スカイとマルコ(22)・再会
ソラに腕が千切れそうな程、引っ張られながらも、なんとかかんとか月子さんは転ばずに公園まで辿り着いた。
そこからソラは耳を立て、鼻を上下左右に細かく向けながら、公園内を見渡し、目標のものが見つかったとばかりに、ダッシュした。
ダッシュした先は、公園の砂場の横の水飲み場で、そこに、灰色と茶色が混じった色の酷く汚い塊が落ちていた。ソラの狂ったような鳴き声で、その塊が動いたので、月子さんは腰を抜かすほど驚いた。
真っ黒な瞳が見えた。え、まさか、犬?
長い毛が汚れ、ベタベタに絡まり、臭いもすごい。
それをソラが必死で舐めている。
月子さんはその様子を暫し呆然と見ていたが、シェルターで聞いたソラの話を思い出した。ソラは最初、相棒の犬と保護されたと。
「ソラ、この子がその、、あなたの相棒なの?」
ソラは、クーンクーンと泣いているような声で必死でその子を舐めては、月子さんに懇願するような目を向けている。
「分かった。この子を助けないんだね。分かる?この子は病院に連れて行かないといけない。ソラの大っ嫌いな場所だけど、そこならきっと助けてくれるよ。」
月子さんは、ソラのリーシュを腰に巻き付け、上着を脱ぎ、その子を包み上げた。空気を持ち上げているぐらい重さを感じなかった。
この時間に空いている動物病院か、、、。月子さんは、携帯でネット検索をで病院を見つけたものの、何台かのタクシーに、「犬はちょっと・・・」と断られ、最後は、「1万円払うので、お願いします!!!命が掛かっているんです。死んだら、あなたのところにも化けて出ますよ!!」と、半分脅し、何とか病院まで連れていって貰えた。
病院は、眩しいぐらいに明るかった。奥の方から、犬や猫の鳴き声も聞こえている。
月子さんは、受付で、「先ほど、電話した柏木です。この子を公園で発見したんですが、非常に衰弱しているようです。お願いします。助けて下さい。」と、単刀直入に依頼した。
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