。物書きとしてやっていくときに、なるべく締切で迷惑をかけないよう気をつけてきたが、今月はギリギリになってしまった。

それはふと学生時代のノートを開いたことに端を発する。

ノートをめくるとハラリと紙片がこぼれ落ちた。
拾い上げるとそこには「ふりかえるとよみがえる」と書かれている。

私には文才溢れる友人がいて、よく言葉遊びをした。
一方がお題を出し、それを受けて文をつづる。
ポッと頭に浮かぶ文をその場で紡いで口にする、そんなたわいもない遊びだった。

この紙片もお題だったのだが、これには不思議と答えを返すことができなかった。
「少し考えさせてくれ」
そういって少しばかり考えようと思ったのだが、それからまもなく離れ離れになってしまい、今まで忘れ去っていた。

思えば今ならば、いや、今でこそ、このお題に返すことができるのではないか。

時を経て振り返ることができるようになった今だから、よみがえってくる思い出を紡いで、友人に届けられるのではなかろうかと。

編集者に渡した原稿のタイトルは「ふりかえるとよみがえる」。

明日は墓前に報告にいくとしよう。

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