見出し画像

「新米フォスター奮闘記1」黒ごま・きな粉④

3日目🐕

朝から大騒ぎの黒ごまきな粉達。部屋中を駆け回り、ソファーにジャンプし、ソフトケージをぶっ壊す勢いで、プロレスごっこに興じる2匹。すっかり、我が家に慣れたらしい。

相方も私も言い出さない心の声。

”どうする?うちで2匹飼っちゃう?”

フェイスブックに黒ごまきな粉のことを投稿していたから、ワン友から、執拗に、「さっさと引き取れ。」的なメッセージが届く。だけど、これじゃぁ、コーディの時の二の舞だし、この仔達なら、きっとすぐに良いフォーエバーホームが見つかる。だったら、私たちじゃなくても良いのではないか?だけど、こんな良い仔達、滅多にいないよね。(うちで粗相しまくるけど)と、葛藤に悩まされる。

だが、案の定、あっという間に、黒ごまのアダプター候補が現れた。今日の午前中に見に来ると言う。そこで、100%確実だと判断したら、アダプションフィー$500をレスキュー団体に送金し、そのまま連れて帰れる。もし、迷っているなら、一晩考えて、翌日の正午までに返事という流れになっている。因みに、多くの人が、保健所(シェルター)やレスキューから譲渡するペットは無料だと思っているみたいだが、動物を保護していくのは多くの労力とお金が必要だと理解すれば、その支払いは当たり前だと思えるはずだ。その上、譲渡される犬猫達は、去勢手術や必要なワクチン接種も終わっており、その費用を自分たちで担うとすると、アダプションフィーを余裕で上回る。つまり、必要経費を差し引いたら、動物達の値段は無料という計算にもなるのだ。飼い主側も格安でペットを飼えて、ペットの命も救われる。中間役のシェルターやレスキューも、手元の仔達の行き先が決まれば、次の仔を救えるスペースが出来る。このWinWinシステムは、獣医さんやレスキュー団体、そして、ボランティアスタッフなど、色んな人たちの善意の元で成り立っている。

午前10時、アダプター候補のアメリカ人白人女性シャニさんに黒ごまを会わせるべく、待ち合わせ場所に行く。相変わらず、黒ごまは、地面に下ろしても、抱っこ、抱っこと脚に飛びついてくる。そんな状態で、黒ごまを紹介し、シャニさんに抱っこさせる。シャニさんは、優しそうで真面目そうな、ちょっとぽっちゃりした女性。黒ごまの現在の一日のスケジュールや、食べ物、性格などを聞いてくる。全部、丁寧に正直に回答する。

抱っこされた黒ごまは、シャニさんの腕の中でお利口さんにしている。顔を何度かペロペロ舐める。シャニさんの頬がそのたびに緩む。

結局、シャニさんは、その場で決めず、一晩考えて、返事をすると言って帰っていった。

「自分は理性的な人間なの。この仔の一生の面倒を自分が見るわけだから、それはすっごく大きな決断よね。だから、もう一度、しっかり考えて返事をするわ。」

そんな彼女の言葉から、この人は責任感が強く、信頼できる人だと感じた。だから、もし彼女が引き取ることを決めたら、それはハッピーな事だとも思えた。きな粉と別れ別れにさせるのは、心が痛むけど。

そして、その夜、シャニさんは、翌日まで待たずに、レスキューに連絡を入れた。自分が、ZAN(黒ごま)を引き取ると。

4日目😢🤗

午後7時、ZANがシャニさんに連れられて行った。相方と私ときな粉で見送った。みんな同じ気持ちだった。

画像1

”寂しいね”と。

フォーエバーホームがこんなにすぐに見つかったのは、ハッピーな事。

だけど、やっぱり、寂しい。

だが、それに追い打ちをかけるように、レスキューから連絡が届いた。

ザブ(きな粉)のアダプター候補が見つかったので、明日、会わせて欲しいと。

フォスターは、アダプター候補に会わせる義務がある。翌日、午後2時に待ち合わせをした。内心、きな粉を気に入らないと良いな、と思った。

(つづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?