私と保護犬くるみの物語:くるみ➆”あたちだって負けないもん。”
びっくりした。
目の前に、おっきな毛むくじゃらのわんこがいた。ママちゃんが、「ココちゃんだよ。仲良く出来るかな?」と言って、あたちのケージの前にココちゃんを連れてきた。ココちゃんは、あたちを見て、首を傾げ、不思議そうな顔をした。”なんで、あんたがここにいるの?ここは私の大好きな黒リス(私)さんちよね。”と目で伝えてきた。
「ここはあたちんちだもん!」
そう言って、ジタバタした。ママちゃん、くるみを出して!あたち、ココちゃんと遊びたい!!
ママちゃんがヒョイっとあたちの身体を持ち上げ、そっと、ココちゃんの前に降ろした。あたちは必死で尻尾を振った。だって、遊びたいから。仲良しになりたいから。ココちゃん、ココちゃん、くるみと遊んで、遊んで。
「ふん、何、このチビ。まだ、赤ちゃんじゃない。本当は私と同じティーンエージャーがいいけど、まぁ、そんなに言うなら、仕方ないわね、相手してあげるわ。」
ココちゃんが受け入れてくれたから、あたちは飛びついた。ココちゃんのクルクルの毛、匂い、全部がワクワクする。必死で戯れついた。でも、あっという間にひっくり返された。すぐに立ち上がり、また飛びついた。大きなココちゃんの周りを飛びついては離れ、クルクル回りながら、戯れついた。ココちゃんはくるみに合わせ、ずっと寝転んで遊んでくれる。
あたちは興奮してきた。ココちゃんはおっきいけど、あたちだって負けないぞ。
キャイーン!!
「今のやり過ぎ。出直しておいで。」
ココちゃんの鉄拳を食らった。痛くって、クィンクィンと涙が出た。トテトテとココちゃんから離れると、ママちゃんがあたちの身体を抱っこして、色んなところを優しく触った。そして、そっと床に降ろした。さっきまで痛くて悲しかったけど、大丈夫になった。
「よし、どうやら問題なさそうだね。じゃぁ、ココちゃんと仲直りして。ココちゃん、くるみを宜しくね。」
ママちゃんがココちゃんにそう言って、ココちゃんの背中をナデナデした。ココちゃん、嬉しそう。そして、ママちゃんの顔をベチャベチャ舐め出した。
何だかモヤモヤした。
だから、ココちゃんとココママちゃんとバイバイする時、くるみもココママちゃんの手をペロリと舐めた。