AIのべりすと「見慣れない部屋」

「う~ん」
ぼくは眠っていたのか。
ここはどこだろう。
見慣れない部屋だけど。
「きゃー!」
わっ、誰?
「あ、あの……」
「あなた誰なの?ここはどこ?」
そこにいた知らない女性が突然ぼくに話しかけてきた。
彼女もここにきた事情を知らないみたいだ。
「ぼくのこと知らないんですか?ぼくもあなたのこと知らないんですけど」
「?」
彼女は不思議な生き物を見るようにぼくをジロジロと見た。
そして、ハッと表情を変えた。
「もしかして……あの本に書いてあった少年?」
「本?なんですかそれ」
「……私のことも、このことも、何もわからないのね……」
彼女は少しがっかりしたように下を向いたが、すぐに顔をあげた。
「私はアリスよ。あなたは?」
「ぼくは……」
(あれ、ぼくの名前……)
「たろうです」
ぼくは口から出まかせにありがちな名前を名乗った。
「太郎?ふうん」
彼女はまだ何か言いたげだったけど、すぐに口を閉じた。
「……とにかくここから出ましょうよ」
「え?」
彼女は部屋をぐるっと見渡した。
ぼくもつられて部屋を見る。
部屋にはベッドが2つと、小さなテーブルがあるだけ。窓もない。ドアは1つだけあるけど、鍵がかかっているみたいだ。
「開かないわ」
(……)
「あの……」
(……)
「ねえ!」
(……?)
「どうしたんですか?」
「さっきから、何か言いたそうだったけど」
「あ、はい。あの……アリスさんはなんでここに?」
「え?」
彼女は少し驚いた顔をした。
「あなた、私の名前知ってるじゃない」
「え?さっき自分でアリスって名乗ったじゃないですか」
「ああ……」
彼女は納得したようで、頷いた。
「アリスって名前は本に書いてあったのよ」
「え?」
アリスさんの言っていることはいまいち理解できない。
(本ってなんだろう……)
「ねえ、あなたはどうしてここに来たの?もしかしてあの本読んだ?」
ぼくは首を振った。
「じゃあなんでここにいるの?私はこの部屋を調べてたら突然ここにいて……」
(ぼくも同じだよ……)
そう言おうとしたけど、なぜか言葉が出なかった。
(あれ……?)
「どうしたの?」
どうやらぼくは場面緘黙症らしかった。
状況によっては言葉が口から出なくなってしまう病気だ。
「ん……大丈夫。気にしないで」
「そう?」
「ぼくも同じだよって言おうとしただけだから」
「あ、そうなの?あなたも知らないうちにここにきたの?」
アリスさんは少しホッとしたようだった。
「うん」
「……」
(……)
「ねえ」
(……?)
彼女はまた何か言いたげにぼくを見ていた。
「……なに?」
ぼくは言葉を絞り出した。
でも、そんなぼくの様子を気にしたふうもなく彼女は言った。
「……あなたって、ちょっと変わった顔してるわね」
(!?)
そんなぁ……失礼な! いや、でもぼくも人のことは言えないか。
「どんな顔してるの?ごめん、まだ頭がボーっとしててよく思い出せないんだ」
「そう」
アリスさんは少し残念そうだった。
(……)
「あの、ここってどこなんですか?」
ぼくは話題を変えた。
「さあ、わからないわ」
「……」
彼女はまた何か言いたそうにぼくを見た。
(……?)
「……ねえ、あなたって、もしかして……」
彼女が何かを言いかけたときだった。
ガチャッ!と鍵の開く音がしてドアが開いた。
そしてそこから2人が入ってきた。
1人は白衣を着た男でもう1人は白いワンピースを着た女性。
「先生!」
アリスさんが白衣の男に駆け寄った。
「先生?あの人が?」
「そうよ!私の担当のお医者様!やっと来てくれたんだわ!」
(医者……?)
どうやらアリスさんはこの人に助けてもらおうと待っていたみたいだ。
(じゃあ……ぼくはもう用済みってことかな……)
2人のやりとりを聞きながら、ぼくはそんなことを考えた。
そして2人がこっちを向いたとき、ぼくは咄嗟に目を逸らしてしまった。
だって、2人ともなんだか怖そうな雰囲気だったから。
「緊急事態が発生しました。実験は中止します。お二人は我々と一緒に部屋の外に出てください」
突然、何を言っているのだろう。
ぼくにはさっぱり意味がわからなかった。
「あの、先生。緊急事態って?」
アリスさんが医者に尋ねる。
「それは後で説明します。さあ、早く」
2人のやりとりをぼくはただ黙って聞いていた。
「ねえ」
突然アリスさんがぼくに話しかけてきた。
(な、なんだろう……)
「あなたも一緒に行きましょうよ」
(え……?)
ぼくは戸惑った。
だって、ぼくなんかが行っても邪魔になるだけだし……
それに、なんだか2人とも怖いし……
そんなぼくの気持ちを察したのか、医者がぼくを見て言った。
「君はもう帰ってもいいぞ」
「え?」
ぼくは驚いた。
「でも……」
「いいから早く!」
アリスさんがぼくの手を引っ張った。
(……)
「あの……」
ぼくが何か言おうとすると、2人はぼくを睨んだ。
(ひっ!)
2人のその迫力にぼくは何も言えなくなった。
(……)
「……じゃあ、お言葉に甘えて……」
2人の圧力に負けて、ぼくは部屋を出ようと歩き出した。
2人に背を向けて歩き出すと、突然後ろから大きな音がした。
「キャア!」
アリスさんの叫び声だった。
(!?)
驚いて振り返ると、医者が何か注射器のようなものをアリスさんに向けていた。
(まさか、それをアリスさんに……)
ぼくは急いで2人のところに駆け寄った。
でももう遅かった。
2人は倒れたままピクリとも動かない。
「あ……」
「さあ行くぞ」
医者はどうしてワンピースの女性にも注射器を……?
そう思うやいなや
医者に無理やりベッドに乗せられる。
もう抵抗はできなかった。
そしてまたガチャリと鍵の閉まる音がした。
「あの、ぼくはどうなるんですか?」
ぼくは医者に尋ねた。
でも彼は答えてくれない。
(怖い……)
そしてまたガチャリと音がしてドアが開いた。
2人が運ばれていく。
アリスさんはもう動かない。
白いワンピースの女性も動かない。
もう2人は死んでしまったのだろうか……? いや、そんなはずはない!だって、さっきぼくと話していたじゃないか! そんなことを考えている間に2人は部屋からいなくなっていた。
部屋にはぼく1人だけになった。
「……」
(どうしてこうなってしまったんだろう……)
もしやり直すことができたら……
そう思っても、もうどうすることもできなかった。
「う~ん」
しばらくして、ぼくは目が覚めた。
あたりはすっかり暗くなっている。
(そうか……ぼくいつのまにか眠っちゃったんだ)
それにしても嫌な夢を見た。
あれは夢だったのだろうか。
それとも現実だったんだろうか? もうどっちでもよかった。
そんなのどちらでも構わないじゃないか!
(いや……やっぱり気になるな)
ぼくはベッドからおりて部屋を出ようとした。
ガチャッ!と音がしたけどまた閉まっただけみたいだ。
(あれ?よく見たらドアにパズルが書いてある)
ドアには『1+4=5』『2+3=』と書いてあった。
(なんだこれ?)
ぼくはパズルを解こうとしたけど、全然わからない。
そもそもなんでこんなところにパズルが……
(あ、そうだ!)
ぼくはポケットからスマホを取り出した。
(これで写真を撮っておけばいいんだ)
2つの数字を撮って、それを写真で撮った。
そしてパズルに当てはめる。
1+4=5 2+3=5 ガチャッ! ドアが開いた。
そこにはひたすら長い廊下が広がっていた。
ぼくはとりあえずその廊下を進むことにした。
しばらく歩くと、またドアがあった。
『1+4=5』
『2+3=5』
その横にはさっき撮ったパズルの写真が貼ってある。
(あれ?)
よく見ると、ドアの上の数字も変わっていた。
1+4=5 2+3=5 3+2=7 4+3=8 5-3=2 6-5=0 7-6=0 8-7=0 9-7=0 10-7=1」
なんだこれ?さっきより遥かに難解だぞ。
今のぼくじゃ解けそうにない。
他のドアを探そう。
そう思って、ぼくはまた歩き出した。
「う~ん」
あれからどれくらい経っただろうか? もうすっかり夜になってしまった。
(あれ?)
ふと見ると、目の前にドアがある。
(やった!やっと見つけた!)
ガチャッ!とドアを開けると、そこは真っ暗で何も見えなかったけど……
「あ!」
誰かがいる。
2人いるみたいだ。
1人は女性でもう1人は男性だ。
「あの……」
ぼくが声をかけようとしたときだった。
「キャア!」
女性が悲鳴をあげた。
「な、なんだ!?」
続けて男性も叫ぶ。
2人とも何かに怯えているようだった。
(どうしたんだろう?)
そう思ってよく見てみると、2人ともすごく痩せているのがわかった。
まるで何日もなにも食べてないみたいだ。
そして何かぶつぶつと呟いているようだったが、何を言っているのかはぼくにはよく聞こえなかった。
そんな2人を見て、ぼくはなぜだかすごく悲しくなった。
どうしてこんなに痩せているのだろう……どうしてこんなところにいるのだろうか……わからないことだらけだったけど、なぜか放っておけなかった。
「すみません、なにか食べ物を持ってきましょうか?」
ぼくがそう言うと、2人は驚いた様子だった。
「え?」
「ど、どういうことだ……?」
2人とも戸惑っているようだった。
(あれ?)
そんなときだった。
ガチャッ!とドアの開く音がした。
「!?」
2人にも聞こえたみたいだ。
「ひっ!」
2人が後ずさる。
(誰だろう……?)
ドアが開いて入ってきたのは、またあの医者だった。
そしてぼくをジロリと睨んで言った。
「おいお前、勝手に何をしているんだ」
「うるさい!うるさいうるさいうるさーい!!!」
その時、ぼくに信じられない力が湧いてきた。
ぼくは医者に飛びかかって馬乗りになり、そのまま何度も殴った。
「うおっ!や、やめろ!」
「黙れ!お前のせいで……お前のせいで……!」
ぼくは怒りに任せて医者を殴り続けた。
「おい!誰か来てくれ!」
医者が叫んだ。
(うるさいうるさいうるさい!!)
そんなとき、またガチャッとドアの開く音がした。
「先生!」
2人が入ってきた。
1人は白いワンピースの女性だ。
もう1人は白衣を着た男で……あれ?この人、なんとなくアリスに似てないか?
でも今はそんなことどうでもいい。
ぼくは医者に馬乗りになったまま、2人に言った。
「先生を離せ!」
2人はぼくを引き離そうとするけど、ぼくの力は強くなかなか離れない。
「おい!早くしろ!」
医者が叫ぶと、白いワンピースの女性は注射器を取り出して医者に向けた。
(え?)
そしてそのまま注射した。
すると……突然医者の体が震えだしたかと思うと、みるみるうちに太っていった。
いや、違う!これは脂肪じゃない!筋肉だ!
医者の身体はまるでボディービルダーのように巨大になった。
いやボディービルダー以上だ。
でも、負けるわけにはいかない。
「うおおおおおおおおお!!!」
ぼくは雄叫びを上げた。
「こ、こいつ……なんて力だ!!」
医者は驚いた顔でぼくを見るけど、もう手遅れだ。
もう誰もぼくを止められないだろう。
そう思った瞬間だった。
突然目の前に大きな壁が現れたかと思うと、医者はその壁に押し潰されてしまった。
(え……?)
一瞬の出来事で何がなんだかわからなかったけど……とにかく勝ったみたいだ!
「やったー!」
2人が駆け寄ってくる。
1人は白衣を着た男でもう1人は白いワンピースの女性だった。
柔らかいものが4つぼくの胸を押した。
ん?4つ?
「も、もしかしてアリス?……さん?」
「そうよ!やっと気づいてくれたのね」
アリスさんは嬉しそうに微笑んだ。
アリスは男性に変装していたらしい。
白いワンピースの女性も笑っていた。この人がきっとさっきの医者を壁で潰したのだろう。
なんだか不思議な気分だったけど、悪い気分ではなかったと思う。
(そうだ)
ふと思い出したことがあるので2人に聞いてみた。
「実験ってなんなの?2人はどうして協力しているの?あれから何があったの?」
するとアリスは答えた。
「それはね……」
そう言うと、アリスはぼくを抱きしめた。
「え?」
(な、なに?)
突然のことにぼくは戸惑ったけど……なんだかすごく心地よかった。
そしてそのまま意識が遠のいていくのを感じた。
目が覚めるとそこはベッドの上だった。
「あ、あれ……?」
(なんでここに……?)
頭がボーっとしてうまく思い出せない。
でも……なんだかとても幸せな気分だった気がする。
そんなことを考えているとドアが開いて誰かが入ってきた。
白衣を着たアリスだった。
「もう起きたの?早いね。実は私たちはずっと共同生活しているの。ずっとずーっと長い間」
アリスはいきなり語り始めた。
「共同生活?」
「そう。アリスと私は2人で実験に挑んでいたの」
白いワンピースの女性が言った。
「え?じゃあ、あなたは……?」
ぼくは白衣の男性を見た。
「あ、そうか。まだ自己紹介してなかったね。僕は医者だ。でももう医者じゃない。今はこの施設の管理人をしているんだ」
「は、はあ……」
(どういうことだろう……?)
頭が混乱してきたので整理してみることにした。
まず……ぼくはこの施設でずっと生活しているらしい。
そしてこの人達と一緒に暮らしている。
医者?とされている人は医者じゃない。
アリスと白いワンピースの女性は何らかの実験をしていた。
「一体どういう実験なの?」
「私とアリスでどっちが先にあなたを目覚めさせられるか実験してた」
「え!?」
(ぼくのためにそんなことまでしてくれていたなんて……)
なんだか申し訳なくなった。
でも、どうしてそんなことをしていたんだろう? そんなことを考えているとアリスが言った。
「だってあなたのことが好きなんですもの」
「え……?」
(す、好きってどういう意味だろう……?)
ぼくは戸惑ったけど、特に嫌な感じはしなかった。むしろちょっと嬉しかったくらいだ。
そこでふと思い出したことがあるので聞いてみた。
「そういえば、ぼくには双子がいます!彼は無事なんですか?」
ぼくがそう聞くと医者が答えた。
「ああ、無事だよ。私たちと一緒に共同生活をしている」
「ところで、あの痩せた2人はなんだったんですか?」
「あれはクローンだよ。本物が死んでしまったから代わりを作ったのさ」
医者が言った。
(そうか……そういうことだったのか……)
ぼくは納得したけど、それでもまだわからないことがある。
「あの……なんでぼくを助けてくれたんですか?」
すると2人は顔を見合わせると笑顔で答えた。
「それはね……」
2人が言うには、あの実験はぼくに好意を抱いてもらうために行ったらしい。
なぜそんなことをしたのかわからないけど、とにかく2人はぼくが好きみたいだ。
そんなことを考えているうちにまた眠気が襲ってきた。
「う……眠い……」
「あ、そろそろ時間ね」
アリスがぼくの手を握った。
(なんだろう?この感覚は……)
2人の柔らかな胸がぼくに当たるのを感じた。なんだかとても気持ちいい。
そんなことを考えているうちに、ぼくは眠りに落ちてしまった。
目を覚ますとそこはベッドの上だった。
「あれ……?」
(またここだ……)
でも今回は少し違うようだけど……まあいっか!
そういえば緊急事態ってなんだったんだろう。
他に聞きたいことが多すぎて聞きそびれてしまった。
次に会った時に聞こう。
そう思ってぼくは部屋を出た。
部屋を出ると白いワンピースの女性が待っていた。
「おはよう!」
「おは……よう?」
(あれ?)
なんか違和感があるな……なんだろう?
「ねえ、君の名前はなんていうの?」
ぼくがそう聞くと女性は驚いた顔をした。そして少し考えてから言った。
「……わからない」
「えっ!?」
(どういうことだろう……?)
不思議に思ったけど、とりあえず今は気にしないことにした。
それよりも気になることがあるからだ。それはこの施設のことだけど何かがおかしい。
違和感がある。
そういえば白いワンピースの女性が昨日と別人のように感じる。
名前を知らないのはおかしい。
ぼくを試しただけか?
いや、違う。
わからないと答えた時の表情。
名前をこの女性は本当に知らないんだ。
もしかして偽物?クローン?
ぼくは確かめてみることにした。
「あの……さ。昨日の実験はすごくよかったね」
ぼくがそう言うと、女性は嬉しそうに微笑んだ。
やっぱりおかしい。「ねえ、君の名前はなんていうの?」
ぼくはもう一度聞いてみた。
「……わからない」
女性は言った。
やはりそうだ。この女性は偽物だ! いや……クローン?どっちでもいいけど、とにかく本物ではないはずだ。
(ということは……?)
ぼくは白いワンピースの女性に掴みかかると押し倒した。そして馬乗りになって首に手をかけた。
「ぐえっ!」
女性が苦しそうな声を出したけど関係ない。そのまま力を込めていく。
「お前の正体はなんだ!答えろ!」
すると女性は答えた。
「私は……アリスよ!」
その言葉を聞いた瞬間、ぼくの体から力が抜けていった。
(え?)
なんでだろう?なんだかすごく悲しい気分になる。
涙が溢れてきた。
なんで泣いているのかわからないけど、涙が止まらない。
そんなぼくを見て白いワンピースの女性は優しく微笑むと頭を撫でてくれた。
ぼくはしばらくの間泣き続けた後、ようやく落ち着きを取り戻した。
「ごめんなさい……急に泣き出したりして……」
ぼくが謝ると白いワンピースの女性は言った。
「いいの、気にしないで」
そして続けて言った。
「ねえ、あなたともっと話がしたいな」
「え?う、うん……」
ぼくが答えると白いワンピースの女性はぼくの手を取り歩き出した。
(なんだろう……この感じ)
なんだか懐かしいような不思議な気分だ。
しばらく歩くと大きな部屋に着いた。そこにはたくさんの本や資料が置いてあるようだ。
「ここは?」
「ここは私の部屋よ」
白いワンピースの女性はそう言うと椅子に腰掛けた。ぼくもその向かい側に座った。そして彼女は語り始めた。
「西暦2345年、人類は滅亡の危機に瀕していた。食糧危機、人口減少、災害、ウイルス、戦争、ありとあらゆる危機が連続していた。
当時の各国政府はこれらの危機の原因を特定した。
それはたった10人の一般人だった。
厳密にいえば一般人にしか見えない特殊な存在だった。
彼らには自由意志があった。真の自由意志。多くの人が持っていないものだった。
彼ら以外の人類は2つの分かれ道がある時に必ず一方の道を通る。
選択権はなかった。
逆にいえば彼ら10人には選択権があった。
それがどうして危機につながるかって?
それはね。彼らが選択肢を選ぶたびに別のユニバースが生まれるからだよ。
マルチバースとか別世界線とも言うかな?
それの何が問題かというと全宇宙が保持できる情報量には限界があるの。ここで言う全宇宙は全てのマルチバースのことね。
ほら、HDDとかSSDでも10TBとか2TBっていう容量があるでしょ。あれと同じ。
容量の限界がある。
その限界を超えるとマルチバースに何が起こるかわからない。
まるでちぐはぐなことが起こるわ。
だから剪定しなくちゃいけない。
枝を切るの。
定期的に100個のマルチバースを1個にまとめたりしなければいけない。
そのために危機を起こすの。危機を起こしている主体が神様なのか何らかのシステムなのか物理法則なのかは知らない。
危機が起きると何が良いかって結果が同じになるの。
例えばあなたが今日牛丼を食べようがトンカツ定食を食べようが何も食べなかろうが大地震が起きて死ねばすべて同じ結果になるでしょ。
そういうこと。
複数の選択肢によって枝分かれしたマルチバースがひとまとめになるの。
だから危機が起こる。意図的に起こされるの。
2345年に自由意志を持った一般人がたまたま10人も同時代に存在していて相互に干渉しあっていた。
そのせいで人類は滅亡の危機に瀕していたのよ。
だからこの施設に隔離したのかって?
いいえ。そうじゃない。
あなたはそうやってすぐに早とちりする。
そこがいいところなんだけどね。
施設に隔離するより殺した方が早いでしょ。
あるいは刑務所の独房にずっと隔離した方がいい。
そうじゃないの。
勘違いしないで。
この施設はね。
例えるなら、核兵器。
武器なの。
私やあなたや医者、みんな合わせて強力な武器になってる。
時代は進んだわ。
今は2345年じゃないの。
それより遥か未来。
私たちは敵の文明社会を滅亡寸前まで追い込むために送り込まれるの。
この施設ごとね。
この施設は私たちの身を守るためでもあるし、私たちに意図したタイミングで選択肢を与えるためでもあるの。
私たちが複雑な選択肢を繰り返し選べば選ぶほど、危機のレベルが上がる。
そうして威力を調整している。
でも進んだ文明の最新技術を使って核兵器を撃った方が早くないかって?
ダメよ。それだと下手したら滅亡させてしまうでしょ。
敵の文明を滅亡寸前にした後に援助して復活させる。
そうして人類の子分を増やすのが目的なの。
敵の惑星を焼野原にしたいわけじゃない。まして絶滅させたいわけじゃないわ。
人類が生き残ればいい。
戦争なんて下らないことはやめて欲しいわ。
まあ、それはいいとして、この施設にあなたを閉じ込める理由は簡単よ。
あなたの選択肢を私が管理するためよ。
私たちの文明は高度だからその気になればあなたにだけ見える幻覚を見せることだってできるわ。
でもそれじゃつまらないでしょ? そんな単純なことに騙されるような人に人類の未来を託したくないもの。
私はね。あなたのことが好きなんだ。すごく好きだよ」
ぼくは
1:うん、とうなづいた
2:わけがわからないという顔をした
3:考えるのをやめた
4:考えるのをやめた
5:考えるのをやめた
6:考えるのをやめたい
7:考えるのをやめたい
8:選びたくない
9:選べない
10:ぼくは
「10」を選んだ。
「10」を選んだんだ! すると白いワンピースの女性は驚いた顔をして言った。
「……本当に?」
「うん!」
ぼくが答えると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。そしてぼくの手を取ると言った。
「ありがとう!嬉しいわ!じゃあ早速始めましょうか」
そう言うと彼女はぼくを連れて歩き出した。そしてある部屋の前で立ち止まるとドアを開けて中に入るように促した。中を見るとそこには大きな鏡があった。
「これは……?」
ぼくが尋ねると女性は答えた。
「鏡よ」
たしかにそこには大きな鏡があったけど、それ以外には特に何も見当たらない。一体ここに何をしに来たんだろうか?そう思っていると女性が口を開いた。
「さあ、まずは服を全部脱いでちょうだい!」
「え……?」
(どういうことだろう?)
ぼくは疑問に思いながらも言われた通りにした。すると女性はぼくを裸にしてから自分も服を脱ぎ始めた。そしてお互いに裸になると鏡の前に立った。そして彼女は言った。
「ねえ、私を見てどう思う?」
ぼくは素直に答えた。
「すごく綺麗だと思うよ」
すると彼女は嬉しそうな顔をした。そして言った。
「ありがとう!嬉しいわ!じゃあ早速始めましょうか」
そう言うと彼女はぼくを連れて歩き出した。そしてある部屋の前で立ち止まるとドアを開けて中に入るように促した。中を見るとそこには大きな鏡があった。
「これは……?」
ぼくが尋ねると女性は答えた。
「鏡よ」
たしかにそこには大きな鏡があったけど、それ以外には特に何も見当たらない。一体ここに何をしに来たんだろうか?そう思っていると女性が口を開いた。
「さあ、まずは服を全部脱いでちょうだい!」
「え……?」
(どういうことだろう?)
ぼくは疑問に思いながらも言われた通りにした。すると女性はぼくを裸にしてから自分も服を脱ぎ始めた。そしてお互いに裸になると鏡の前に立った。そして彼女は言った。
「ねえ、私を見てどう思う?」
ぼくは素直に答えた。
「すごく綺麗だと思うよ」
すると彼女は嬉しそうな顔をした。そして言った。
「ありがとう!嬉しいわ!じゃあ早速始めましょうか」
そう言うと彼女はぼくを連れて歩き出した。そしてある部屋の前で立ち止まるとドアを開けて中に入るように促した。中を見るとそこには大きな鏡があった。
「これは……?」
ぼくが尋ねると女性は答えた。
「鏡よ」
たしかにそこには大きな鏡があったけど、それ以外には特に何も見当たらない。一体ここに何をしに来たんだろうか?そう思っていると女性が口を開いた。
「さあ、まずは服を全部脱いでちょうだい!」
(えっ!?)
ぼくは一瞬戸惑ったけど、言われた通りにした。すると彼女はぼくの手を取ると言った。
「ねえ、私を見てどう思う?」
ぼくは素直に答えた。
「すごく綺麗だと思うよ」
すると彼女は嬉しそうな顔をした。そして言った。
「ありがとう!嬉しいわ!じゃあ早速始めましょうか」
(え?何を始めるつもりなの!?)
ぼくが戸惑っていると、彼女は微笑みながら続けた。
「あなたの選択肢を私が管理するためよ」
(どういうことだ……?)
ぼくの頭は混乱していたけど、とりあえず聞かれたことには答えようと思った。だから正直に答えたんだ。
「10」を選んだんだ! すると白いワンピースの女性は

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