永遠のわんこ。
その日は必ずやってくる。
それはコーディをアダプトした時から知っていた事だ。そして、その日は、そんなに遠い未来ではないとも。
2017年2月25日、この日がコーディの誕生日。私たちがアダプトした日。
1年目、痩せこけ、皮膚病で顔以外の毛がない状態から、徐々に回復し、絹の様な美しい毛のわんぱく坊主になった。2年目の夏に、胸に急に腫瘍が出来、手術をした。幸いにも癌ではなくて、ホッとした。しかし、その頃から、前から問題のあった肩関節や腰が徐々に悪化し、散歩の距離が減っていった。3年目の2020年の誕生日には、ピンと上を向き、ピコピコと左右に振る尻尾は、背中が丸くなるなり、下を向く様になっていた。
そして、その頃から、新型コロナパンデミックで、NYCはロックダウンに向かっていった。
ロックダウン中、散歩の回数が減り、外界からの刺激がなくなったこともコーディの痴呆を発症した一つの要因かもしれない。部屋の隙間に入り込み、抜けださせなくなり、壁や家具にぶつかる様になっていった。ベッドから上手に起き上がれず、もがく様にもなった。内臓も弱くなったからか、よく下痢をする様になった。できる限りの対処や対応をしたけど、それでも、コーディの時間は止まってくれない。
秋が終わる頃から、早朝4時過ぎに起き出し、徘徊する様になり、それが深夜から始まることも増えた。
私たち、パパちゃんとママちゃんは、コーディに何が出来るだろう?
いつも問題が発生する度に、考え、最善と思われることをした。だけど、11月初旬に始まった下痢は、いつもよりしつこく2、3日しても止まらない。食いしん坊のコーディの食欲が落ちないのが唯一の救いだったが、でも、食べさせ続けると、下痢も止まらないということで、一食抜いて、徐々に量を戻す方法を取ることになった。痩せてしまったコーディは、あっという間に更に痩せてしまった。食べなければ、うんちも製造されないから、下痢はしない。でも、食べなければ、当然だか飢餓で死んでしまう。
獣医さんから、何の食品が原因で下痢をするのか分からないから、指定のドッグフードのみを与える様にと指導され、それを続け、確かに下痢はしなくなり、大きないいウンチが製造される様になった。
だけど、今年になり、段々とドッグフードが喉に詰まる様になった。老化で喉が狭窄しているのだ。ドッグフードを水に浸し、柔らかくして与える様にした。でも、それは味も匂いも損なうのか、それともその状態でも、喉に入っていかないのか、コーディはドッグフードを口に含んではペッと吐き出す様になった。一粒づつ、吐き出した粒を根気よく、もう一度、口に運んで食べさす。コーディも空腹だから、口に含む。だけど、喉にはどうしても入っていかない。ああ、どうしよう。食べないと、死んじゃうよ。コーディ、頑張って食べて。ママちゃんも、コーディが食べやすい方法、何とか探すから。
一昨日、2ヶ月ぶりにコーディが下痢をした。
食べやすい様にと、鶏胸肉の茹で汁で、ドッグフードをふやかせたからだろうか?でも、鶏胸肉は、おやつでも与えていたから、大丈夫なハズなんだけど。まさか、ドッグフードと一緒に与えたのが良くなかったの?だけど、水でふやかせたものはもう食べないんだよ。食べれないと、死んじゃうじゃない。でも、下痢が続いたら、食べた以上に体力を奪われ死んじゃうかもしれない。だけど、下痢だからと、また食を抜いて、もう耐えられる程の体力自体がない様にも思う。だって、このひと月、失った体重、全然、戻ってないし。
この数ヶ月、このジレンマにずっと襲われていた。
食べさせるべきか、食べさせないべきか。どっちがコーディにとって幸せなのか、どっちがコーディの為になるのか。
でも、もうその悩みも終わる。もう、何をしても、コーディの身体は、自然に逆らえない。今は、もう、食べれる物を食べさせる。その日が来るまで。
♢
ねぇ、コーディ、うちに来てから、まだ4年も経っていないんだよ。会った時から、シニア犬って知っていたから、覚悟はしていたけど、でも、ちょっと早くない?長生きすれば良いってもんじゃないのも分かっている。時間より、質だってね。だけど、やっぱり、短すぎない?どんなに、質が充実していたとしても。
だからね、ママちゃん、考えたの。記憶を改竄しようって。
ねぇ、コーディ、一緒に記憶を改竄しようよ。コーディは、生まれた時から、ママちゃんとパパちゃんの元にいたって。
コーディはね、生まれた時から、食い意地が張っていて、なんでもガツガツ、美味しそうに食べたよ。そして、すごいわんぱく坊主だった。色んなところによじ上って、びっくりさせてたよ。
パパちゃんのトレイルレースに一緒に行って、森や山を一緒に探検したね。芝生の上をぴょんぴょん飛び跳ねて、走っていたよ。カッコ良かったなぁ。その後のシャンプーが大変だったけどね。
一緒にたくさんの朝日を見て、夕日を見て、星を見て、月を見て、風を感じて、鳥の囀りを聞き、日々を過ごしたね。
色んな人から、「わぁ、なんて可愛いワンコなの!」と言われる度、ママちゃんもパパちゃんも嬉しくってたまらなかったよ。
コーディは、宝物。私たちの元に来てくれて、本当にありがとう。
生まれた時から、一緒。そして、これからも、ずっと一緒だよ。