見出し画像

ペットの老後と終活を考える(4)

全ての生物は寿命がある。

つまり、いつかは死ぬという変えられない真実だ。だけど、それを告げられると、慌てふためき、何とかそれを止めようとするのも自然なこと。そして、止める手立てがあるよ、と、その専門家に言われたら・・・。

(2)で書いた通り、私はミルキーの肺がんに対し、出来る限りの治療を選択した。高度医療病院の獣医さんから、「こんな治療方法があります。幸運なことに、出来る治療があるんですよ。」と言われて、「いや、結構です。」と断れる飼い主はどれぐらいいるだろう?

その「出来る治療があるんですよ。」という言葉は、”あなたが本当にあなたの犬(もしくは愛猫などペット)を愛しているなら、当然、やりますよね?え、まさか、お金が惜しくてやらないのですか?それって、本当に愛しているってことでしょうか?助けられる命を見捨てるってことですよ。”と言われているみたいな勝手な強迫観念に駆られ、やらないという選択肢を取ると、一生、罪悪感に苛まされそうな気持ちになる飼い主も多いのではないだろうか?それも、「自分の懐と相談して・・・。」なんて悠長なことを言っている時間もなく、すぐに治療を決断しないといけないケースがほとんどだったりする。そして、もちろん、飼い主の多くは、”助けられるなら、助けて欲しい!”と切実に願っているのだ。そうなると、その場で決断を迫られた場合、「お願いします。」と言ってしまう飼い主は多いだろう。

獣医さんの中には、ただ本当のことを説明しているだけの人もいるだろう。だが、動物病院も善意の団体ではない。経営をしていかないといけない。高度医療を提供する病院は最新の医療機器が揃っており、当然、投資した金額も大きい。一流のスタッフを揃えているならば、それなりのサラリーも出さないといけない。マンハッタンの動物病院に勤務する友人から、全部の病院ではないだろうが、獣医さんもノルマ(売上)があると聞いた。

自分の本意ではない治療を提示し、施したり、逆に助けられる命を飼い主の自己中な理由でで永遠に眠らせたりしないといけない仕事は、気が遠くなるほどストレスだろう。アメリカで、獣医師は、自殺率トップ10の常連だ。

少し話がずれたが、つまり、”自分で治療方針、死に方”を決められないペットだからこそ、多くのモヤモヤしたものが、飼い主側にも獣医さん側にも生まれるように思える。ペットが本当はどうしたいのか?どうしたかったのか?をずっと考えてしまうから。

その後悔はペットの命が消えた後もボティブローの様に効いてくる。それがペットロスにも繋がるのかもしれない。ペットロスはペットをロスト(失った)した後にくるもの。どうしたら、ペットロスから立ち直れかの対処法も必要だが、その前に、

”どうしたら少しでもペットロスにならないようにできるか?”

も、もっと考えてもいいのではないだろうか?

病気になってからの治療も必要だが、病気にならない予防、つまり、Proactive(先を見越した行動)が出来ないだろうか?

(5)では、そんな話を書いていきたい。

(つづく)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?