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良心のあるサイコパス

NY公立図書館から日本語の紙の本を無料で借りれることを知って約2ヶ月。
我慢していたものを解禁した途端、中毒的に摂取していまう現象が起こったみたいで、2日で1冊小説を読了するペースで、読み漁った。

小池真理子(題名:神よ憐れみたまえ)、林真理子(8050)、伊坂幸太郎(ペッパーズゴースト)、斎藤究(テスカポリトカ)、山田詠美(血も涙もある)等、凡そ20冊程度、昔から好きだった作家の本、話題の本、題名に惹かれて手に取った本を一気に読んだ。

結果、一番、頭に残ったのは、、、、

村田沙耶香 「コンビニ人間」


2016年の芥川受賞作なので話題になった本だが、食わず嫌いな感じで手に取ることはなかった。
だが、昔から切り口が好きで、安定した読了感をもたらす作家の作品を押しのけて、私の脳にしっかりと刻み込んできたのは、この本である。

非常に面白い。こんなにまで、共感できない主人公はそういない。なんてったって、感情自体が欠落しているのだから。善悪の区別とかそんな感覚もない。今までだと、この手のサイコパス的登場人物は、平気で人を騙したり、殺人を次々に犯すパターンだが、この小説の主人公は違う。
一生懸命、社会と繋がろうと努力するのだ。

いじましいというか痛ましいというか、だけど、どこかでやはりホラー感も漂うこの主人公なのだが、最後の最後に、ふと、思うのだ。

あれ?彼女を取り巻く普通の人達より、彼女の方が良心があるんじゃない?と。

自分の既成概念に疑いを持たせてくれた非常に面白い小説。
とっても刺激的。





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