2021年G7サミットの共同宣言文を読んでのメモ
なんとなくひっそりと終わった英国コーンウォールでのG7サミットの共同宣言全文記事を見る機会があったので、私個人として気になった箇所を備忘録としてnoteに書きます。完全にメモ。。。
宣言文の構成としては以下のようになっています。
はじめに(1~5)
保健(6~18)
経済回復及び雇用(19~26)
自由で公正な貿易(27~30)
将来的な先端領域(31~36)
気候及び環境(37~43)
ジェンダー平等(44~47)
グローバルな責任及び国際的な行動(48~69)
結語(70)
括弧内の数字は、文章に振られている番号(何の?)
保健
13.
ウイルスに遅れを取らないよう、世界のワクチンが懸念される変異株に対して引き続き有効で、効果的な検査及び治療が利用可能であることを確保すべく、我々は、最新の調査とイノベーションへの投資を継続することにコミットする。このために我々は、ウイルス及びその新たな変異株と戦うための迅速な探知を可能とする上で必要な世界的なサーベイランスと遺伝子配列解析並びに迅速な情報共有を強化する。
G7諸国は、可能な限り、パンデミック期間中における全ての新しい新型コロナウイルス陽性の検体のうち少なくとも10%の遺伝子配列解析を実現し、その遺伝子配列情報を既存の世界的なデータベースと共有するよう、あらゆる努力を行うべきである。
世界的に共有できるような枠組みは大切。これは、G7を問わず世界に広げて欲しい。
この部分は、データに携わる仕事をしていることもあり、とても気になります。新型コロナを含む全世界的な感染症関連のデータは、世界の共通財産だと思いますので、運用も含めて良いものにして欲しいなと思います。
そしてその際には、嘘偽りないデータを入れて欲しいと強く思うんですよね。そこかな、一番の懸念は。偽データは本当に最悪なので。。。
経済回復及び雇用
23.
我々は、陸上、航空及び海上の国際的な往来の安全な再開が世界経済に与える重要性並びにWHO、国際民間航空機関及び国際海事機関による国際的な往来に関する新たな公衆衛生指針を含めその達成に向けた多国間の取組を認識する。
我々は、そのためにはデジタル・アプリケーションの相互運用性及び相互認証、検査条件、適用除外を含む予防接種状況の把握、並びに対応措置がいつ必要とされるかに関する相対的基準を含む、人の往来に関する一連の共通基準が必要となることを認識している。我々は、G7交通大臣及び保健大臣による現在進行中の議論を歓迎し、安全な再開のための協力を深めるよう求める。
今後、ワクチンパスボートが議論されていくと思いますが、各国間での人的交流をしっかりとモニターしつつも活発な活動を支援できるようなものが本当に望ましいですよね。
ワクチンパスポートは、希望者へ出して貰えればいいと思いますが国際的に必須となるだろうと考えると、日本も早期に議論に参画し、国際標準に準拠したものにして欲しい。
自由で公正な貿易
29.
我々は、農業、太陽光、衣類の部門におけるものを含め、グローバルなサプライチェーンにおいて、国家により行われる脆弱なグループ及び少数派の強制労働を含むあらゆる形態の強制労働の利用について懸念する。
我々は、人権の堅持、グローバルなサプライチェーンの全過程における国際労働機関加盟国の立場から生じるものを含む国際労働基準、及び強制労働の事例に対処することの重要性について合意する。
本当にその通りだと思う、この部分。帝国主義的な時代に欧州は植民地に対してそのようなことをガンガンしていたと思います。それから数世紀が経ち、未だその傷跡は残ってはいるかもしれませんが、その当時に比べるとより成熟した倫理観などを各国が持っているだろうから、国家による搾取は、もうやめにして欲しいと本当に思います。
将来的な先端領域
36.
これらの将来的な先端領域の全て及び来たる世紀のより広範な課題を支えるのは、科学的発見及びその展開の重要性である。我々はそれゆえ、研究・開発に関するより強固な協力を促進し、過去1年間に見られた歴史的な水準の協力を国際的に有益な結果へと築いていく、研究セキュリティ及びインテグリティ並びにオープン・サイエンスの原則を促進するために協働する。ここにおいて中心であるべきは、女性を含む全てのグループを包摂する、多様で強靭な科学・研究コミュニティを築くことである。
より広義の意味でよりオープンになって欲しいのが、科学・研究コミュニティだと私も思っています。このオープンというのは、ジェンダーはもちろんのこと、一般市民へもそうですし、三権(立法・行政・司法)と言った国権に対してもオープンであって欲しいと思います。
個人的に関心のある分野で、色々な人が科学に興味を持って、議論に参加してほしいなと思うんですよね。科学や技術というのは、私たちの生活に切っても切れない存在ですし、今後科学的知見に基づいた政策立案も日本でも取り入れられると思うので(希望的観測かもしれないが)、その科学的知見が示す意義を自分自身で理解できるとうのは今後私たちにとって大切なスキルになると私は考えています。
科学振興について書いた一番新しいnoteを添えておきますー
気候及び環境
39.
野心が信頼性のあるものであるためには、我々の経済及び社会の全ての部門における目に見える行動によって支えられる必要がある。我々は、国際エネルギー機関(IEA)によって提供された明確なロードマップに留意しつつ、また、最も緊急で汚染が激しい分野及び活動を優先しながら、関連する政策に支えられ、技術主導によるネット・ゼロへの移行を主導する。
目に見える行動によって支えられる必要があるとはよく言ったと思います。しっかりとした行動を伴っていることが本当に大切な点だと思っています。
アイデアよりも行動が大切だと思っているので、しっかりとした行動として世界に示して言って欲しい。
ジェンダー平等
45.
ジェンダーの公平・平等の推進は、より良い回復のための我々の計画及び政策の中心的な柱であり、女子教育、女性のエンパワーメント、女性及び女児に対する暴力の終焉、という三つの主要な優先事項からなる。ジェンダー平等の達成は、意思決定の全ての側面において、女性の完全、平等かつ有意義な参画に支えられる必要がある。
持続的社会の構築のためにも、この項目は必須だと思います。ジェンダーの平等に加えて、様々なバックグラウンドを持つ人々が意思決定に参画できる世界が望まれていると思います。
テクノロジーの発展によって、より多くの人が議論に参加しやすい素地が整いつつあり、国や地域、ジェンダー、思想や宗教などといった物理的、精神的、思想的な垣根を越えたオープンでフラットな世界観が広がるのを期待しています、個人的には。
グローバルな責任及び国際的な行動
49.
我々は、大国や主要エコノミーが担うルールに基づく国際システム及び国際法を堅持するという特別の責任を認識する。我々は、全てのパートナーと共に、またG20、国連及びより広い国際社会の一員として、この点における役割を果たすことにコミットし、他者に対し同様の行動を促す。我々はこれを、我々の共通のアジェンダ及び民主的な価値に基づき行う。
政治的な色彩を帯びた章ではありますが、国際ルールを守るというは大国にとっては当たり前だと思いますし、国際ルール策定に小国も加わったりと、透明性ある制度設計並びに制度変更が可能な世界にして欲しいと思います。最後は、各国の倫理観になるのかもしれませんが、各国がもつ責任に関してはしっかりと認識し、この章で書かれているように、しっかりと行動として各国が見せて欲しいと思います。
こうした共同宣言に基づいて、各国が何を実施して、どのような結果になったのかを持ち寄って、より良い国際的な枠組みにして言って欲しいと願うばかりです。
各国間の思惑とか色々あるのは重々承知していますし、それがあるのも理解できますが、道理にあわないような言動や行動は慎み、世界にいる人々が衣食住に困らずに暮らせる世界が来て欲しいし、それに向けて私もできることをしなくてはなと思う良い機会となりました。