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販売開始『さよなら、ダーク・チェリー・パイ』
2月1日、『さよなら、ダーク・チェリー・パイ』復刻版がAmazon Kindle Storeにて販売開始となりました。
オトナのためのセカイ系エログロSFライトノベル。
めくるめく愛とゴアとスプラッターとすこしふしぎ。
凄惨な過去を持ち、孤独に生きる木場風華。
彼女の前に、神よりも大いなるものが現れる。
いつかの礼をしたいと、彼女の望みを何でも何度でも叶えると言って。
この世界が死ぬまで望みを叶え続けると言って。
彼は〈事象の地平線〉。
万物は彼を超えられない。
超えてはいけないのだ。
既刊同様、Amazon専売となります。
また、Kindle Unlimited対象商品です。
復刻狂気都市文庫のラインナップはこれで6冊となりましたが、Unlimitedに加入すればすべて読むことができます。
ただ注意してほしいのは、ひとつの端末に10冊しかダウンロードできないことですね……。
買い切りもできますが、その場合価格は564円となります。
コロシです。
どうやら2017年頃に執筆したようです。
10万字以上の長編で、まともに完結させられたのはこの作品が最後となりました。
これを書き上げてから、私は急速に書けなくなっていきました。
PixivFANBOXのメンバー向けに書いていた作品はだいたい1万字ほどでした。しかしこれさえも、末期になれば書けなくなっていきました。無理やり書いた作品のできばえはほとんどがひどいものです。
ただ、『非科学事件』は個人的にまあ許容範囲です。
この作品にはじつは〈アーカイヴ〉がかかわっているため、『さよなら、ダーク・チェリー・パイ』と無関係ではないんですよね。
〈アーカイヴ〉、〈さまよえる針〉、〈イグ=シスト〉。
初出は商業誌『世界時計と針の夢』です。
これらの設定は他の出版社から出た商業誌にも及んでおり、まさに次元を超えた存在と言えるでしょう。
でも『さよなら、ダーク・チェリー・パイ』は同じ設定を共有していても異質な作品かなと思います。
なんでこんなにグロくしたのかはよくわかんないのですが、〈事象の地平線〉の名前の由来のカルト映画がグロいからかもしれません。
私の作品の中で最もメリーバッドエンドだとも思うので、好きなものを全部詰め込んだのかもしれないですね。
にしてもこれをムーンライトノベルズに投稿したのはなんかすごいな。
正直人を選ぶ作品だと思いますが、諸口正巳が最後に書き上げられた長編ということで、復刻狂気都市文庫の一座として受け入れてくだされば幸いです。
「イーヴンがきれいだって思うものはある?」
「いや、俺には……」
何かを 「きれいだ」って思う心なんかない。
そういう感じのことを続けようとしたんだろう。
でも彼はそこで言葉を詰まらせた。
ほんの数秒黙り込んだあと、イーヴンは話してくれた。
「……まれにだが、宇宙が生まれる瞬間に立ち会うことがある。他に行くべきところがあるというのに、俺はきまって立ち止まって眺めてしまう。だから俺はきっと、それが、美しいと思っているのだろう」
話のスケールがデカすぎてわたしにはとても想像できない。わたしはイーヴンのほうは振り返らないで、ふうん、とうなった。
「すてきじゃない。けっこうロマンチストなんだね」
「そうか?」
「うん」
「そうか」