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核酸医薬で頑張っている日本新薬の話

この手の話が大好きな私。

この記事はこう始まります。

日本新薬は8月中にも、次世代治療薬として期待される「核酸医薬」を米国で発売する。国内製薬会社では初の試みだ。筋肉の難病の治療薬で、すでに発売している国内以上の患者数が想定される。いち早く開発に成功したのは、大手が及び腰になりがちな新技術にも挑戦する進取の社風がある。長い目で投資を続けてきた老舗企業の成果が実りつつある。


私が所属する英国企業Evaluateの記事においても、この米国承認はニュースとして発信しています。

<今週発信予定のTweet内容>
日本新薬の核酸医薬Viltepsoが米国承認され、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に第二の治療選択肢が増えた。日本では2020年5月から販売中。Sarepta社Vyondys 53と直接競合し、ジストロフィン産生の臨床データではViltepsoが優位に立つ

さて、このようなニュースがあるが、この製品は既に日本で発売をしています。

ただ今後売上が伸びる可能性が高いため、株価が上昇しています。

主要な上場製薬会社について過去10年間の株価騰落率(8月3日時点)をみると、アステラス製薬(2.9倍)、エーザイ(3.2倍)、第一三共(5.6倍)など。日本新薬への期待の高さがうかがえる。


今回の主役は核酸医薬です。

<核酸医薬とは?>
以下のサイトに詳しく載っていますので、さらにお知りになりたい方はご覧になって下さい。
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/16971/

このサイトの説明は以下です。
核酸医薬は文字通り、核酸(DNAやRNA)を基本骨格とする医薬品。疾患に関わるタンパク質を標的とする従来の医薬品に対し、核酸医薬はタンパク質の合成そのものをターゲットとしています。「アンチセンス」「siRNA」「アプタマー」などさまざまな種類があり、低分子医薬品や抗体医薬では治療が難しかった疾患に対する医薬品開発につながると期待されています。抗体医薬と違って、化学合成でつくることができるのも大きな特徴です。

これまでの医薬品開発は、低分子医薬と呼ばれる化学合成を主体とした医薬品が主流であり、近年になる抗体を用いた医薬品も増えました。

こうした医薬品の種類をモダリティと呼びますが、今回の核酸医薬もモダリティの一種です。

日本新薬が核酸医薬の開発に成功した理由をこの記事ではこう述べています。

第一三共など大手やスタートアップが開発を競う中、なぜ日本新薬が先陣を切ることができたのか。ヒントは社風にある。1990年代、当時の製薬会社が注力したのは、開発ノウハウの蓄積があり、大量生産にも適した低分子薬だった。核酸医薬や遺伝子治療薬は開発が難しく、「異端」扱いされていた。その中で日本新薬は核酸医薬などの新技術にも積極的に取り組んだ。

社風にヒントがあるのは確かとして、他社がこの技術を触っていないかというと、恐らくそうではないと思います。

社員の平均年収とかの比較も面白いかもしれませんし、創業年であったり、開発中の医薬品数などの会社同士を比較する違う指標を加えると違って見えるのがこうした比較分析の面白さです。

今回は社員数と2019年の売上情報を付加しました。どちらも各企業のHPを見ると出ています。

各社比較

先ほどの引用部分にこうありました。

1990年代、当時の製薬会社が注力したのは、開発ノウハウの蓄積があり、
大量生産にも適した低分子薬だった。

これは開発できるものをどんどん進めるという意味で何ら間違っていません。

その背景にあるのは、社員数の差もあります。先ほどの表の社員数を比較してみると、日本新薬の約5〜8倍も社員数に開きがあります。

これが何を示しているか。

創薬のための基礎研究をして、人における臨床試験を実施して、当局に承認申請をして、製造販売承認を取って、薬価をつけて貰ってから、晴れて上市となり、やっと売上が立ち始めます。

研究から上市して売上が立つまでには、かなりのタイムラグがあるのが分かると思います。

その間も社員を養う必要があります。人が多ければ多いほど、しっかりと利益を上げて、研究開発に先行投資をしながらも、お給料を支払う必要だってあります。

かなりの単純計算ではありますが、日本新薬の5~8倍の規模があれば、日本新薬の5〜8倍は稼がないといけない。

そのため、日本新薬が新しいモダリティの核酸医薬の研究開発に没頭している間にアステラスやエーザイといった規模が大きい会社は手堅く稼がなくてはいけない事情も見え隠れしているのを忘れてはいけません。

そのため必然的に日本新薬は以下のような戦略を取ることになります。

「ブルーオーシャンを目指そう」――。前川重信社長は07年の就任以来、経営会議で強調してきた。1990年代から2010年ごろまでは自社創薬品に恵まれず不遇の時期だった。「他社に負けない技術やノウハウはあるが、慢性疾患などの大きな市場を狙おうとしていた」(前川社長)

そこで打ち出したのが希少疾患など患者数が比較的少ない領域への新薬投入だ。いわゆる「メガファーマ」がカバーしていない7000もの希少疾患に焦点を当てた。臨床試験の規模も小さく、投資額も抑えられるとの狙いもあった。


しかしながら、今やメガファーマも希少疾患にも進出しているので、日本新薬は以前の状況とは全く違うことを認識して現在の企業活動をしていると思います。

記事の締め括りにおいてもこれからの日本新薬の舵取り次第では、どちらにも転んでしまうのが、製薬業界だと思います。

日本新薬は19年に設立100周年を迎えた。「小さくて、質の高い会社を目指す」(前川社長)という同社が、膨大な開発費を必要とする製薬業界において安定的な創薬を進められるか。真価が問われている。

良いものを早く出して欲しいなと思っています。

患者さんにソリューションを届けるのが製薬企業に求められていることだからです。

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黒坂宗久(黒坂図書館 館長)
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