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ランナーの話:「ジミー」中編
ところで、ジミーはサイクリストでもある。
いや、元々、サイクリストで、その後、ランナーになったタイプの様だ。だから、良く、「ラン力アップに、バイクがいいよ。クロストレーニングが効果あるよ。」と言われているが、ジミーは通常運転が、クロストレーニングタイプであった。
つまり、それは、ジミーのラン力アップに、バイクは新たなトレーニングにはならないという意味でもある。その上、ジミーは、本来の性格から、コツコツコツコツと地味に練習をするのが大得意で、そのレベルは、疲労骨折をして目標レースを諦めざる負えなくなるぐらいである。それだけ、限界に努力していたというわけだ。
そんなジミーが目指すのは、ボストンマラソン(BQ)資格。
ジミーは目標の3時間15分切りを目指し、只管、年に数回、マラソンに挑戦し続けた。
2013年 シカゴマラソン 3時間29分24秒
2014年 NJマラソン 3時間23分44秒
2015年 NJマラソン 3時間40分00秒 フィラデルフィアマラソン3時間24分45秒
2016年 NJマラソン 3時間28分17秒 モンホークマラソン 3時間28分24秒 フィラデルフィアマラソン3時間27分48秒
2017年 NJマラソン 3時間22分7秒 フィラデルフィアマラソン 3時間26分10秒
え、何、これ?デジャブ?
と、思う程、3時間20分台の嵐である。きっと、一本一本のレースに本人なりのドラマがあるとは思うが、タイムだけ見ると、狙って3時間20分台でゴールしているような安定感である。それも5年間。
この5年間、日々のトレーニングは半端なくキツいし、その上、体重管理だって、相当やっていた。会う度に、痩せていくジミーは、まるで、試合前のボクサーの風貌だ。頭も坊主にして、髪の毛分すら、軽くしようとの魂胆か?と思う程である。
そこまでやっても、ジミーのタイムは、恐るべき安定感を保っていた。もう、嫌になってもおかしくない。だが、ジミーは、例の尋常ではない頑固さ、いや、もとい、強靭な意志で、タイムを狙い続けたのであった。
2018 年、そんなジミーにある変化が生まれた。
(つづく)