私と保護犬くるみの物語:わたし⑫”仔犬を育てているようで、自分が育っているような。”
くるみがうちにきて、ひと月。
ガウガウが減った。要求吠えも減った。
日々、戦いみたいなもので、それはくるみとの戦いではなくて、”わたしの心との戦い”だ。
感情的になるな。冷静に観察し、平常心を保ち対応しろ。
それを自分に言い聞かし、実行し続ける。正直、可愛くって仕方がないと言う感情もあるが、結構、キツい。恐竜の子供の世話をしている気分。体力、気力、精神力が相当必要。でも、これ、人間の子育てしているママ・パパは何年もやっているですよね。そう思うと、数ヶ月間ぐらいできんでどうする?と自分にハッパをかける。
わんこのコミュニケーション手段は、口で舐める、噛む行為か吠える行為。彼らは彼らの方法で、一生懸命、私たちに訴えているのだ。コミュニケーションを取ろうと必死なのだ。それを、人間の方が、「ご主人様の言う事を理解しろ!」はないようなぁ、と思う。泣き叫ぶ乳児に、「親の言うことを理解しろっ!」と怒鳴ってもねぇ・・・。
大体、くるみが要求しているのは、「(暇だから)遊んで!」と「腹減ったー!飯食わせ!」のどっちかだ。それを満たさず、”犬の要求には答えてはいけない。無視する。”のは躾ではなく虐待だ。まずは、満たしてあげよう。それも、要求される前に先手を打つ。その後だ。我儘を無視するのは。
アパートで飼われているわんこ達、友人のわんこのココちゃんと遊ばせてあげる。様々な年齢層、人種の人たちに、「可愛いねぇ。」と言ってもらい、触れ合わせる。もちろん、自分も一緒に遊ぶ。その時は真剣にくるみだけを見て遊ぶ。携帯なんて見てたら、すぐにバレる。”あたちをないがしろにしている。”って。くるみをケージから出している時間は、”くるみタイム”。ケージに戻す時には、私、汗びっしょり。ランニング以上に疲れる。
ご飯はコングに詰めてあげる方法に変えた。
ゆっくりしか食べれないから、長く楽しめる。噛む要求も満たされる。そして、何より、ママのおっぱいを飲む感覚もあるようで、うっとりとしながらチュウチュウして食べている。食べ終わった時の満足度が非常に高いようだ。
この二つをして、相当、くるみは落ち着いた。
甘噛みがどんどん酷くなり、どうしたものかと、体育会系トレと思って、背中をガブッと母犬になりきって噛んでみたものの、一時的にはビビったが、その後、更に癇癪を起こして、向かってくるようになった。だけど、くるみも少し成長して、理解力も出てきたのもあるだろうが、それ以上に、信頼関係が出来上がってきたのだろう。わたしが、「NO!」と強く言って、立ち上がり、背を向けると、必死に自分の衝動を抑えようと、絨毯を掻きむしりながら耐えている。前は、脚に噛み付いてきていたのに。すごい成長だと思う。(もちろん、まだ完璧ではないが)
信頼関係ができてないのに、言うこと聞かそうとしてもダメってこと。
それはきっと人間関係にも言えること。まずは、自分が信頼に足る人間になるべく努力する。人間の中には、その努力を利用したり、裏切ったりする人もいる。だけど、犬は絶対、裏切らない。裏切るのは常に人間の方なのだ。
そして、人間関係において、例え、自分が裏切られたとしても、自分の努力が無駄になったなんて思う必要なし。だって、自分は間違いなく成長した。損したのは自分ではない。努力をした人間を失った相手の方なのだから。
と、仔犬を育てる事で、今日も色々な学びを持つのであった。