「新米フォスター奮闘記1」黒ごま・きな粉②
1日目🐕
相方が、ラン友でありワン友のY美さんと、レスキュー指定の場所にZENとZACHARIAHをピックアップに行った。
私は諸事情で迎えに行けず、家で2匹を迎える準備を整える。到着後、直ぐにお水とご飯を与えるように指示されているので、鶏むね肉を茹で、かぼちゃも蒸した。かぼちゃは整腸作用があるので、長旅で下痢をしやすかったりするのを回復させる効果があると言われている。
ドアチャイムがなった。
「来た!」
ドキドキしながら、ドアを開けると、想像以上に小さい2匹がそこにいた。
Y美さんに抱っこされた黒い方のZANは、怖がりらしく、ちょっと震え、不安そう。茶色のZACHARIAHは玄関前に堂々と立って、尻尾をフリフリしている。でも、目は私がどんな生き物なのか値踏みをしているようだ。
「いらっしゃい!!疲れたでしょう?」
落ち着いた態度で、優しく2匹に語りかけた。そして、用意していた足拭きタオルで、まずはZANの脚を拭き、ZACHARIAHの脚を拭こうとすると、ものすごく嫌がった。それでも、噛もうとしたりはしない。ただ、暴れて、嫌がる。
アパートに入る前に、外でおしっこをしたのはZAN。ZACHARIAHは、興味津々で色んな所の匂いを嗅ぎに行くが、遂に、オシッコはせず。うーん、嫌な予感しかしない。
案の定、2匹がリビングに放牧された途端、ZACHARIAH、設営したソフトケージに向けて、片足上げて、シャー。
”ぎゃー!”心の中で叫ぶ。でも、怒らない、叱らない。これ大事。長旅で、いきなり知らない場所に連れて行かれ、知らない人に囲まれ、不安と動揺で一杯だろう。そんな時に、粗相をしたからって、いきなり、頭ごなしに叱られたら、気持ち、収縮しちゃうよね。怖くなっちゃうよね。
「大丈夫、大丈夫。トイレの場所、覚えたらちゃんと出来るようになるよ。ね、ズァ、ズァ、チャ、チャァリァ」
と、語りかけながら、名前を呼ぼうとするのだが、あんなに特訓したのに、いざとなるとスムーズに呼べず、引っかかる。日本語から、いきなり、思いっきり英語発音の音を出すのに違和感しかない。
「この仔の名前、難しいよねー。」と、Y美さんに同意を求めると、衝撃な返答が返ってきた。
「黒リスさん、なんかな、この仔、別の名前もあるみたいねん。首輪のタグに名前が書いてあると思うねんけど。」
え・・・?どう言うこっちゃ?
訝しい気持ちで、タグを見ると、確かに、マジックでZACHARIAHと違うスペルが書いてある。
ZEBADIAH
え、こっちもなんて発音するのか分からん。ズェバディァ?
なんで、両方とも、こんな日本人には厳しい発音の名前なの?イジメ?って言うか、そもそもなんで二つ名前あるわけ?で、タグにこっちが書いてあるってことは、どちらかといえば、こっちの方でこの仔は認識されているわけ?
一体、私の昨夜の特訓はなんだったのか・・・。
がっくりと肩を落とした私を見て、Y美さんが、慰めるように教えてくれた。
「あのな、レスキューの人、この仔のこと、”ザブ”って呼んでたで。」
え、ザブ?なるほど、ZEBADIAHを短く言って、ZEBか。それなら、私たちも言える!!まぁ、ザブって、なんか日本の洗濯洗剤の名前みたいだが、まぁ、良いだろう。
「ザン(ZAN)、ザブ(ZEB)、ご飯にしようか。お腹空いているでしょう?」
うん、非常に言いやすい。だが、、、、、ザンとザブ、兄弟だし、名前も似ていて、正直、人間も犬も、どっちのことを言っているのか混乱してしまう。「ザン」と呼んでも、両方が来るしね。。。
と言う事で、ワンコ達はザンとザブと呼び続けるようにするが、自分たちの会話上では、黒ごま(黒い仔)ときな粉(茶色い仔)と呼ぶことにした。
ちなみに、相方は最後の最後まで、2匹とも、「ザック」と、第三の名前で呼んでいたのであった。
(つづく)
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