私と保護犬くるみの物語:わたし⑳”スィートボーイズと・・・”
2週間前ぐらいから、くるみの口が臭くなった。
ドブの様な、古い雑巾を絞った様な臭いがする。ああ、これが、獣医のしんご先生が言っていた、”歯の生え変わり時期は口が臭くなる”ってことか。うん、確かに臭い。そして、咥えたオモチャに血がつく様にもなった。血の臭いが、この臭さの原因なのかもしれないな。
”乳歯が抜け、永久歯に生え変わる。”=”パピー(仔犬)から卒業”を意味する。
そう、くるみはこのひと月で身体も心も恐ろしく成長した。身体は、うちに来た時から約4倍弱大きくなった。心は、10月半ばから本格的に外散歩が出来るようなってから、びっくりするぐらいお利口さんになっていった。もう、甘噛みは、ほぼしなくなった。しても、「NO!」と言うと止めるようになった。「Wait(待て)」もかなり出来るようになった。呼び戻しも、相当、優秀なレベルだ。そして、夢見ていた、”一緒にゴロゴロする”もしっかり出来るようになった。私たちの理想のワンコとの生活が実現しつつある。
🐕🐕🐕
相方がiPhoneの写真の整理をしているらしく、画面を覗き込んだ。くるみのうちに来たばかりの写真、くるみが生後2ヶ月の写真が沢山あった。
ほんの数ヶ月前の姿なのに、もう懐かしさで胸が苦しくなる。あんなにヤンチャでガウガウ犬で、私を育児ノイローゼ気味になるまで追い込んだくるみの姿が、今見ると、可愛くって、可愛くって、仕方がない。当時は、可愛いと憎たらしいがごちゃまぜになった気持ちの日々だったのに、今となると、”愛おしい”という気持ちしか記憶にないみたいだ。こんな日が必ず来る、その日が早く来て欲しい!と、ずっと願って日々を乗り越えてきたけど、実際、その日が来ると、何、この寂しさは?予想していたけど、予想以上だ。
もう片手では持てないくるみを抱っこする。
「ミルキー(一番最初のワンコ)もコーディ(2番目のワンコ)も優しくって、お利口で、甘えん坊のスィートボーイ達だったけど、くるみも負けないぐらいスィートガールだね。なんでうちに来る子はみんなこんなに良い子たちばかりなんでしょう?」
そう言って、くるみに顔を近づけた。
ガブっ
え?と避ける間も無く、鼻を噛まれた。
「いててて、なんで、また鼻を噛むんだよ〜。」
くるみを睨んで、文句を言う。くるみがわたしをジッと見つめる。その生意気そうな顔が言っている。
「あたちを甘いだけの女だと思わないで。」
ハイハイ、あんたはスィートガールじゃなくって、スパイスガールだよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?