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デジタルの弊害
昨日とある著名な漫画家さんの仕事場にお邪魔する機会を得た。その仕事場は、自分の作品、大好きな別の作家さんの作品、そして数千枚のレコードとCD、10本のギターに囲まれた仕事場だった。
約90分にわたって色々な話を聞くことができたが、最も印象に残ったのはデジタルの弊害について。
現在の漫画家の約9割はデジタルで作品を創っている。デジタル制作での利点は「書き直し」Undoがいくらでもできること。納得がいかない描線はすぐにやり直せる。
一方、従来の紙に書く場合は、鉛筆で下描きをし「ペン入れ」をする。そのペン入れが納得のいく1本でなければ、その原稿は破棄することになる。
その「覚悟の1本」の描線を何千回、何万回と描くことでマンガ家の画力は上がっていくとのこと。「最近の若い漫画家がなかなか絵が上手くならないのは、デジタルで漫画を書いているせい」「だから私はデジタルでは作品を作らない。そして若いアシスタントを厳しく指導教育している」先生は、デジタルの弊害による漫画家の画力の低下について非常に危惧していた。
「僕は小学校から漫画を書き、中学2年からギターを弾いている。今も中学2年のまま生きています」と笑って話されていた。なかなか真似できないが、羨ましい人生。
最後にBeatlesの「blackbird」をギターで弾き語りをして頂いた。本当にありがたい90分であった。