見出し画像

スカイとマルコ(4)・縁と別れ

マルコは行ってしまった。
あたしから離れ、あの女の人と一緒に。

「マルコ、なんで?」
マルコがその女の人に連れられ、柵から出る時、あたしは、吠えまくるのも忘れ、マルコに聞いた。

「縁だからだよ。神様がきっと決めていたんだ。」

マルコは、そう言って、あたしの顔を一舐めした。

「さよならの挨拶だね。」

しょんぼりとつぶやくあたしに、マルコは優しく答えた。

「違うよ、”またね”の挨拶だよ。スカイ、天界でまた会おうね。絶対だよ。」と。


マルコ、縁って何?マルコにだけ神様が教えてくれたの?
あたしにもそんなものがあるのかな?

あたしはその夜のご飯を食べなかった。いや、食べれなかった。
マルコがいたから、あたしは強くあれたんだと思った。
マルコを守らないといけないって思っていたから。

天界でもそうだったんだと気づいた。マルコはいつも私の後ろをついてくるばかりで、鈍臭いし、あたしが遊んであげないとダメなんだって思っていた。でも、違った。あたしはマルコがいたから、あたしでいられたんだ。マルコはあたしを全部受け入れてくれていたんだ。

マルコがいない柵の中は、広すぎて、スースーする。
マルコと一緒に使っていた毛布を何度も何度もくしゃくしゃにして、マルコの匂いを嗅ごうと頑張った。マルコの匂いに包まれたくって、毛布の中に身体を丸めた。

丸まりながら、マルコが誰にも虐められたりしませんように、と願った。
マルコが下界でも幸せでありますようにと、心から願った。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?