Windows11+WSLgの試用とVSCodeの環境構築

はじめに

Windows11からLinux GUIアプリがネイティブに実行できるようになり、VcXsrvなどを噛ませなくともLinuxコマンドラインからLinux GUIアプリが起動できるようになりました。

前々からCドライブではなくDドライブ上に環境を構築して移行したいと考えていたので、これを機会に1から構築するための手順を紹介します。

CUDAドライバのインストール

この項目ではグラボがGeForceなどのNVIDIA製品であることを前提とします。それ以外の場合は、それぞれの製品に対応するドライバをインストールする必要があります。

CUDAはPythonのTensorflowなどでGPU計算を使うときになんとなくインストールするものというイメージを持っている方も多いかもしれませんが、今回の環境構築ではこれのバージョン11.6以上がインストールされていることが前提となります。CUDA ToolkitのページからDownload Nowをクリックして、使っているOSのバージョンに合致するCUDAドライバをインストールします。

WSL2のインストール

コマンドプロンプトを管理者権限で実行して、

wsl --install

と打ってEnterを押して完了後にコンピュータを再起動すると、WSLがCドライブにインストールされます。ここで、デフォルトでのインストール先がCドライブになっているので、Dドライブに移行することにしましょう。このままCドライブを使っても構わない方は、この次の項は読み飛ばしてください。インストール後の移行なので、すでにWSLがインストール済である場合にも同じ方法が使えます。

WSL2環境をCドライブからDドライブに移行

WSL2環境のCドライブからDドライブへの移行は、WSL2上のUbuntuなどのディストリビューションを.tarファイルに圧縮してエクスポートし、Dドライブ上の任意のディレクトリにインポートすれば完了します。

まず、ディストリビューションのバージョンを確認するために、コマンドプロンプト上で、

wsl -l -v

と入力して実行します。そうするとUbuntu-20.04などの名前が表示されます。その中から移行したいディストリビューションを選択してエクスポートします。例として今回はUbuntu20.04をDドライブへ移行します。

wsl --shutdown

というコマンドを実行すると、起動中のWSL2が停止し、妨げられることなくエクスポートすることができます。

まず、コマンドプロンプト上での現在地をDドライブに移動しましょう。当たり前のことですが、

D:

と入力します。たまに忘れてcdで移動しようとして怒られたりするので気をつけましょう。

Dドライブ上に移行先のディレクトリをmkdirで作成しましょう。フォルダ名は普通にWSLとかでいいと思います。

mkdir WSL

フォルダが作成できたら、エクスポートコマンドで.tarファイルに圧縮してエクスポートします。

wsl --export Ubuntu-20.04 D:\WSL\Ubuntu-20.04.tar

これをインポートしてやれば移行は完了です。

wsl --import Ubuntu-20.04 D:\WSL\Ubuntu-20.04 D:\WSL\Ubuntu-20.04.tar --version2

ここで、--version2と指定してやることで、移行後も確実にWSL2に対応して動くようになります。

移行後に動作確認ができたら、Cドライブにあった元のディストリビューションは削除しても問題ないです。注意点としては、必ずCドライブに移動してから削除コマンドを実行することです。Dドライブ上で実行してはいけません。

wsl --unregister Ubuntu-20.04

WSL2のアップデート

2022年2月現在では、インストール後のWSL2が必ずしもLinux GUIアプリが起動できるバージョンになっているとは限りません。そこで念のため、コマンドプロンプトで次のコマンドを実行します。

wsl --update

更新後にはWSL2の再起動が必要になるため、

wsl --shutdown

として、一度WSL2を再起動します。

Ubuntu上でのGUIアプリのインストールと実行

スタートメニューからUbuntuのアイコンを探して起動します。すると、Ubuntuのコマンドラインが表示されるはずです。まずは、ディストリビューション内のパッケージをアップデートしましょう。

sudo apt update

それが完了したら、実際にLinux GUIアプリをインストールして起動してみましょう。例えば、ファイルを閲覧するためにNautilusをインストールして、

sudo apt install nautilus -y

コマンドライン上で、

nautilus

と打って実行すれば、ディストリビューション内に存在するファイルが、Windowsのエクスプローラーのように表示されるはずです。

VSCodeからWSL2上のUbuntuで作業を行う

ここで一度、作業環境をWindows上に戻して、Visual Studio Code(以下VSCode)を起動します。VSCodeを開いたら左側のバーから拡張機能のアイコン(四角形が4つ並んだアイコン)をクリックし、検索バーにRemote WSLと打って検索します。すると、Remote - WSLという拡張機能が提示されるため、これをインストールします。

インストールすると左側のバーにリモートエクスプローラーというアイコンが出現します。これをクリックして、左上のタブからWSL Targetsを選択すると、左下の緑色の四角内にWSL: Ubuntu-20.04などと表示されるはずです。これは、VSCodeでの作業環境がWSL上のUbuntuであることを表しています。これで、Ubuntu上でVSCodeの作業が行えるようになりました。

これで、今回やりたかったことは全て完了です。


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